升田幸三実力制第四代名人(写真堰jは、晩年は足が悪くて椅子での対局を将棋連盟に要望したが拒否された。それが起因したのか、1979(昭和54)年に61歳で引退した。

このように和室での対局は、時には棋士生命に影響しかねない。あの羽生善治九段(49)も最近は正座がつらそうだ。



 棋士が和室で和服を着て正座で盤に向かう光景は、一幅の絵のように美しくて和文化の情緒がある。ただし、勝負の観点では、果たして正座はふさわしいのだろうか……。

 戦国時代の武将たちの座り方は、胡坐か右片膝を立てた胡坐だったという。いざとなれば、すぐに立ち上がって戦いに入れるからだ。江戸時代に正座が定着したのは、将軍や大名が家臣を服従させるためだという。

 東京・千駄ケ谷の将棋会館は老朽化している。将棋連盟は、数年後に建設される千駄ケ谷駅に近いビルに移転する方針である。その新会館には、ベテラン棋士、女流棋士、いずれ誕生するだろう外国人棋士のためにも、椅子で対局できる環境を整えてほしいものだ。