「現役最強」の名敵役 デビュー20年、初の名人を獲得 渡辺明三冠(将棋棋士)
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 では具体的にAIで何が変わったのか。
「序盤ですね。AIで局面の優劣を数値化できるので、あいまいなところのあった序盤研究が精密に
やれるようになった」。

もともと番勝負での戦い方にたけた戦略家として知られる。藤井王位に一矢報いた棋聖戦第三局では
、初手から九十手進んだ局面が事前の研究範囲だったと感想戦で明かし、周囲を驚かせた。

「AIで戦略が立てやすくなった点も、相対的に自分が上にいった理由だと思う」

 ただ研究合戦が激化したことで、今の将棋界は「選択肢が狭くなった」とも語る。

「どれも同じような将棋ばかりになっている。十年前の方が新しい指し方へのチャレンジがあった」

その現状を憂えているかというと
「今、盤上で個性を出そうと思って指す棋士は少ない。今後は芸術者から研究者の側面が強くなっていくでしょう」
と冷静に分析する。

そして、その研究にさぞ苦しみながら励んでいるのかと思いきや

「ただ暗記しているだけです。時間がかかって面倒だけど、やることは決まっているので」と笑ってみせる。