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完璧スキなし豊島将之挑戦者(31)王位戦第1局で完勝 藤井聡太王位(18)8か月ぶり先手番敗戦
松本博文 | 将棋ライター
6/30(水) 20:10

豊島「△3三桂跳ねて、後手番としてはまずまずの展開だったですか」

藤井「こちらの陣形はキズが多くて。6八玉型が5七を受けづらいとか、4五歩が伸び過ぎだとか。ちょっとまとめ方が難しい展開にはなってしまったかもしれません。▲4四歩から▲1五歩で悪化させたですかね。かえってこちらの飛車角の利きがわるくなってしまったかもしれないから」

 本譜、藤井二冠は1筋、豊島王位は9筋からそれぞれ端を攻めていきます。

藤井「△9五歩と突かれた手が、思っていた以上に厳しくて、すでに思わしくない形勢なのかなというふうに思いました。正確に攻められてしまって。かなり苦しくなってしまったのかな、という印象でした」

豊島「(端の取り込み合いは)先手の方が先に取り込んでいるので、ちょっとわからなかったですね。こちらも桂馬が先に跳ねて2枚使える形になっているので。目一杯さしてる気がしたんですけど。形勢はちょっとわからなかったですね」

 1日目夕方。封じ手まで約20分というところで、藤井王位は飛車取りに歩を打ちます。コンピュータ将棋ソフトが示す評価値では、ここで少し差が広がったようです。

 藤井王位が1筋で香を取ったあと、豊島挑戦者も9筋で香を取り返せる形でした。しかしそうせず、歩を垂らして形勢リードをはかります。

豊島「△9七歩垂らすところで、香車を取る手と△9七歩垂らす手と両方あるので。どちらかでわるくない順があればと思いました」

 進んで駒得となり、豊島挑戦者がはっきり優位を築きます。

 豊島「△3七香を打ち込んでいって先手で攻めれるので。よくなっているような気がしました。攻めていける展開になっていたので、正確に指していければいけそうな気はしていたんですけど」

 藤井王位は生涯勝率8割4分から3分で推移している、異次元の存在です。

 その藤井王位を相手に、豊島竜王は完璧な指し回しで勝利。対戦成績を7勝1敗(勝率0.875)としました。