真田圭一八段解説、いいね。よく分かる

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藤井2冠王位防衛! 序中盤での過去最長長考に秘められたものとは 真田圭一八段解説 8/25(水) 19:00

またも続く相掛かりでガチンコ対決!

さて、戦型は先手の藤井2冠の誘導で相掛かりに。この両者の対戦では連続している。とはいえ、自由度の高い相掛かりは、以前の対戦内容から外れ、序盤の早い段階で変化することが多い。両者が力比べ望むところ、という思惑で一致しているフシが感じられる。

 1日目の注目点は41手目、昼食休憩を挟んでの2時間の長考での▲7四歩だ。2時間超えの長考は藤井2冠の過去最長であるとのこと。序盤から中盤にかけての難所であるとはいえ、この長考は藤井2冠の充実ぶりを感じさせた。

心に余裕がないとできない。相手の出方もまた広い序中盤戦においては、全ては読み切れず、またある程度の読みの内容はムダになるかもしれないことを受け入れる必要がある。そういったリスクよりも、将棋の真理を求める気持ちが上回っていたのだろう。「目先の1勝」にとらわれていないゆとりがある。

40分考えて挑んだ△7五銀が敗着に

 2日目に入り、50手目△7五銀と決戦を挑みながら、続く▲9七桂に△8四飛と銀損に甘んじる撤退は驚きを与えた。プロなら▲9七桂を見落とすはずもない。推測するに、当然△8四飛では△6六銀▲8五桂△7七銀成と斬り込むのが読みの本線だったはずだ。

 △7五銀には40分考えている。ここからさらに深堀りすると、前日の封じ手以降、昨晩は相当に読みを入れたのではないか。△7五銀の筋も考えたのだろう。そうした中で、あまりにも多くの変化を考えると、相手の形や手順によって成立する変化と成立しない変化、それらが混同してしまうことがある。豊島2冠は、昨晩からの膨大な読み筋の中で、何か本譜とは別の変化と勘違いしてしまったのではないか。銀損確定の△8四飛に1時間以上かけた苦しい胸のうちは察するに余りある。

 決定的なリードを奪ってからの藤井2冠は、手堅く、手厚くと安全運転そのもの。己の終盤力に絶対の自信があるので、全く慌てたり焦ったりということがない。このまま押し切り、結局△7五銀が敗着ということにはなったが、どちらかといえば力が入り過ぎたが故の失着と言えるだろう。