>>465
杉村 HEROZは会社のマシンが使われてないときには、社員の皆さんは使っていいそうなんです。その使っていいマシンが一般人の1000倍ぐらいの性能で(笑)。それに対抗できるのかっていう話になっています。
松本 大資本は強い(笑)。ただ日本のコンピュータ将棋開発は、基本的には企業や大学といった大きな組織よりも、個人の努力によって大きく発展してきた経緯があります。それでもまたいまはマシンパワーが必要な時代なんですね。コンピュータ将棋選手権を見ていると、時代によって変遷を感じます。いままではCPUのパワーが必要だった。

松本 DL系にスキというか、弱点はないんですか?
杉村 DL系は仕組上、頓死が防ぎにくいと思うんです。

松本 それ不思議ですよね。
杉村 探索速度が1000分の1とかなので。やっぱり即詰みなど、読み進めた結果が重要な局面には弱いですね。なので、わざわざ詰将棋エンジンを別に動かしているっていう仕組を取っていて。それでも5手先の必至とか相当ダメなんです。それで逆転負けするという。それが防ぎづらいですね。そこがチェスとか囲碁とかと違うところかもしれません。将棋って終盤になっても全然合法手減らないじゃないですか。持ち駒が使えるので。チェスはどんどん駒が減っていくし、囲碁もどんどん打てる場所が減っていく。おそらく終盤が簡単になってると思うんですけど、将棋は合法手が減らないので。

松本 DL系のソフトを使っている棋士というのは?
杉村 藤井聡太先生が使われるというインタビュー記事を見ました。あと、私がちょくちょくお会いしている棋士は使っています。

松本 DL系が水匠と違う候補手を選ぶっていうのは、よくあるんですね。
杉村 そうですね。それがとても面白いので、ぜひ。

渡辺 へええ。そんな違う手を選ぶんですか。
杉村 今度ですね、dlshogiと水匠の長時間マッチをやろうと。

渡辺 それ、エキシビションマッチなんですか?
杉村 そうです。いままでのNNUE型とDL型がいま本当にいい勝負だと思うので、ちょうどいいところでやっとこうかな、と。

松本 新興勢力とね。
杉村 いい勝負だと思います。