>>770
おお、ありがとう、これだね
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私はなぜ藤井聡太に勝てるのか 深浦康市
文藝春秋digital 2021年12月10日

唯一、2勝以上勝ちこしているベテランが秘策を明かす。/文・深浦康市(将棋棋士・9段)

目次
「地球代表が深浦だ」
藤井聡太が強いから勝てた
最善手を指しつづけた藤井
「冠」で歴史に名前を刻む
屈辱に甘んじても逆転を狙う
「粘り」の原点
将棋に懸けた修行時代
経験は活きない

「地球代表が深浦だ」
いま将棋の世界の中心にいるのが藤井聡太さんだということは、皆さんもご存じでしょう。先日、将棋界最高峰のタイトル「竜王」を奪取して、史上最年少、初の10代での4冠に輝きました。相手の豊島将之さんもトップ3に入る実力者なので、きっと競り合う内容になると思っていたのに、まさかの4連勝。これには私も驚きました。

プロデビューして30年、中原誠先生や米長邦雄先生、谷川浩司さん、羽生善治さんといった名だたる棋士と対戦してきた私から見ても、特筆すべき才能だと思います。

将棋ファンのなかには、かつて全タイトルを独占していた羽生さんと、藤井さんをならべて「将棋星人だ」と言う人もいるそうです。あまりに人間離れした強さなので、同じ星に生まれたとは思えないということでしょう。それは分かりますが、その2人に続いて、私の名前が挙げられていると知り、ビックリしました。

「羽生や藤井が将棋星人なら、地球代表が深浦だ」

私が初めてタイトルに挑んだのは25年前。24歳で王位戦に挑みました。相手は7冠時代の羽生さん。「強敵に勝ってタイトルを取りたい」という思いが先走り、気持ちがたかぶって指し手が乱れてしまいました。結果は1勝4敗と惨敗です。

しかし藤井さんは、そうした気持ちの波を抑え込んで、盤面に集中していたのでしょう。

最善手を指しつづけた藤井