背水の陣の豊島竜王へ、地元の応援団が激アツ声援「1人で戦っているわけではない」/将棋
https://www.sanspo.com/article/20211112-CCQKI43LMRKSRA6RP7VLEKA45I/

将棋の藤井聡太三冠(19)=棋聖・王位・叡王=が豊島将之竜王(31)に挑戦する第34期竜王戦七番勝負の第4局は12日、山口県宇部市で始まり、1日目は後手の藤井三冠が74手目を封じて終了した。

3連覇を目指す豊島竜王は開幕から3連敗。本局で敗れれば無冠となる窮地からの巻き返しをはかるが、出身地、愛知県一宮市の応援団も熱いエールをおくっている。

豊島竜王は5歳の時に大阪府へ転居。現在も関西に居住するが、自己紹介では常に「一宮市出身」と口にする。大きな理由の1つがプロデビュー以来、不遇の時代も応援し続けてきてくれた一宮の人々との絆だ。

2007年に16歳で四段昇段し、早くから将来を嘱望されてきたが、無冠時代は長かった。しかし、18年に初の棋聖位を獲得するまで、タイトル戦などでの着物を買うためにと計6回、70万円ずつを寄付し続けてくれたのが、地元の尾張一宮将棋同好会だった。

この日、第4局の対局中継を一宮市の自宅で見つめた神田和徳会長(67)は「4日前にも、JT杯の副賞でもらったからと、お米1年分を送ってきてくれたばかりでした。将棋を学ぶ地元の子供たちに『食べて豊島竜王のように強くなれよ』と配りました」。

最後に話したのは11日午後で、電話でお米のお礼を伝えると「これから(対局室の)検分に行ってきます」と元気に話したという。神田さんは「豊島竜王も1人で戦っているわけではない。これまでだって何度も壁を乗り越えてきた。子供たちも皆、応援しています」と激励の言葉を口にした。注目の戦いは13日午前9時に再開する。