【散歩】永井荷風【踊子】
断腸亭日乗 永井荷風本人が朗読なさっていたんだね あまり上手いとはいえないけれど 永井荷風が谷崎の初期小説「少年」を読んで、
こう述懐しているという。
「私はもうつかれきった私自身の空想だけでは
とてもあの若い新進作家の書いた『少年』のような、
強い力の籠った製作を仕上る事ができない」 大げさだな
谷崎のような小説なら大衆作家はいくらでも書いている 荷風がもう年をとったので
清新さを出せなくなったと言ってるだけでしょう
デビュー時の谷崎作品中の清新さの部分を評価しているだけであって 荷風読むと出会う漢字とか熟語とか何使って調べてる?
大辞林のアプリじゃ偏奇館漫録読んでてもわからない場所ばかり NHK第2で「踊子」「勲章」の朗読やってるな。
ついでに「葛飾情話」のSP盤を元にした音源(山野楽器CD)流してくれないかな。
「葛飾情話」は1999年、2004年に蘇演されてるけどまたどこかで上演してくれないものか。
現存してる楽譜はピアノスコアのみで1999年以降のはそれを基にして初演時の編成に再編曲したもの。
曲がついてない部分は間奏曲をバックに弁士が語り、一方、永井荷風が歌詞書いた歌曲を挿入したりしてる。 永井荷風
1879年(明治12年)生 今年は生後140年。
1959年(昭和34年)没 今年は没後60年。
生後140年、没後60年、だからなのか、
今年は文庫新刊も出ています。
中公文庫「葛飾土産」
岩波文庫「問はずがたり」「浮沈・踊子」
「花火・来訪者」
など。
岩波文庫は永井荷風の新規の出版はないと思っていたから
ありがたいことです。
市川文学ミュージアムでは
「永井荷風と谷崎潤一郎展」
2019年11月2日(土)〜2020年1月19日(日) 断腸亭日乗全巻文庫セットにしたらそれなりに売れるで岩波はん 荷風が通った玉の井って神代辰巳監督の赤線玉の井ぬけられますって映画みたいな感じだったのかなあ >>631
神代辰巳監督、いいね!
もっと評価されてもいいと思ってる(´・ω・`) 70年代の日本文化の中で神代辰巳の映画は最高峰の一つじゃないかなあ 断腸亭日乗知らん漢字ばっかりでネットの辞書繰り繰りなんで読むの時間かかるな 短編?随筆?「狐」(明41年) 品の良い、いい日本語、
荷風を読むと日本語ここにありと心強く感じる。 NHK BS3 「偉人たちの健康診断」
好番組、ヒューマニスト荷風の終わり方は
いかにもNHKらしいが、大変勉強になった
見逃したファンは是非見るように 市川市の文学ミュージアムでの「永井荷風と谷崎潤一郎展」終わったね
こじんまりしてて濃密という展示でもなかったけど(個人の感想)
やり取りした書簡が展示されてて面白かった 新参の荷風ファンです。
埼玉県文学館で荷風も扱う展示があるそうなのでコロナに負けずに行ってきます。
荷風が腐女子向けキャラになってるのには仰天しますがまぁいいや。 各地でマラソン大会をやっているがアホの極みだ
荷風展くらいは問題ない、むしろスケスケで避難場所になる さいたま文学館の展示はコロナ騒ぎで中止だそうです。
残念ですがやむを得ず今回は諦めました。 >>640
また一つ、老人の行き場所が無くなったか 延期じゃなくて中止なの?HP見てもそこがわからない 日乗始まってすぐにスペイン風邪のパンデミックがあったんだよね
その時期の日乗読めば面白いかもしれないな 断膓亭日記巻之四大正九年歳次庚申 荷風年四十有二
正月十二日。曇天。午後野圃子来訪。夕餉の後忽然悪寒を覚え寝につく。目下流行の感冒に染みしなるべし。
正月十三日。体温四十度に昇る。
正月十四日。お房の姉おさくといへるもの、元櫓下の妓にて、今は四谷警察署長何某の世話になり、四谷にて妓家を営める由。泊りがけにて来り余の病を看護す。
正月十五日。大石君診察に来ること朝夕二回に及ぶ。
正月十六日。熱去らず。昏々として眠を貪る。
正月十七日。大石君来診。
正月十八日。渇を覚ること甚し。頻に黄橙を食ふ。
正月十九日。病床万一の事を慮りて遺書をしたゝむ。
正月二十日。病况依然たり。
正月廿一日。大石君又来診。最早気遣ふに及ばずといふ。
正月廿二日。悪熱次第に去る。目下流行の風邪に罹るもの多く死する由。余は不思議にもありてかひなき命を取り留めたり。
正月廿五日。母上余の病軽からざるを知り見舞に来らる。
正月廿六日。病床フロオベルの尺牘を読む 永井荷風のスレがあって、その直系の野坂昭如のスレがない。
知性がなさすぎる。 フランスに憧れた荷風さん、
今のパリの風景を見せたら何と書くかしらね 直系だから最高裁まで闘ったんだろう。
普通なら日和ってしまう 三遊亭圓朝のインタビュー
http://www1.cts.ne.jp/~inacolle/newpage47.htm 青春18きっぷを使って長野県から市川本八幡の市川市図書館に行く。
始発で行って最終で帰る無理やり日帰り旅行。
目当ては図書館の永井荷風関連の展示。
永井荷風展をやってるわけではなく他の作家の展示中。荷風の展示はコーナーが若干あるという程度。
それでも展示物は十分に楽しめた。
ジオラマも雰囲気が良い。
以前やっていたという永井荷風展と永井荷風と谷崎潤一郎展の図録を購入。
わかりやすくまとまっていて大満足。
良い買い物をした。
持ち帰って家でゆっくり楽しむ。
時間はなかったが市川、本八幡の雰囲気もよく旅をして良かったと思った。
長野県でずっと暮らすと本当にストレスが溜まる。荷風の面影を追って市川に来て良かった。 >>656
二人ともふさわしい死に方をしたよね(´・ω・`) プライドが高い人だよな
そう、これが男のダンディズムなんです 荷風の立膝
いわゆる江戸しぐさの一種だろ、丸いちゃぶ台で立膝してお茶を飲む
お婆さん見たことある、もっとも昔の田舎の畳屋のお爺さんも一服する時は立膝
やってたけどな >>65
こういう人は一筋縄ではいかないはず、
一夜にして心情が変化する人だと思うね >>66
荷風は市川在住の頃、毎日のように浅草に出かけているが
一体交通機関何を利用していたんだろ、金持ちだからタクシーか
、それとも電車? 驚くのは昼過ぎに家を出て飯食って女カラカって
とんぼ返りだろ、毎日だぞ毎日、すごい体力だと思わん? 漢文(漢学?)学んだだけあって
漢字の意味よく知ってるよな
「荷」には蓮の意味があるとか
さ >>87
貴方の心がけ次第だよ、歳を取ると
否が応でも荷風のようになる、体が
動かなくなるから >>109
小沢昭一も荷風に憧れていたのか
道理で浅草、下町、娼婦の匂いが
立ち込めてたな
タケシや欽ちゃんも一度くらい荷風とすれ違っているかも >>135
それこそ小沢昭一だろ
と書くと、喜んでるかもな、小沢昭一的こころって
テーマ音楽良かったわ >>187
高見恭子の父親の高見順は母親違いの庶子で
荷風はあえて無視してたそうだね >>217
つまり浅草行きはネタ仕込みの取材だったのか
まあ、半分女遊びだろな >>219
作家が小説で書かれるってそれだけ魅力ある人だったんたろ
作家冥利に尽きるよ、さすが文化勲章 三島も貰えないもんな >>221
なるほど、卓見だ
深く入り込むと三島のようにくどくなるもんな >>259
昔NHKのドラマで種田山頭火の生涯をフランキー堺主演でやっていた、
面白かったなあ 分け入っても分け入っても青い山 死後奥さんが
寂しい歌ばっか作ってってw NHKは是非とも永井荷風のを主演 >>1
>散歩と踊り子が大好き
果たしてそうだろうか
荷風はやっぱり惣領の甚六なんだな
次男三男には生まれない >>260
80歳 死亡直後の預金通帳残高(常時携帯)
現在換算 300,000,000円 >>266
NHKのドラマ化頼む
主演(荷風) 岸部一徳
>>266
NHKのドラマ化頼む
主演(荷風) 岸部一徳
>>268
結局、文豪って何だろう
俺的に言わせて貰うと簡易な文章で意思を余す処なく伝えるのが文豪だと思うが >>272 >>276
ここで言う清潔は
精神上の事を言うのであって形而上的見方だろ >>273
転載ありがとう
荷風の人となりが僅かだがキッチリと表現したよな
さすが文学者だわ >>273
最低でもこれ位の文が俺にも書ければって、ついつい思ってしまう
羨ましいわ >>274
太宰 女々しい奴
女々しい奴って小説書けば良かったのに 芥川賞欲しいってw >>290
宇野鴻一郎という元は芥川賞作家が夕刊フジ上でエロ小説書いてたけど
荷風さんと比べて >>291
芥川の小説に出て来た建築用語の多様さに驚いたことあるけど
ああいうのは全部頭に入っているのかね、それとも
辞書を引き引き書いたものか、どっちなんかねw >>292前後
みんな本読んでるんだな
感心するわ >>294
知識の差か 日本の未来暗いな
だんだん悪い方向じゃん >>303
>江藤淳
品川駅の横須賀線ホームの上の飲み屋で見かけた、当時は
国鉄民営化のドサクサで飲み屋は行き場を失った組合員が
始めた酒場のはず、秘書、編集者か3人だった、家は
鎌倉でその後自死された >>309
3億円の預金通帳持ち歩いてる人には
屁でもない >>314
石川淳つて見方が浅いのねw
ダンディズムが分かってねーわw >>311
親鸞聖人の歎異抄を思い出したわ
盗作だなw >>315
たけくらべって丈比べって意味なんだろうか
読んでないので >>319
違う、荷風は小便臭いガキは嫌いなはず 年増ずき >>326
「荷」には「蓮」って意味あるらしいね、荷風初恋の彼女の名前から取ったとか
この時にそう言ってたのかもね 荷風散人って何回か見てきたが意味あるの初めて知ったわ、なるほどね
さんじん
【散人】
1.世事を離れて自由に暮らす、ひまな人。散士。閑人。
2.役に立たない、無能な人。 >>393
イメージ沸かないな
荷風は少女趣味じゃないよ、タバコと濃い化粧と真っ赤なマニキュア、
場末の大柄な女が好きなんだよ、所で、当時有楽町駅前に日劇ミュージック
ホールがあったはずで、半裸でラインダンス踊ってたと思うけど(浅草
松竹も)、荷風の日記には見に行ったとか無いのかね、あき竹城とか居たんだろ
あき竹城 http://twitpic.com/4rfqyr >>401
断腸亭日乗の断腸って意味は立腹してるってことかね
日乗は何となく分かるがw >>422
世間体を気にしていればまず無理
いわば大金持ちのホームレスだよ荷風は >>430
絵画的な描写・・・・・難しいいいいい
「小説永井荷風」 映画化して欲しいよホント 赤字必至かね >>441
彼は覚めた目で見ているはずだよ、決して付和雷同することなく
2015.08.30調べた
>主催者発表12万人なのに警察調べ3万人 デモ参加者数、なぜ ... >>446
九条の会に名前貸して後で後悔してそうだよな、
だって気が弱そうじゃないか >>451
丸谷才一がいい文章を書きたければ
外国語を勉強しろと言ってたな、まあ外国語ったっても朝鮮中国語じゃないだろうけどさ >>452
調べたら、その谷崎より3年後に文化勲章受章なんだなw
また、荷風を見たことあるという小沢昭一は文化勲章辞退だそうだ
小沢昭一文化勲章!? w >>458 >>459
お前ら何怒ってんだ、荷風先生で良いじゃないか >>502
わかるような気がする
兄弟親せきとかも去って行ったんだろ、原因知らんけど
生き方だけでなくお金が絡んでいないかな >>556
>建築に対する見識も卓越している
>>686に書いたように芥川も詳しいんだよ、どちらか真似たのかもw 残念なことに未だに
荷風がかつ丼食ってる写真が無いことだよ
並かつ丼と上お新香、そして日本酒一合 かしわ南蛮食ってる写真あった
厨房から覗き見する女将さんらが
実在感を醸してる >>658から >>720は
わたくしが書きました 記念かきこと言うそうです 阿部寛にコートに牛乳瓶の底みたいな眼鏡かけさせて、杖とカバンを持って歩いてもらいたい。 井上章一の「愛の空間」を今更読んだんだけど荷風ファン必読かも 谷崎の日記によると空襲で焼ける寸前に谷崎は偏奇館の荷風を最初で最後の訪問したらしいが外観はボロボロの幽霊屋敷みたいに見えたと書いてる
中も散らかり放題でグシャグシャだったんだろうか? 戦前の遊郭や芸者、待合なんぞも一般の人からしたら今のソープやキャバクラに一般人が感じる感覚と似たようなもんだったんですかねえ? もうちょっと粋な感じだったんじゃないかな。キャバクラやソープに粋なんて全く無いし、ひたすら野暮なだけだから違うと思う。 いや『おかめ笹』だとひたすらいかがわしいものというかあのドラ息子の待合通いも今のキャバクラ通いのように見えちゃうからさ カフェーや銘酒屋になると明らかに今の感じに近いんだろうなあ
一般人からしたら猥雑でいかがわしい場所に作家が粋を見出すかどうかなんだろうか
荷風ならソープやキャバクラや援交を粋に描けたかもね!? 戦後のケバケバの粋もへったくれもない浅草ストリップを愛した荷風ならソープ、キャバクラ、ピンサロ、イメクラにも美と一抹の情味と哀愁を感じて小説に仕立て上げただろうな
東京に江戸を幻視しつつモダンな風俗をも愛した荷風に倣ってこの糞みたいな東京に荷風の東京を幻視しつつ今時の風俗もジックリ観察しなきゃ駄目だ 遊郭とかはセックスだけじゃなくていろんな芸事とかあるんだろう ゾラの影響下にある初期作品が好きです。
ほとんど語られる事のない短編「夜の心」とか。 明治大正ならまだ和服が一般的だし和服に特別感無い当時は艶っぽい着こなししてた芸者や娼妓は今のお水っぽい洋服着てる風俗嬢みたいにしか見えなかったかもしれない
昭和になって日本人がモダンになるにつれて花柳界は伝統芸能の意識を持ったみたいだし今のわれわれも和服には特別感を持ってしまうからな 大阪・飛田新地の元遊郭「鯛よし百番」が老朽化でピンチ 修復工事のためにクラウドファンディング実施
「建築見学ツアー」や「撮影会」など、レアなリターンも。
https://www.google.co.jp/amp/s/nlab.itmedia.co.jp/nl/amp/2107/04/news023.html >>717
単なる嫉妬だろ。
戦後80年、今まさに永井荷風が生き返る。
あまりにも馬鹿馬鹿しい太平洋戦争を作家としてその渦中からレポートした
未来永劫伝わる傑作を書いた これをして何の批判が出来ようか。 話は変わりますが、
断腸亭日乗
昭和24年6月15日、同年6月18日。
浅草で夜、電車待ちをしていた時、夜の女性から声を
かけられ、身の上話を聞き、100円札3枚をマッチ箱に
入れて女性に渡したと言う話。
これを読んだ後に短編小説「吾妻橋」を読むと、
面白いと思います。
「吾妻橋」は大衆向けの短編小説だけど、浅草周辺の
描写も詳しかったので、読んだ後、久しぶりに浅草に
行きたくなり、吾妻橋、浅草寺とその周辺を
歩いてみました。 荷風は風俗に関しては江戸時代以来の吉原遊廓より待合芸者、銀座のカフェー、玉の井の銘酒屋、浅草ストリップと時代の最先端風俗にいつも御執心なんだよな おれも>>93はキモいと思うな
誰が何に癒しを求めようが他人がキモイと言う筋合いはない うっかり大昔の書き込みにレスしてしまった
申し訳ない >>740
墨田ユキの脱ぎっぷりもよかったよね
荷風さんの『墨東綺譚』そのものも十分面白いけど、
安岡章太郎が書いた『私の墨東綺譚』も読んだら、いろいろな時代背景も
わかって興味深かったよ(´・ω・`) 1992年版の墨東奇譚は原作の雰囲気をみごとに再現してあるな 新藤兼人は終戦間際の断腸亭日乗を、佐藤慶を永井荷風に見立てて表現してる。
NHKの番組を制作した。
それが傑作なのである。横浜市の放送ライブラリーに所蔵されているが、
佐藤慶がまさに永井荷風になっているのだ。実在しているのである。
今、永井荷風を演じるとしたら私は佐野史郎しかないと思っている。死の瀬戸際まで
至ったからこそ分かる死生観を表現して永井荷風の実在感ある演技を期待している。
ドラマ化されないだろうか?それは、今の制作者たちの熱情次第だ。 昭和15年に出版社と全集だす契約結んだけど発売は20年冬からにしてくれって条件だったとか 多分戦争終わって文化的な需要がでてくるって読んでたんじゃないかと堀江敏幸の評 最近、荷風にハマって「断腸亭日乗」「墨東奇譚」「つゆのあとさき」を読みました
他にこれは読んどけって本、ありますか?
「あめりか」「ふらんす」以外で >>751
腕くらべ、おかめ笹、浮沈・踊子あたりはいかがでしょう?
腕くらべは新品売ってるかわからないけど中古であると思います 751です
ありがとうございます
ブックオフにあるか見てきます >>754
参考までに腕くらべはAmazonなら中古で500円前後、おかめ笹はちょっと高くて1000円~って感じでしたよ
あとはネットの中古屋さん他にもあるからブックオフに無かったら調べてみて下さい 751=754です
ようやく、おかめ笹と すみだがわ を入手しました
おかめ笹は面白く読めたのですが、すみだがわの風景などの描写が
あまりにも素晴らしいので、ちょっと感動しました
今まで色んな作家の本を読んでるけど、あんなに精緻かつキラキラした描写は
初めてと言って良いほどです。
荷風先生がこれほどまでに素晴らしい方だったとは、
恥ずかしながら知りませんでした。
勧めてくださった方、ありがとうございます
けど、まだまだ入手出来てないのがあるので
そちらも楽しみです >>756
>>752です、楽しめたようで良かったです~ 岩波だと随筆集上下巻も良かったし
中公文庫から最近3冊くらい新しく出たものもありますよ BOOKOFF 数年前にね チェックした時も高かったし今も買取価格ですでに高いんだけど
どれだけ永井荷風の価値が高い かってことだよ 独身で、文章書いたり散髪したり美味い飯食ったり風俗行ったり、の気の赴くままの毎日
それを昭和の30年間続けている
羨ましい人生だと思う
俺も金さえあればそういう人生を送りたいんだが でも戦前も戦後も割と同じ店に通っていわゆる美食家ってタイプではないよな
谷崎なんかと違ってあんまり食に対するこだわりは薄そう もっとも荷風がのんきに気ままな毎日を送るようになってからは、文学作品はイマイチになったのだろうね
ハングリー精神を失うと傑作を生み出すことはできない グルメ、散歩、風俗通い、執筆
他のことをやらずにその4つだけをやって30年とは、最高の人生を送っているわけじゃないか
文化勲章ということは世間的にも評価されていたわけだし 文藝春秋
荷風の末裔
磯ア 憲一郎
2024/03/07
昨年の夏に父が亡くなってから以降、年が明けて現在に至るまで、なぜだか荷風の文章ば
かり読んでいる。父が永井荷風の愛読者だったというわけではない、しかし父の生まれ育っ
た葛飾区亀有の、開渠沿いに蛇行しながら続く板塀や、踏み固められた地面から立ち上(の
ぼ)る湿気の、あの冷んやりとした感触を、荷風の書いた描写から思い出している、という
部分はあるかもしれない、父の実家の庭の土は石炭でも含んでいるかのように真っ黒で、子
供の素手では容易に掘り返せないぐらい硬かった、私が住んでいた千葉の赤土の地面とは明
らかに違っていた。
『濹東綺譚』は二十数年振りに再読したのだが、「大江匡」と名乗る語り手の「わたくし」
が、英語教師「種田順平」を主人公とする「失踪」と題する小説を書き進めながら、私娼街
玉の井で出会った「お雪」との交情を描く、一方で当然ながら読者は作者があの永井荷風で
あることも了解していると考え併せると、本作はどうしてこんな複雑な二重、三重の入れ子
構造を持つに至ったのか、やはり不可解に感じられる。自分自身も物書きとなった今、改め
てじっくり読み返してみると、いかにも小説らしいカタルシスにだけは意地でも流されまい
とする作者の捨て身の抵抗が、この歪ともいえる作品構造に結実したように思われてならな
い、唐突に挟まれる注釈や逸脱は、その抵抗の痕跡なのかもしれない。