[白鯨]ハーマン・メルヴィル[バートルビー]
アメリカ文学の巨人のスレッドがしばらくなかったので立てておく。 白鯨は1851年に発表された作品。
1851年は嘉永4年、つまり徳川家康で孝明天皇の御世。
旧約聖書、創世記弟一章二十一節:
and god created great whales, and ...
旧約聖書は、欧米人が鯨をガンガン乱獲して鯨油だけとり、
ほかは捨てていたって状況のときにも存在していたはずだけどね。 昔、挫折した。
今回、岩波と講談社の2種を用意したので並行して読むつもり。 >>410
ぼくも白鯨は三回くらい挫折してる
よかったら一緒に読んでくれないか
ぼくは意志が弱いので一人だと読み切れないと思うんだ
といっても他人には関係のないことだから無視してもらって構わないよ 『白鯨』はかつて阿部知二訳ですらすら読めた。
挫折したままなのは『ドン・キホーテ』。
現岩波の訳はいいのだが、なぜか話に興味が湧かない。 1851年というのはゴールドラッシュが始まった3年後だということは重要な影響を白鯨に与えている
1849年にカリフォルニアに集まった49ersと呼ばれる男たち、そしてそれを見て集まった51ersと呼ばれる女たち
彼らはどこから来たのかナンタケットから大陸を横断してではない。船に乗り、パナマへ行き、パナマ地峡を渡り、そこから船でカリフォルニアに行ったのだ
白鯨を追う旅が南米大陸南端を越えて太平洋に行く、と最初言及されながら途中でなぜか断念して東回りの経路をとって日本のそばを通って太平洋に行くことに注目した人はいるだろうか
まさにゴールドラッシュの影響で、メルヴィルが船乗り時代に当たり前であった南米南端を回る経路が時代遅れになってゆく時だったのだ >>411
いいけれど。
現在、岩波と新潮の『カラマーゾフの兄弟』を精読中なのね。
残りが3分の1ある。
たぶん3月中には読了すると思う。
次に北御門訳と藤沼訳の『戦争と平和』を読もうと思っていたけれど、
4月からならいいよ。
ただしぼくはメモをとりながら読むから遅読だよ。 白鯨の読み方
ノートを用意する。大学ノートの、あれば大判がよいな。
で、左側に英文を、右側に自分で考えた邦訳をつける。無論わからない言葉は辞書
で調べる。
ムリをせず、気の向いたときでいいから、少しずつでもやってみる。
やっている限り、挫折しているわけではない。
この方法のいいところは、途中までのところをリマインドするのに時間がかからない
こと。時間をおくと訳も改善できることがある。また、挫折した、なんて後ろ向きの感慨を持たずにすむ。
欠点は、ノートの消費が激しいこと。 原文で読むのが前提となってるのか?
内容が難しいのではなくて英文が難しい? 文学作品で>>418のような読み方は難しい。
感興がそがれてしまう。 >>418は何か勘違いした読み方でしょう
再読時に、とか20世紀実験小説にはともかく白鯨の初回の読み方ではないかな >>425-427,429は同一人物に決まってるだろが(笑 では、反応もいいので、詳細に入ろう。
テキストは絵がすきならpenguinかな。コメンタリなどがついているので、精読向きの本。
全部で1000ページ強。
RinehartEditionsは絵もなく600ページ弱。ほかにも何冊かあるだろう。
まず、スケジュールをたてる。2年ではちょっと長すぎるかも。まあ、1年半くらいが
茶々入れてきたやつにはちょうどいいかも。
一日に何時間使うかは、一回やってみて決めればいい。
一日分の英文をまず左に、間隔を多めにとって写す。次に右。辞書なしで訳せるところは
まず訳す。辞書は知らない言葉を調べるためだけに用いる。辞書読みに時間をかけない。
これで99%は訳がうまるだろう。わからないところは英文にマークして終了だ。
翌日は英文を写す前に前日分に目を通す。これは流れをリマインドするため。
わからないところはざっと見てわかってしまうかもしれない。
であとは同じ。
邪道だが、鯨学は飛ばして、最後までいってから戻るのもいい。
1851年と2016年の違い、アメリカと日本の違い、などを考えると、読書の重みは
今と比較にならないほど濃かったと推測できる。
映画もアニメもマンガもないわけだから、じっくり読書ができる惠まれた環境だった、
と言えるかもしれない。
別に苦行しろと言っているわけじゃないんで、翻訳を読むのもいいだろう。
でも、まさか翻訳をそのまま右に写すのは意味ないぞ。訳はあくまで自分の訳に
こだわれ。納得して訳を盜むと言うならそれもよし。でも、そういうことをするなら
自分で一日一回だけ、とかの制限をつけたほうがいいと思う。
1ヶ月続けられゝばおそらく大丈夫だろう。完走すれば英語力アップ間違いなしだ!
挫折はダメだけど、中断ならよし。英気を養って再開すればいいだけだからな。
健闘を祈る。 英語が好きなやつは原文で読めばいい
俺は岩波文庫のやつを三日間じっくり読み通して
めちゃくちゃ充実感味わったわ ノートを取ってどうたらこうたら
お勉強みたいな読書は好きじゃねーな メルヴィルにお勉強みたいな読書は似合わないわな
がちで文献学的考察するのでもなく、ぬるい読書するのなら無意味な作家
メルヴィルや同時代の風潮を網羅して読解するならともかく、白鯨だけを読むのはあんまり意味ない おまえにとって意味がなくても
俺にとって意味があればそれでよし >おまえにとって意味がなくても
じゃなくて他人に意味を持たせられようなことが書けないなら、一人で読んでればいいんじゃないかな
たぶんこれまで散々馬鹿にされてきた人の書き込み見たいだけど。
ぬるい読み方の無駄な書き込み続けて楽しいのかね?
428 名前:吾輩は名無しである :2016/03/05(土) 21:38:12.28
できない言い訳はいいから(笑
430 名前:吾輩は名無しである :2016/03/05(土) 22:42:57.01
>>425-427,429は同一人物に決まってるだろが(笑
431 名前:吾輩は名無しである :2016/03/05(土) 23:20:57.83
では、反応もいいので、詳細に入ろう。
テキストは絵がすきならpenguinかな。コメンタリなどがついているので、精読向きの本。
全部で1000ページ強。
RinehartEditionsは絵もなく600ページ弱。ほかにも何冊かあるだろう。
まず、スケジュールをたてる。2年ではちょっと長すぎるかも。まあ、1年半くらいが
茶々入れてきたやつにはちょうどいいかも。
一日に何時間使うかは、一回やってみて決めればいい。
一日分の英文をまず左に、間隔を多めにとって写す。次に右。辞書なしで訳せるところは
まず訳す。辞書は知らない言葉を調べるためだけに用いる。辞書読みに時間をかけない。
これで99%は訳がうまるだろう。わからないところは英文にマークして終了だ。
翌日は英文を写す前に前日分に目を通す。これは流れをリマインドするため。
わからないところはざっと見てわかってしまうかもしれない。
であとは同じ。
(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)
437 名前:吾輩は名無しである :2016/03/06(日) 00:32:42.85
おまえにとって意味がなくても
俺にとって意味があればそれでよし 勉強自慢の長たらしい無意味な書き込みは迷惑だわな
まあ、こんなのに限って実際には勉強できないんだよなw ほんとamazonでページ数だけ検索したような書き込みでまるで読んでないような阿呆が書き込んでるからな
日本の注釈よりも詳しい注釈本って皆無だということすら知らない馬鹿が恥さらしている ほんとamazonでページ数だけ検索したような書き込みでまるで読んでないような阿呆が書き込んでるからな
日本の注釈よりも詳しい注釈本って皆無だということすら知らない馬鹿が恥さらしている >>438
>>439
>>440
きいてるきいてる(笑
意味のないことしか書けないんじゃしょうがないねえ…。スレの無駄だよ やばいな白鯨面白すぎる
この文体は癖になる
翻訳だけど
暫くしたら原文でも読んでみたい >>446
集英社版世界文学全集38巻 幾野宏訳
岩波文庫も持ってるけどこっちのほうが読みやすい 『白鯨との闘い』(はくげいとのたたかい、原題: In the Heart of the Sea)は、
アメリカ合衆国で製作され、2015年に公開されたヒューマン・アクション映画である。
原作はナサニエル・フィルブリックの『復讐する海 捕鯨船エセックス号の悲劇』。監督はロン・ハワード、主演はクリス・ヘムズワースが務める。
『白鯨のいた海』という邦題で公開される予定であったが、後に変更となった。
1850年、アメリカの新進作家ハーマン・メルヴィルは、トーマスという男を訪ねた。
トーマスはかつてエセックス号という捕鯨船に乗り組み、巨大な白いマッコウクジラと戦った人々の最後の生き残りだった。
渋るトーマスから当時の壮絶な実話を聞き出すメルヴィル。
1819年、エセックス号は捕鯨基地ナンタケットを出港した。
船長は家柄だけで選ばれた未経験者のポラードで、ベテランの一等航海士チェイスはそれが不満だった。
船には14歳の孤児トーマスもキャビン・ボーイとして乗り組んでいた。
1年以上の航海でもなかなか鯨油を集められないエセックス号は、
噂を頼りに南米大陸から2000マイル(3700キロメートル)以上離れた未知の海域に乗り出した。
マッコウクジラの大群を見つけて色めき立つ船員たち。だが、群れを率いていたのは巨大で凶暴な白鯨だった。
船員たちは白鯨に銛を打ち込むも、逆襲され沈没するエセックス号。3艘のボートに分乗した船員たちは、僅かな水と食料で漂流を始めた。
船員たちは途中で無人島であるデュシー島にたどり着くが、
島にいても生存は見込めないことを知り、残留を希望した数名を残して、再び洋上を漂流した。
その後食糧は尽き、最終的に生き残るためには、死者の肉を食べる必要もあった。
90日の漂流の後、救助されたのは船長とチェイス、若いトーマスなど、ほんの数名に過ぎなかった。
トーマスはその後、漂流中の体験を妻にさえ語らず、苦しみ続けて来た。メルヴィルに全てを語ることで、救われるトーマス。
1年後にメルヴィルは、取材した実話ではなく、そこから膨らませたフィクションの『白鯨』を出版した。 『白鯨伝説』は、NHK衛星第2テレビジョンの「衛星アニメ劇場」内で1997年から1999年にかけて放送された日本のテレビアニメシリーズ。
監督・絵コンテ - 出崎統
デュウ
声 - 関俊彦
エイハブ
声 - 大塚明夫
ラッキー
声 - 水谷優子 マートン・スィールツ著『メルヴィルの讀書』によれば、メルヴィルは西暦1850年の6月乃至7月に、
友人のエヴァート・ダイキンクからカーライルの『英雄崇拜論』及び『衣服哲學』を借りてゐる。
尤も、カーライルの影響は既刊の『マーディ』や『ホワイト・ジャケット』にも認められるし、
前年の英國旅行に際しては事前に知己を介してエマソンからカーライルへの紹介状を手に入れようとした程だから、
メルヴィルは初めて讀んだ譯ではなく、再讀のための借用であつたと推定される。
當時彼は、シェイクスピア、エマソン、ホーソーン等を貪るやうに讀んでをり、さうした作家たちの影響は翌年出版の『白鯨』に明らかだが、
やはり何と言つても「『白鯨』執筆の鍵となつたのはカーライル」であり
、「就中『衣服哲學』からメルヴィルは己がロマン的ヴィジョンを得たのである」と、ハロルド・ビーヴァーはペンギン・ブックス舊版『白鯨』の序文に書いてゐる。
實際、卷末の厖大な註釋にもカーライルからの數多の引證があつて、右の見解には實證的な裏附けの存する事が解る。
けれどもビーヴァーの關心は專ら、作品の有する變幻自在な表現樣式、そしてそのソース探し、パラレル搜しにあるやうで、
それらの技法が一體誰から如何なる影響を受けたものかに關する知識を提供する限りに於ては、彼の序文も註釋も讀者を裨益するものの、
何故メルヴィルがさういふ技法を採つたのか、或は採らねばならなかつたのか、といふ疑問には殆ど答へてくれないのである。
http://homepage3.nifty.com/okadash/melville.html 白鯨読むならどこが出してる本がいいですか?
日本語翻訳本で読みやすい(文字が小さ過ぎるのはNG)のがいいです 大熊 もう一つ『白鯨』ですが、私は阿部知二訳で慣れ親しんできたのですが、
2000年に千石英世さんが訳し直して、ちょっとした翻訳論議を呼びました。
千石訳は『白鯨』の10番目くらいの訳だそうですが、すべて既訳を参照したけれども、原文の不明な箇所というのが多々ある。
それをどうするかということで持ち出されてきたのが「解釈訳」という考え方です。
そうした新機軸に加えて、読みやすさという点でも大変改善されています。
例えば、阿部さんがウルフィッシュ・ワールドを「豺狼(さいろう)の世の中」なんて訳しているのが印象に残っていますが、
千石訳だと、そういう驚きはありません。
ただ、『白鯨』にしても『ユリシーズ』にしても、学問的な研究成果が蓄積されて、
テキストに新しい解釈を加える必要が出てきたので訳し直す、という理由はもっともなわけですが、それはかなり学問的なもので、
一般読者がそれを要求しているかどうかということとは、ちょっと違うとは思います。 >>455
白鯨は版画イラストに価値がある
イラストの綺麗なやつにしなさい 「ピエール」は文体に古いものを使っているからだと思うが
朗読 CD がない。難しいがとても優れた文章だと思う。
一生かかっても読み切れそうもない。 >>462
遅いレスだけど今年の5月に朗読CD発売されましたよ
結構発音なんかはよい感じです >>464
どうもありがとうございます。
CD がないかを調べたのはもう2年くらい前だったんです。
MP3 なので1枚というのは有り難いですね。
でも、英語も知らない単語が多いし、中身が分かってないからw >>465
正直なところ、朗読に向く小説でないのは確か
「天使は天使でしかないという偏見」
there prevails a sort of prejudice against angels, who are merely angels and nothing more >>467
そうじゃなくてangelってのがそもそも伝令者っていうのがもとの意味になっている
坂下訳だと
「天使(マーレフ)はただの伝令者(シュリーエフ)に他ならないなどと言う偏見もそうであろう」
邦訳ではわざわざヘブライ語を持ってきている
mal'akh:ヘブライ語聖書で一般に使われている天使(原義messenger)
shaliyah :天使においても人間においても使えるmessenger
ピエールって言う小説は一見通常の言葉を使っているように見せて思いっきり聖書の単語を使っている
しかも天使の伝令だけでなく神々しさ・美しさ(天使性)を強調して描写するのはただの婚約者に過ぎない
主人公はキリストとして描写されるし、頭が狂ったと言われるにふさわしい変な小説なわけです >>468
シャレのつもりのカキコが勉強になるレスが付いてた!
面白い話ありがとうございます 旧約の「マラキ書」のマラキは "My messenger" という意味だと習ったわ >>463
柴田はピンチョンの翻訳でも微妙だったしな
訳文に関しては八木の方が一枚上手だと感じる クィア短編小説集 名づけえぬ欲望の物語 (平凡社ライブラリー)
発売日:2016/08/16
「わしとわが煙突」 ハーマン・メルヴィル
「モッキングバード」 アンブローズ・ビアス
「赤毛連盟」 アーサー・コナン・ドイル
「三人のガリデブの冒険」 アーサー・コナン・ドイル
「ティルニー」 ワイルド
「ポールの場合」 ウィラ・キャザー
「彫刻家の葬式」 ウィラ・キャザー
「アルバート・ノッブスの人生」 ジョージ・ムア 2010:moby dick
でかけりゃいいってもんじゃない、ってことを教えてくれる映画 90 名前:番組の途中ですがアフィサイトへの転載は禁止です (ワッチョイ 367f-I0VL)[sage] 投稿日:2017/02/01(水) 19:06:55.67 ID:NMqkB8BL0
ナンタケット島に入植したクエーカー教徒たちが捕鯨産業を始めたという歴史があるらしくて
エイハブ船長や登場人物達は皆thou, thy, theeみたいな、クエーカー教徒風の古い表現を使ってるのを原書読んだときに知った
"I tell thee thou must not follow Ahab now."とかみたいに 訳注に書いてあることをなぜわざわざ得意げにコピペしてくるのかわからん 小谷野敦「藝術作品の価値というのは、科学的に証明できるようなものではないのである」
http://www.bookbang.jp/article/525912
メルヴィルの『モービィ・ディック』は、日本では『白鯨』と訳されていて、
しかしモービィ・ディックは鯨の名前なのだから、そのままの題で出すべきだと思う。
だがそれでは売れないと判断されるのか、阿部知二以来少なくとも十点の邦訳が出ているが、
今にいたるまで「モービィ・ディック」だけでだしたものはない。
私は大学三年の頃、カネがなく、古書店で新潮文庫のカヴァーなしぼろぼろの田中西二郎訳を上下巻百円で買ったのだが、
読み始めると夢中になって、
西浦和で家庭教師をしていたその帰りもう暗くなった西浦和駅で電車を待ちつつもむさぼるように読んでいたのを覚えている。
しかし、何がそんなに面白かったかというと、これを伝えるのは難しい。
刊行当初、理解されずにメルヴィルは海洋冒険小説作家としての名声を失い、二十世紀に再評価されたと言うが、
たぶん今でも、何がいいのか分からないという人はいるだろう。もちろんさまざまな解説はある。
その博物学的な記述がいいのだとも言えるし、私はそこに女性嫌悪を見出したりしたが、
そういう説明は結局でかい鯨を撫でるようなもので、
面白くないと言っていた人が、そういう解説で、なるほど! と急に面白く思えるようになったりはしないものである。 ビーートたけし「あああーん!あべぴょーん、らめえええええええー!ひぎーぃ!アナルが裂けちゃううううううっ!うぐっ!ほっほい!」 メルヴィル作『フォアトップマン』という作品があるらしいのですけれど、
邦訳はあるのでしょうか?
ご教示願います! >>486
紀田順一郎の本に出ていたのです。
『ビリー・バッド』のことだろうと思ったのですが、
ちょっぴり自信がありませんでした。
レスありがとうございます! 南が丘文庫
http://www.minamigaoka.info/BOOKS/
Official Homepage
横浜市立南が丘中学校の母体である、平成研究会、通称、経世会とは、自由党吉田茂派を起源に持ち、周山会(佐藤栄作派)・木曜クラブ(田中角栄派)の流れを汲む、鉄の軍団と呼ばれた保守本流集団である。
横浜市立南が丘中学校OB会 「ベニト・セレノ」(留守晴夫訳)を読んだ
アフリカへの帰還を願って船の中で反乱をおこし、シージャックを指揮した黒人奴隷バボが、訳者解説で一方的に「恐るべき悪党」「戦慄すべき悪魔性」と悪の権化みたいに形容されていて、思わず「造反有理!」って叫びたくなったわ 白鯨 モービィ・ディック 上 (講談社文芸文庫)
ハーマン・メルヴィル (著), 千石 英世 (翻訳)
出版社: 講談社 (2000/5/10)
白鯨 上 (岩波文庫)
ハーマン・メルヴィル (著), 八木 敏雄 (翻訳)
出版社: 岩波書店 (2004/8/19)
ビリー・バッド
ハーマン・メルヴィル (著), 留守晴夫 (翻訳)
出版社: 圭書房; 初版 (2009/8/7)
バートルビー/ベニト・セレノ
ハーマン・メルヴィル (著), 留守晴夫 (翻訳)
出版社: 圭書房; 第一版 (2011/1/10)
タイピー 南海の愛すべき食人族たち (シリーズ世界の文豪)
ハーマン・メルヴィル (著), 中山 善之 (翻訳)
出版社: 柏艪舎 (2012/3/20)
ビリー・バッド (光文社古典新訳文庫)
ハーマン メルヴィル (著), Herman Melville (原著), 飯野 友幸 (翻訳)
出版社: 光文社 (2012/12/6)
白鯨 (上) (角川文庫)
メルヴィル (著), 富田 彬 (翻訳)
出版社: KADOKAWA/角川書店; 改版 (2015/6/20)
書記バートルビー/漂流船 (古典新訳文庫)
メルヴィル (著), 牧野 有通 (翻訳)
出版社: 光文社 (2015/9/9) >>493
造反有理、その通り
確かに、悪夢的存在としても書かれているとも思う
しかし、悪夢的存在であっても悪魔的存在とは書かれていないと思ってしまう
それは、バボは何も言わないで死んでいく、犯罪が露見したあと、悪魔的に自己正当化を行わないことこそがこの小説の凄さ
単に反乱を起こしただけでなく、悪夢のように事件が鎮圧されても憑りついている
それは力が衰えつつある、反乱におびえる「白人」に「暴発」のイメージが幽霊のように憑りついている象徴的な、表現ではないかと思う
「ベニト・セレノー」は古くから「幽霊船」というタイトルをつけられてきた通り、リアリズムではないシンボリズムの小説として読んでいる >>495
うん、本編についてはその通りだと思う
特に「デラノにとってのバボ」と「セレノにとってのバボ」が最後まで徹底的に対比的に描かれていて
決してバボ自体は一面的には描かれてないよね
訳者解説がバボにちょっと容赦無さ過ぎるかな、と思っただけ サン・ドミニク号が霧の中から姿を現すとき、サヤ・イ・マンタのインディアンのノゾキアナからこちらを窺っているリマの密通女の邪眼と似ている、と描写される
このサヤ・イ・マンタというのは目だけ出した真っ黒いベール
向こうからは見えるが、こちらからは眼しか見えない
船に乗り込んだデラノ船長は黒人が物も言わず眼だけぎらぎら見つめているさまを黒い頭巾の修道士の一団かと見まがう
バボというのは肉体的にも奴隷の中で矮小で、スペイン語を話せるだけ
奴隷の中にいる王族アチュファルに鎖を巻き付けて奴隷のふりをさせる
巨漢で元セネガル王への隠微な見せしめはセネガルでも奴隷だったバボ以外には理由が見出せない
奴隷たちもまた、神=バボの意図を知ることができず、「黒い修道士たちのように」従う
バボの頭は絞首刑になった後も晒されるわけだけれど、「狡知の巣箱」というその頭は「僧院」をにらみ続け、その僧院にセレノは三か月後に埋葬される
バボはセネガル人なのだけれど、なぜ「インディアンの覗き穴」とされているのか?
ただ黒人名だけでなくて、インディアン根絶作戦(マニフェスト・デスティニー)を遂行しながら、無意識に住み着くインディアンに恐怖するアメリカ人を描いていると思う
ちなみにバボにだまされて、「反乱なんか忘れてしまえ、自然は美しいじゃないか」とセレノを励ますデラノ船長は、フランクリン・「デラノ」・ルーズヴェルト大統領の先祖で、100年後にラルフ・エリスンが「見えない男」を書く 白鯨を書いた直後のメルヴィルのホーソーンへの手紙
考えうる限り最も邪悪な小説を書くことができました
しかし終わりではありません
クジラよりも大きな怪物、クラーケンがいるのです
そして書かれた「ピエール」
静謐な海面から突然巨大な触手が屹立し、大海原の弧船を深海へ引きずり込む
その暗い触手が主人公を破滅させる様は白人に絡みついて覆いかさばる、黒い髪、サヤ・イ・マンタになぞらえられる
主人公の父が先住民族を強姦して生まれ、主人公を死に至らしめる異母姉イサベルは黒くて暗い髪の「眼だけが光る」密通女となり、大天使ルシファーたる完全無欠のいいなづけルーシーから主人公を寝取る
この女性はバボそのものなのだ
悪魔ではなく、悪夢であり、原罪であり、居座るバートルビーそのもの イサベルとは悪王エイハブの妻
孤児イシュマエルを破滅させ、タシュテゴや「アメリカ」を皆殺しにして自死するエイハブ
ただ一人理想的な白人ピエール(石=ペテロ)を砕き、光を陰らせるイサベル
石に覆いかぶさる黒い髪が絡みつくvine(蔦)と表現される
黒さ(dark)は犯罪を覆い隠し、父の犯した罪の隠ぺいを破壊してたどり着く息子と同根であり、息子を破壊しながら愛し、その死に縋りつく
バートルビーの失職は「政府がOfficeを閉鎖したから」であり、その時期に閉鎖されたOfficeはインディアン管理局のみ
インディアンとの果たされなかった契約(Dead Letter)をひたすら筆写し続けていたバートルビーは、ほかの仕事に就くことを拒み続け、別の場所に移動させられることを拒む
「私はそうしたくはないのです」
語られない過去に何を、してきて、裏切られたのか
バボーイサベルーバートルビー 新潮文庫の上巻で挫折した
船に乗るまでは面白く読めたんだが・・・
みんなすごいね 「ピエール」はハムレットの再解釈版だと思うけどなあ
ハムレットが懐疑の中で運命に抗いつつ行動し、
やがて破滅していく近代人の雛型なら
「ピエール」はその懐疑すら「運命」の中に組み込まれた
装置に過ぎないというもので
挙句の果てにバートルビーのように何もしないことのみを選択して
やはり死んでいくという境地にたどり着く
ここまでいくと殆どカフカの断食芸人のようなものだけど
メルヴィルはカフカの半世紀以上も前にこういう境地にたどり着いている
「ボヴァリー夫人」や「白痴」のようにある種の理想主義への幻滅があったのだろう
理想のみではなく思考自体への懐疑も射程に含んだものだろうから
そんな事をすると小説自体が成立しなくなる地点にまで追い込まれかねない とりあえず新潮文庫を再開してみた
1回10ページづつゆっくりと進めていこう とりあえず上巻を読了
このペースだと今年中に読み終わるかどうか・・・
だんだん面白くはなってきたが