>>664-665
君も読んだことがあると思うけど、太宰に『お伽草紙』という戦中の作品がある。

たとえばその中の「カチカチ山」は、たいして悪いことをしていないタヌキが小悪魔のウサギに惨殺されるという作品だ。
ある独身の中年醜男が、分不相応にも処女である美少女に恋をしてしまったときの心の動きがそのまま物語として紡ぎだされている。
太宰はその心と物語を、まさに過不足なく書ききっている。

こういうものを戦争で罹災しながら書いたという太宰の天才には驚愕するばかりだ。
君にはどう見えるんだろう?