>>14のつづき
鈴木「生意気な言い方すると、それは彼の密かな苦しみだったんじゃないかと僕は思っています。彼が晩年に電
   話でよく繰り返していた事だけど、突然、「俺はもうエンターテイメントはやらん」って言ったりするん
   だよね(そう言った後でまた一つエンターテイメント風のものを描いていたけれど…)。それで僕が「じ
   ゃあ、どうするの?」って訊くと、「俺はもう本当の事しか描かへん」って言うわけ。で、次の電話にな
   ると、「俺はもう描くのはやめや」って言うの。で、「どうするの?」って言うと、「ロックをやる」っ
   てね。「お前も一緒にやれ」とか言ってね(笑)だから多分、これは別の意味での彼の「垂直性」のやぶ
   れかぶれの表出でもあるんだろうけれど、自分の「端正さ」や「才能」に対してもうヤケクソになってい
   るというか、苛立ちはとてもあったと思う…。らもは「何もかも下らない」って言ってたしね。それがグ
   ッドチューニングの苛立ちなんじゃないかな。特に、晩年それが酷くなった様な気がする。まあ、こうい
   うのが彼一流のやり方だし、彼の可愛らしい所なんでしょうけど。」