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鈴木「穿ち過ぎじゃないと思う。らもは監獄でとてもグッドチューニングの良い本を書いたけど、あのような本
   をあのような状況で書くこと自体は普通はバッドチューニングと考えられるわけだし…。確かにあの本は
   とてもいいね。それにいま丹生谷さんが行った事は面白いね。それとは微妙に異なる例かも知れないけれ
   ど、ついこの間、市田良彦の研究室でラ・モンテ・ヤングの曲を聴かせてもらってたんだ。ラ・モンテ・
   ヤングのピアノの調律は平均律でやらないらしい。音を全部フラットにしてしまう。平均律って言うのは
   音が全部回帰してしまうわけだけど、フラットにする事でハーモニーの奥行きを作り出してしまわない様
   にしている。ただこのピアノはギターや他の楽器にも重ねて行くわけだから、この平板さは別種の微妙な
   空間知覚を生じさせるものとしてある。そのフラットさはグッドチューニングとしての荘厳なハーモニー
   とはまったく別種のものなわけだけど、それはらもの小説描写の端正で不思議な平板性に繋がる所がある
   のかも知れない。そしてそれっていうのもバッドチューニングのひとつのやり方であって、つまりとても
   手が込んでいるという事だね。」