>>33のつづき
鈴木「そうだね。らもには異様に真面目な所があったよ。だって売れっ子作家がさ、晩年に夜遅く電話をかけて
   きて、十四世紀のオックスフォードのフランチェスコ派神学者であるドゥンス・スコトゥスの話なんか普
   通は訊かないでしょ。アリストテレス派の神をめぐる「無限」概念とはどうちがうのか、とか!それなの
   にらもは一生懸命訊いていたからね。「おまえ、また頭沸いているんとちゃうか?」とか言って。「沸い
   てる」のはお互い様だけど。とにかく希有な奴だった。ありえないよ、そんなこと。それにあいつはもう
   俺は本は読まないって言いながら、小説を書くときはバカみたいに読んでいたらしいし…。」