丸山健二 初・中期の傑作を語るスレ
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作家・丸山健二が40代前半までにのこした、瑞々しい傑作群について語るスレです。
『千日の瑠璃』以降の小説・エッセイ・web投稿等の文筆活動、並びに、園芸、文学賞関連の話題については、
創作文芸板『丸山健二文学賞について語るスレ』を推奨します。
http://toro.2ch.net/test/read.cgi/bun/1375093589/ ┏━━━━━━━━━━━┓
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┗━━┛ ┗━━━━┛ ┗┛┗━━┛ ┗┛┗┛ スレ建て乙です。スレタイ明確で良いね。俺も賛成だ。
どーせ何言ったってマルケンはもう変わらん。
ならば全盛期の良作について楽しく語ろうぜwww 乙乙乙
いいねえ。ディスッテル自分に嫌気がさしかかっていた。三球照代。俺は前から書いてるけど、
「サテンの夜」周辺が凄いと思う。あの頃の◯は思想ではなく映像だったんだよ。 >>5
ほんと映像。それも、解像度のめちゃくちゃ高い映像だった。
「黒暗淵の輝き」の冒頭とか...
丘のいただきにそびえ立つ杉の大木のてっぺんに、陽が昇った。昇った瞬間、上下左右に
わかれた梢の枝のために、光が十文字に裂けた。丘をとりまく円味をおびた低い山々や、杉
の真下に拡がる台地や、台地の周囲の谷間に無数の濃い影が生じた。それは朝露に濡れ
た緑色の影だった。杉の大木の影は、開かれた水門から流れるダムの水のように、一直線
に長さを増して行った。つららを思わせる梢の尖端は、草に覆われた二本の小川を横切り、
ススキの原っぱを渡って、行手にある何もかもを貫き、台地を真っぷたつに区切った。一見
台地は草深いただの平地のようだが、実際には山村の形をしていた。しかし、村だという証
拠は点在する人家と電柱と火の見やぐらだけで、物音はなかった。家はどれもひどくいたん
でおり、電線は垂れ、火の見やぐらには半鐘がなかった。人間や家畜の気配はまったくなか
った。限界まで伸びきった杉の影は、輪郭をぼかし、付近の木立のもっと鮮やかな影に侵さ
れ、動きをとめた。梢の尖端が指している地点は、台地のほぼ中央にある一軒の家だった。
だが影は、正確には茅ぶきの屋根まで達していなかった。庭へおりて、ようやく広い縁側に
届き、背をかがめて坐りこんだ男の背中を薄暗くしていた。 ┏━━━━━━━━━━━┓
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