>>479>>480
 『真昼の決闘』読んだんですか。これは御苦労さま。

 たしかにあの本には花田への小林秀雄の影響が語られてる。小林の
エッセイ「オリンピア」で砲丸投げの選手を小林が語っているのに
絡み、「批評家はむしろ、砲丸を生みだすのでなければならない」と
する。自分の流儀を小林と対照で控えめに声明してみせている。
 
 「達人を語るのが好きだったがそのうち自分が達人になってしまった」
として敬意も払いながら自分とに違いにも言及している。

 具体的には花田の『全集第1巻 復興期の精神』(講談社)所収の
エッセイ「太刀先の見切り」で書かれている。これは短いエッセイで確かに
小林の存在を大きく、自分にとっては乗り越え難い存在として意識している
ことが感じられる。俺が把握している花田の小林論はこれくらいだね。他にも
あるのかもしれないが。

 しかし「影響」というほどのものは花田からは感じないけどね。一応
花田は小林を読んでは居るのだろうし意識もしたのかもしれないが。何よりも
小林は花田のような組織への寄生はしない人間でしょう。組織を守るための
嘘など不要だと切り捨てるでしょう。倫理的態度がまるで違う。無論
小林の方が毅然としてるしさっぱりしてる。