コルタサルの62 A model kit英語版を読んだ。場所も語り手も自在に入れ替わる実験的な作品だが、短編でも見せる文章のキレはさすがで、美しいシーンが印象に残る。百年の孤独や石蹴り遊びを英語にした名訳者による文章も格調高い。
リリカルな群像劇というメインの展開は石蹴り遊びとも共通するが、芸術論議ばかりしていた石蹴り遊びと比べると話に動きがあり、特に主人公視点の都会的だが抽象的な空間でのラブストーリーは村上春樹っぽさもある。
コルタサルの長編は日本語訳してくれる人がいなさそうなのだが、実験小説好きにはたまらない傑作で、英語レビューサイトではマニアたちが解釈を寄せ集めて盛り上がっている。読後これだけ誰かと話したくなる作品は珍しい。みんな読もう。。