「滑稽がなんです? 人間が滑稽な者になったり、あるいはそうい
うふうに見えたりすることは、いくらあるかしれません。今日
ではみんな才能のある人たちが、滑稽な者になることをひどく
恐れて、そのために不幸になってるんですよ。ただ私が驚くの
は、君がそんなに早く、これを感じ始めたことです。もっとも、
私はもうとっくから、ただ君ばかりでなく、多くの人にそれを
認めていたのですがね。今日ではほとんど子供までがこれに苦
しむようになっています。それはほとんど狂気の沙汰です。
この自負心の中に悪魔が乗り移って、時代全体を荒らし回って
るんです、まったく悪魔ですよ。」

じっと熱心に相手を見つめていたコーリャの予期に反して、
アリョーシャは冷笑の影も浮かべずに言い足した。