一八世紀に 「美学 」という概念が登場したことは重要です 。

そこに 、感性に対する新たな態度があります 。感性 ・感情はこれまで哲学において人間的能力として下位におかれてきた 。
むしろそこから離れて 、理性的であることが望ましかった 。
ところが 、感性 ・感情が知的 ・道徳的な能力 (悟性や理性 )と密かにつながっていること 、
そして 、それらを媒介するものが想像力だという考えが出てきたのです

これまでたんなる感性的な娯楽のための読み物であった 「小説 」が 、哲学や宗教とは異なるが 、
より認識的であり真に道徳的であるような可能性が見出されるということでもあります 。

小説は 、 「共感 」の共同体 、つまり想像の共同体としてのネ ーションの基盤になります 。
小説が 、知識人と大衆 、あるいは 、さまざまな社会的階層を 「共感 」によって同一的たらしめ 、ネ ーションを形成するのです 。

この結果 、それまで低かった小説の地位は上昇します