>>775
中上健次は、大江健三郎のほぼすべての作品を罵倒しながら絶賛している
「洪水はわが魂に及び」の中上の書評はすさまじい

この小説を読んで、俺は浅間山荘に立て籠っている連中の「敵」だったのだ、と気づかされた、という中上は自分には決して書けない「出来の悪い」小説に感動したことを書いている

「それ以前の小説に比べて完成度が劣るように思えて、しかし異様に新しいものがある」という評価
「万延元年」に中上が影響を受けている、それはいい
ただ、「万延元年」だけに影響をうけたみたいないい方はやめてほしい

それは後期が前期より「比べるまでもなくいい」とかいう馬鹿と似通ってしまう

大岡昇平が、「洪水」の受賞に「同じくノミネートされた自分の作品よりもふさわしい」と発言したのと同じく、溢れんばかりの嫉妬と敵意を大江健三郎に向けていた中上の書評はすごく良い

三島の「豊饒の海」を意識していることを無視すると大江は「真に楽しめない」とかいうやつと同じ、大江の凄さを一点に限定するクッソつまらなさは「軽蔑」をせざるを得ない