『今こそようやく分かった。たとえ今愛することを望んだところで、自分の愛には効果
もなければ犠牲もない。

地上の生活はもはや終わったからである。いま自分の胸には、地上で蔑視した精神的愛の渇
望が炎のように燃え立っているけれども、それを癒やすための生きた水(即ち以前の実行的な
地上生活の賜物)を、ただの一滴でも持って来てくれるアブラハムはいないのだ。

いま他人のために自分の命を喜んで捧げる覚悟はあっても、それはもはや不可能なのだ。愛
の犠牲として捧げることのできる生活はもう過ぎ去ってしまった。今はあの生活とこの生活
との間に、無限の深淵が横たわっている。』