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ワイが文章をちょっと詳しく評価する!【118】
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0001この名無しがすごい!
垢版 |
2018/12/23(日) 08:45:16.24ID:hw3Rki5S
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前スレ
ワイが文章をちょっと詳しく評価する!【117】
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0096この名無しがすごい!
垢版 |
2018/12/25(火) 16:23:52.78ID:5iZ/0zA3
新作。評価して。

  模造地球への旅

 宇宙に地球そっくりの惑星があった。そのそっくりの地球を模造地球という。我々人類の故郷は、真地球という。
「おれは、模造地球へ行くのが夢なんだ。宇宙船を買って、模造地球へ行って、
偽物の女と結婚して、模造地球で一生を暮らすのさ」
 男の名前は朱里(しゅり)といった。
「どうしたんだ、朱里。出ていくのか、この地球を」
「ああ。これを見てくれ。模造地球の女から届いた手紙だ。おれは真地球を捨てて、摸造地球へ行くよ」
 朱里は、真地球の宇宙港にサボテンの鉢を寄贈した。
「模造地球は虚構の世界かもしれない。おれが現実に存在した証にこのサボテンを置いていくよ」
「模造地球で虚構の女を追いかけて何が楽しいんだ。ここにいろよ、朱里」
「模造地球へ行ってから考えるよ。帰ってこれないわけじゃない」
 朱里は宇宙船<ワンモアプラス>に乗って、宇宙空間に飛び立った。
 望遠鏡を見ると、目的地の模造地球が拡大されて見える。
「虚構の地球は、現実に存在するのかわからない。物理法則が変わっているかもしれない。
よくある話であるだろう。宇宙飛行士は途中から夢を見ていて、着陸した惑星から先の体験はすべて幻とかさ」
 何十回の宇宙船での睡眠を経て、朱里は模造地球にたどり着いた。
「さあ、虚構の地球はどんな星なのかな」
 朱里は宇宙船を出て、摸造地球の床を踏みしめた。
 模造地球には、絶世の美女とはいかないまでも、そこそこかわいい女たちがいた。
食べ物はとろけるほどに美味しく、悪くない星だ。
 手紙が届くのだから、差出元の摸造地球が現実の物質でできているというのは、おそらくそうなのだろう。
0097この名無しがすごい!
垢版 |
2018/12/25(火) 16:25:10.34ID:5iZ/0zA3
「初めまして、いっかです」
 女がいった。
「ああ、手紙をくれた人。会いたかった。朱里です」
 朱里は、旅先で快く歓待されて、すぐにいっかと仲良くなった。
「こんな話がありますね。旅人が目的地にたどりつけずに、途中で宿泊した宿屋の娘と結婚してしまう」
「ええ。ぼくはこの惑星にたどりついたので、そういうことにはならないようです」
「他にも、こんな話がありますね。宇宙の別の惑星に行ったら、その惑星の女性は宇宙人だったとか」
「怖いですね。いっかさんはそうではないですよね」
「朱里さんの方が疑いが高いですね。宇宙人である可能性は」
「もしよければ確認を」
「そうしたいですね」
 などと、映画の脚本でも考えるようなできすぎた会話をして、ホテルの部屋を訪ねて、彼女の服を脱がした。
出会って初日である。男もがんばったものだ。

「幸せだわ」
「おれもだよ」
 それから数か月、彼女と楽しく長期休暇をすごした。
 驚くべきことに、いっかは妊娠した。
「模造地球が現実世界であり、きみの体が実体である証拠だ」
「そうありたいわ」
「そうなるよ」
「難しいでしょうね」
 朱里はアップルジュースを飲んだ。
0098この名無しがすごい!
垢版 |
2018/12/25(火) 16:26:17.98ID:5iZ/0zA3
「まさか、やはり、摸造地球は虚構の世界で、きみは幻なのか」
「そうじゃないの。実は、わたしが考えていたのは、あなたは虚構地球からやってきた幻の男で、ここは真地球なのよ」
 朱里はいっかにもアップルジュースのコップを渡した。
「おれとは逆の考え方だね。おれの考えでは、もともと真地球にいて、そこから偽地球へやってきた。
おれは本物の人類で、きみは虚構の人類だ。きみが考えているのは、
おれがもともといた地球が模造地球で、ここが真地球だということだね」
「だいたいそんな感じですよ」
 窓を見ると、青い空が見える。模造地球の空だ。
「赤ん坊が生まれる。これは、おれときみのどちらにとっても、どちらかの惑星が虚構などではなく、
どちらの地球も本物の惑星である証拠だ」
「あなたは幻なのよ。きっと赤ん坊は生まれなくて、出産とともに、あなたも赤ん坊も消えてしまうんだわ」
 朱里はいっかの体に手をまわした。
「心配しすぎだよ。おれはまちがいなく、現実の男だよ」
「あなたのいた惑星は、虚構の地球、模造地球なのよ。手紙よ。あの手紙は先端技術で作られた立体映写機なのよ。
あの手紙からあなたは作られて、この惑星まで旅をしてきたのよ。あなたは実在しないのよ」
「赤ん坊は生まれる。おれもきみも現実だ」
 時計が十二時を指した。
0099この名無しがすごい!
垢版 |
2018/12/25(火) 16:27:14.11ID:5iZ/0zA3
 いっかが出産した。朱里は付き添っていた。
「あなた、赤ちゃんはどう」
「人類にそっくりだ」
「ちゃんと女の子? お医者さんがいったように」
「女の子に見えるね」
「よかった」
「おれときみの置かれた複雑な事情がだんだんわかってきたよ。なぜ、おれときみが現実なのかどうかを不思議がるのか」
「待って。少し時間をちょうだい」
「そうだね」
 いっかが一度眠ってしまってから、朱里は話を切り出した。
「いっか、きみは宇宙人なんだね。地球人にそっくりな。地球人と交配して、自分たちの血を残そうとしたんだ。この摸造地球の女の子は、みんな、絶滅しそうな宇宙人なんだ」
「地球の男は気づくのが早いんですね。そうなの。わたしたち、地球人と交配できる地球人そっくりの宇宙人なんです。一緒に、この宇宙で幸せに暮らしましょう。わたしたちみんながあなたたちを愛しています」

おわり。
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