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安価・お題で短編小説を書こう!8
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0001この名無しがすごい!
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2020/03/29(日) 23:04:08.60ID:n1b/6BE9
安価お題で短編を書くスレです。

■お題について
現在、毎週日曜日の午後22時に前回のお題を締め切り、新しいお題を安価で決める方式を取っています。現時点での募集お題はスレ主によるレスを確認してください。

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■前スレ
安価・お題で短編小説を書こう!
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安価・お題で短編小説を書こう!2
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安価・お題で短編小説を書こう!3
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安価・お題で短編小説を書こう!4
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安価・お題で短編小説を書こう!5
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安価・お題で短編小説を書こう!6
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安価・お題で短編小説を書こう!7
https://mevius.5ch.net/test/read.cgi/bookall/1572191206/
0436この名無しがすごい!
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2020/06/29(月) 22:21:48.73ID:FYkS5tuQ
【謎の祈祷師、現る】(2/3)

「消えた!ふぅ、助かったぁ。さっきのオオカミ、シグレの妖術?と何だかすっごく似てたわ!」

シンディは、自らの心の奥に潜む恐怖心を取り除くことで危機を回避したのだ。

「私と同じ術を使う、ということはまさか!」
「そのまさかだよシグレ!」

シンディとシグレの目の前に現れたのは、3本のロウソクを鉢巻に巻いた、変な姿をした白い着物姿の女だった。

「私を忘れたとは言わせないわよ、シグレ」
「あ、あんたはヨツユ!何でここに!?」

その女はヨツユという祈祷師で、かつて強大な勢力を持つ将軍の仲間の一人だった。
その将軍はシグレの手によって全滅させられたものの、ヨツユ自身は得意の妖術で欺くことでなんとか生き残り、シグレに復讐を果たすべく彼女をずっと探し回っていたのだ。

「将軍もろとも斬り殺したはず!まさか生きていたなんて!」
「あれで私を殺したとは思い上がりも良いところね。まあいい、ここであなたの息の根を止め、首を持って帰らせてもらうわ!」

ヨツユは頭のロウソクを一本取ると、口から黒い息を炎に向かって吹きかける。
黒い息に包まれたロウソクの炎は大きくなり、それはウサギのような姿に変化した。

「"黒炎兎"(こくえんと)!!」

赤い目を光らせ、激しく燃える黒い炎のウサギがシグレに向かって襲いかかってきた。
それに対抗すべく、シグレは手の平から冷気を発生させ、その冷気をキツネのような姿にさせた。

「"氷柱狐"(つららぎつね)!!」

炎のウサギと氷のキツネが激突する。妖術によって生み出された熱と冷気の怪物が互いにぶつかり合い、蒸発し消えてしまった。

「腕はまだまだ衰えていないようね、シグレ」
「ハァ、ハァ!」

妖術は技によっては自らの体力を極限にまで削って繰り出すものも多く、さっきの技でシグレの体力は一気に消耗してしまった。

「どうやら今ので一気に体力を使い果たしてしまったようね。ここでトドメを刺してあげる!」

ヨツユの腕から青白い炎が現れ出す。

「さあ、これで観念しなさい」
「ちょっと待ちなさいよ」

するとシンディがヨツユの腕をギュッと強く掴んで邪魔をする。
0437この名無しがすごい!
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2020/06/29(月) 22:22:42.20ID:FYkS5tuQ
【謎の祈祷師、現る】(3/3)

「貴様、何をする!放せ!熱くないのか!」
「うん、全然熱くない」

青白い炎に包まれている自分のの腕を掴んでいるというのに、全然熱がる様子を見せないシンディにヨツユは思わず動揺する。

「あのねえ、私の大切な親友に手を出さないでくれるかしら。ちょっとでも傷つけたら命は無いと思った方がいいわよ」
「黙れ!こうなったら貴様からまず地獄に送ってやるわ!」

しかし、以前のシグレとの戦いを通じて妖術の「心に潜む恐怖心を狂気へと実体化させる」という神髄を
見事にまで打ち破ったシンディにはヨツユなんて全く敵ではなかった。

「き、貴様、恐怖心というのを全く抱いていないというのか!」
「アメリカのガンマンはね、少しでも恐怖に屈したらそこで負けなのよ!」

ヨツユの腕を強く掴んで持ち上げると、シンディは彼女の腹に勢いよく膝蹴りを食らわせる。

「グ、グウェヘ!」

そのまま銃で脳天を撃ち抜かれ、ヨツユは頭から血を流しながら絶命してしまった。

「シ、シンディ、ありがとう」
「気にしないでシグレ。親友に手を出す者は絶対に許さない、ただそれだけのこと」

気づけば空に太陽が昇り、いつの間にか朝が来ていた。

「シンディ、あなたって強いわね。感心しちゃうわ」
「そんなことないわ。本当のことを言うと私、子供の頃からすっごく臆病で怖がりなの。でも今、私には守るべき大切な存在がいる」
「守るべき大切な存在って?」

シグレにそう問われたシンディは、彼女に向かってニコッと微笑む。

「ま、まさか!」
「そう、あなたよシグレ!今、あなたという親友で仲間という大切な存在がいるから私は強くなれる」

サンセットもシンディの言葉に賛同しており、シグレの顔をペロッと優しく撫でる。

「シ、シンディ、そう言われると照れちゃう。あ、ありがとう」
「あらあら顔を真っ赤にしちゃって。シグレは本当に可愛いんだから!」

シンディとシグレを背中に乗せ、サンセットが再び荒野の中を走り始めるのだった。
0438この名無しがすごい!
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2020/06/30(火) 12:49:22.82ID:ayhHh/k8
>>435
ハイパーウエスタンファンタジーな様相を呈して来ましたねw
迫り来る敵と困難を打ち破った後の友情
良いですよねw
0439三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/06/30(火) 14:31:43.86ID:tVx4kJHb
>>435
正直シンディシリーズ用っぽさはあった^^;
またすごい外見と技ですがw、この2人の敵ではなかった・・・
0440この名無しがすごい!
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2020/06/30(火) 15:35:43.67ID:bkFnCRfG
>>438
>>439
感想ありがとうございます!
そうですね、リアル系ワイルドウエスタンだったのにいつの間にか段々とファンタジー化してますねw
自分でも書いててひたすら思ったのがシンディどんだけ脳筋なんだよ…
ま、まあ己の力で相手を無理やりにでもねじ伏せてこそアメリカのガンマンだぜ!ということで(笑)
楽しんでいただけてすっごく嬉しいです!
0441この名無しがすごい!
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2020/07/01(水) 16:58:31.42ID:VrCMWPSq
>>429
使用するお題→書き出し『侍の国、僕らの国がそう呼ばれたのは今は昔の話』+『ピアノ』『オオカミ』

【黒猫レイチェル VS オオカミ女】(1/3)

「侍の国、僕らの国がそう呼ばれたのは今は昔の話・・・」
「うわあ、すっごい展開になってきたな」

ある朝のこと、ライアンはリビングのソファーに座ってテレビに夢中になっていた。
しばらくすると、起きたばかりのレイチェルがフワァッと大きな欠伸をしながら下りてきた。

「おはようライアン!あれ、何を見ているの?」
「あっ、おはようレイチェル。日本がエイリアンに襲撃されるドラマでさ、強い侍がみんな殺されてエイリアンに侵略された日本を、一人の少年が孤軍奮闘して救おうとする内容なんだ」
「結構スペクタクルね…ってライアン、呑気にドラマを見てる場合じゃないでしょ。ハロウィンの準備をしなくちゃ!」
「そうだった!ごめんね、すっかりドラマに無我夢中になってたよ」

そう、今年もシチリアにハロウィンの季節が訪れたのだ。ライアンは早速、子供達に配る美味しいお菓子作りの準備にとりかかる。
レイチェルは、ハロウィンが来て興奮する一方で不安に思っていることが一つだけあった。
それは、いつも着ているお気に入りのガンマン衣装でパーティーに参加できるかどうかということだった。
一昨年は市長の女秘書に奪われる、昨年は買い物帰りにうっかり沼地に落ちて汚してしまったために着られなくなるなど、2年連続で散々な目に遭っているのだ。

「今年こそはいつものガンマン衣装で出られたらいいんだけど・・・」
「今年も、というか毎年ハロウィンは黒猫の衣装で出たらいいと僕は思うよ」
「だーかーらー、黒猫はあくまでも「もう一つ」の姿なんだってばライアン!私の本来の姿は、さすらいの女ガンマンなんだから!」
「黒猫姿のレイチェル、僕はすっごく大好きだよ。そう怒らないで」

冷静になって考えてみれば、あの黒猫の衣装はマンネリ化しつつある余興をもっと楽しんでもらうために、ライアンが厳選して買ってきてくれた大切なものだ。
それを嫌がるということはすなわち、ライアンの想いを無下にしているのと同じだ。レイチェルはそう考えると、彼に対して罪悪感を感じてしまった。

「つい熱くなっちゃって、本当にごめんなさいライアン。私、今年も黒猫の衣装で参加するわ」
「無理しなくてもいいんだよ、レイチェル。僕はただ、黒猫姿の君がガンマン姿と同じくらい大好きだって言いたかっただけだよ」
「だって、ライアンがこの黒猫の衣装を買ってくれたおかげで、余興が以前よりずっと楽しくなって評判も良くなったのよ。だから、私はこれを着る!」
「レイチェル、そこまで言ってもらえるなんて。僕、すっごく嬉しいよ!」

でもライアンは最初から知っていた。レイチェルは黒猫の衣装を少し嫌がっているように見えて、本当は非常に気に入っているということをだ。

「(レイチェルったら普段はとても純粋なのに、時々素直になれないところがあるな。まあ、そこが凄く可愛いんだけどね)」
「さあ、今年も黒猫レイチェルで行くわよー!黒猫になった私を止められる者は誰もいない!」

すっかり有頂天になっているレイチェルを、ライアンは微笑ましそうに眺めていた。
準備も整ったパーティーの前日、ライアンとレイチェルはのんびりと散歩していた。
大きな湖のある公園の中を歩いていると、木々に囲まれるように佇む廃虚を見つけた。
その廃虚の中にはピアノが置いてあり、ここ最近、誰もいないのにピアノが鳴る音が聞こえるという怪奇現象が多発しており、噂になっていた。

「誰もいないのにピアノが鳴るなんて、まさか幽霊の仕業かしら?」
「気になるのは分かるけど、廃虚だからといって不法侵入だけはもう絶対に勘弁してくれよレイチェル。もし、またしたら助けないし許さないよ」
「も、もちろん分かってるわよライアン!あの時と同じ過ちはもう繰り返したりしないから安心して!」

好奇心旺盛が故にトラブルを起こしてしまうことのあるレイチェルに、ライアンは心配で気が気でない時もあった。
0442この名無しがすごい!
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2020/07/01(水) 16:59:26.23ID:VrCMWPSq
【黒猫レイチェル VS オオカミ女】(2/3)

そしてハロウィン当日、年に一度の盛大なパーティーが開催された。
黒猫姿で参加したレイチェル、そしてライアンに子供達がハッピーハロウィーン!と嬉しそうに駆け寄ってくる。

「わあ、今年も黒猫のレイチェルさんだー!」
「ガンマン姿もいいけど、黒猫も素敵だね!」
「ウフフ、ありがとう!」
「ライアンさん、美味しいチョコチップクッキーくれないとイタズラしちゃうぞー!」
「アハハ!ほらほら落ち着いて、一人ずつ順番にね」

黒猫姿のレイチェルに握手を求めたり、ライアンからクッキーを貰ったりと子供達は大はしゃぎだった。
今年も楽しいパーティーは無事に幕を閉じ、ライアンとレイチェルは家路についた。

「今年も最高のパーティーだったね、ライアン!」
「ああ、来年もまた待ち遠しいね!」
「チョコチップクッキー、まだ残ってる?」
「もちろんだよ、ほら」

ライアン特製のチョコチップクッキーを、レイチェルは嬉しそうに齧る。
あの廃虚の近くを通りかかった時だった。美しい音色のピアノが聞こえてくる、誰もいるはずがないのに。
その音を聞いたレイチェルとライアンがその廃虚に駆け寄り、こっそりと窓から覗く。

「や、やっぱり誰もいない。本当に幽霊の仕業なのか?」
「ちょっと待って!ライアン、よく見て!」

よーく目を凝らして見ると、誰かがいてピアノを弾いている。それは真っ黒なオオカミの姿をしている。

「「オ、オオカミがピアノを弾いてる!?」」

そのオオカミはレイチェルとライアンの存在に気付き、勢いよく扉をパンチして破壊して姿を現した。
二足歩行しているオオカミの化け物と思いきや、それはオオカミの衣装を着た人間で女だった。

「また会えたわねレイチェル、そしてライアン。私を覚えてる?忘れたとは言わせないわよ」
「ま、まさか前市長グレーズさんの元秘書!?」
「正解。覚えてたようで嬉しいわ」

現在は市長を辞任してドイツへと引っ越し、シチリアにはもういないグレーズさんの元秘書であるリーソンという女だった。
2年前、レイチェルのガンマン衣装を盗んだ上、ライアンをも誘拐した張本人だ。3ヶ月ほど前、大量の保釈金を払うことで釈放されたのだ。

「そう、この私リーソンよ。そういえば名乗るのは今回が初めてだったわね。目的はいたってシンプル。あんた達を誘き寄せ、復讐を果たすためにこの廃虚を利用したの」
「逆恨みも甚だしいわね。こうなったら、あんたをまた刑務所に逆戻りさせてあげる!」

オオカミの衣装を身につけたリーソンがライアンに襲いかかろうとしたが、黒猫姿のレイチェルが俊敏な動きでそれを阻止する。

「ライアン、私のことはいいから早く逃げて!必ず、生きて帰るから!」
「そ、そんなこと…!」
「いいから!私はライアンが無事なら、それだけで十分よ」

ライアンはグッと涙を流すのを堪えると、その場から走って逃げた。

「愛する妻を置いて逃げるなんて、最低の夫ね」
「あんたがそれを言う資格なんてどこにもないわよ!」

黒猫姿のレイチェルはその俊敏さを活かしたパンチやキックで、オオカミ姿のリーソンに攻めていくもののダメージがなかなか入らない。

「オオカミって結構タフな動物よ。パワーも体力もただの猫なんかよりも圧倒的に上!あんたの攻撃なんて痛くも痒くもない!」
「そ、そんな!」
0443この名無しがすごい!
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2020/07/01(水) 17:00:35.24ID:VrCMWPSq
【黒猫レイチェル VS オオカミ女】(3/3)

黒猫フォルムは俊敏性は優秀ではあるが、決定力にやや欠ける上に体力に難があり、長期戦や体力に優れた相手となると非常に分が悪い。
とにかく早めに決着をつけないと、自分がとことん不利な状況に陥ってしまう。

「ハァ、ハァ…!」
「あらあら、もうスタミナ切れなの?情けない黒猫さんね」

リーソンがオオカミのパワーを活かしたパンチで、レイチェルの腹を勢いよく殴る。
レイチェルは血を吐き、そのまま気を失って倒れそうになる。

「さあ、これがあんたの最期よ。後でライアンも一緒に合わせてあげる、あの世でね」

まさに絶体絶命、万事休すかと死を覚悟したその時だった。突然、カチャカチャと拍車が鳴る音が聞こえてくる。

「そこまでだ!凶悪なオオカミ女め!」

現れたのはなんと、レイチェルのガンマン衣装を身につけたライアンだった。

「ラ、ライアン!!」
「助けに来たよレイチェル!」
「ふん、戻ってきたところで私に勝てるとでも思ってるの?」

リーソンが満月を背に高くジャンプして飛び蹴りを喰らわせようとした時、ライアンは銃を取り出し、彼女の右脚に向かって発砲する。

「グワアッ!ま、まさか本物の銃を持っていただなんて!」
「ガンマンなんだから銃を持っていないとおかしいだろ」
「や、やられた・・・!」

右脚から血を流しながら、そのままリーソンは倒れてしまった。その後、駆けつけた警察によってリーソンは逮捕、また刑務所へと逆戻りとなった。
ライアンはレイチェルを抱え、急いで家に帰るとすぐに手当てをした。

「これでよしっと!もう大丈夫だよ、レイチェル」
「本当にありがとう、ライアン。まさか私のガンマン衣装を着て助けに来てくれるなんて。すっごくカッコよかったわ!」
「大切なパーティーを危険に晒したまま逃げるなんて、そんな薄情なことできるわけないだろ。とにかく本当によかった」

ライアンによしよしと優しく頭を撫でられ、レイチェルは嬉しくなり、いつの間にか眠りに落ちてしまった。
この出来事はまた新聞の一面を飾るほどの大きな話題となった。

「去年はマンティコア騒動、今年は元秘書がオオカミになって復讐、ハロウィンはもう何が起きるか分からないな」
「早いけど、もう来年が心配で怖くなってくるわ」
「気にしないでレイチェル。大丈夫だよ、この僕がいるからね」
「ウフフ!そうね、優しくて強いライアンがいるから安心よね!」

互いに顔を合わせて笑い合うライアンとレイチェルなのであった。
0444三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/07/02(木) 13:36:24.39ID:eMnBW9NT
>>441
絶好調ですねw、なんかこのシリーズを読むと安心する・・・
お前(が犯人)か!!、からの意外な方法での逆転!、次のハロウィンはどうなってしまうのか
0445この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/02(木) 18:54:26.85ID:F4dBhA74
>>444
感想ありがとうございます!
あのハロウィンエピソード第一回目のあの元秘書がまさかの再登場でした、ナタリーもでしたがこの女も逆恨みがホント甚だしいw
文字数やスレ数の関係で展開が急になって、バトルの決着がちょっとあっけなさ過ぎだったのが残念でした
楽しんでいただけてすっごく嬉しいです!
0446この名無しがすごい!
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2020/07/05(日) 21:20:54.53ID:gnUcRo2N
>>441
またしてもハロウィンに事件がw
どこぞのクリスマスに事件に巻き込まれる刑事の様ですねw
次のハロウィンにも、コスプレ犯が襲撃に来るのでしょうか?
0447この名無しがすごい!
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2020/07/05(日) 21:22:34.24ID:gnUcRo2N
>>429
お題:書き出し『侍の国、僕らの国がそう呼ばれたのは今は昔の話』+『ピアノ』『ろうそく』『電波女』『オオカミ』

【ぶんげいぶ】(1/2)


「『侍の国、僕らの国がそう呼ばれたのは今は昔の話』」
「何の話? ってか何処目線?」
「いや、こう言う書き出しだったら、近未来ファンタジーっぽいかなぁ……って」

 相坂高校文芸部の中島 浩人は、同じ部員である磯谷 勝にそう言った。

「……明治以降なら、だいたい当て嵌まる気がするんだが。てか、その書き出しにはファンタジー要素ないと思うぞ?」
「そう?」
「そうね!! 『大樹の葉っぱはピアノの様。雨を弾いてメロディーを奏でるの』これ位の書き出しじゃなくっちゃ、ファンタジーじゃないわね!!」

 女生徒の突然の声に、浩人がビクリと身をすくませる。
 勝は嫌な物を見たと言う様な表情で、女生徒……花澤 曄子に視線を向けた。

「うわっ電波女が来たよ……お前のソレは『ファンタジー』じゃなくて『メルヘン』だからな? それもポエム系の。第一、お前の書き出しからだと浩人の書きたい話にはつながらないだろ」
「何よ!! なら、アンタなら、どういう書き出しにするって言うのよ?」
「いや、どんな書き出しって、取り敢えず、内容が分からんと書き出しなんて決められないだろうが、なぁ、浩人」

 勝に話を振られ、浩人は「えっと、そうかも知れないね」と、曖昧に返事をした。

「ほら、浩人だって私に賛同してるわよ」
「浩人の返事のどこにそんな要素があった。この『電波女』」
「あ! じゃぁ『侍の国、大樹の葉っぱがピアノの様に雨を弾いてメロディーを奏でている僕らの国がそう呼ばれたのは今は昔の話』でどうだろう?」
「あほか!」
「素敵ね!」

 正反対の意見になり、二人が睨み合う。

「つなげれば良いって物じゃねぇだろう? そもそもそれはファンタジー要素じゃねぇ!!」
「あら、素敵じゃない。浩人きゅんが私の為に考えてくれたのよ? やだ、嫉妬? 男の嫉妬なんて醜いわよ?」
「ああ! ホントにもう話が通じねぇ電波女だよコイツは!!」

 二人が喧嘩にならない様にと考えた浩人は、取り敢えず両方の意見を尊重して見たのだが、どうやら逆効果だった様だ。
0448この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/05(日) 21:23:26.92ID:gnUcRo2N
【ぶんげいぶ】(2/2)


 ******

「で、どんな話にしたいんだよ」
「えっと、近未来風ファンタジーでね?」
「うん」
「フェンリルの紋章を得た主人公が……」
「よし、待とうか」

 説明を始めた浩人の、飛躍し過ぎる説明に勝が頭を抱えた。

「とりあえず、そのフェンリルは何処から出て来た? ってか、書き出しで侍とか言ってなかったか?」
「え? その、舞台を日本にするから、そうなると、『侍の国』かな? って」
「うん」
「で、ほら、フェンリルって恰好良いでしょ?」
「それだけの理由か――――い!! っつうか、日本が舞台なら『真神』じゃダメなんか? ああ!?」

 勝の突っ込みにオロオロしていた浩人だったが、やや間を置いて「『真神』って何?」とおずおずと訊ねて来る。

「ふっ! 『真神』なんて、そんんなマイナーな狼神じゃ、超メジャー狼神のフェンリルには勝てないわよ!」
「あ、真神って、狼の神様なの? ありがとう教えてくれて花澤さん」
「良いのよ浩人きゅん。それから私の事は曄子で……」
「メジャー、マイナーの話は良いんだよ、世界観の話をしてんだ。世界観の」
「えっと、ごめん、日本が舞台でフェンリルだとダメかな?」

 あからさまに落ち込む浩人に、勝は「ダメじゃないけどさ」と言葉を掛ける。

「言っただろ? 世界観の話だよ。日本が舞台なのは良い。フェンリルの紋章も良いだろうけど、『侍の国、僕らの国がそう呼ばれたのは今は昔の話』って、書き出しだろう? それでどうして北欧神話が入って来るのかって話で……」
「ほくおうしんわ?」

 首を傾げる浩人を見て、勝は両手で顔を押さえる。

「フェンリルの出自も知らないのかよ……」
「良いの、浩人きゅんは、そのまま無垢でいて」
「『無垢』と『無知』は、一字違いでも全く違うんだよ! 『電波女』!!」
「ホッホッホ! 浩人きゅんの全てを受け入れられないなんて、なんて器の小さな男なのかしら! そんな男に浩人きゅんは任せられないわね!!」
「うっせえ!! 黙れ!! 交ぜっ返すな電波女!! 縛って叩いて捻じ込むぞ!!」
「な、何て下劣な!! ち、因みに捻じ込むってナニをかしら?(ドキドキ)」
「ろうそく?」
「浩人!! お前、何言ってんの?」
「え? ムチって言ったらロウソクかなって」

 突然の浩人の言葉に勝が驚愕の視線を向ける。

「いや、ムチって、そう言う意味じゃ……」
「ひ、浩人きゅんがそうしたいなら私は……(ドキドキ)」
「おまっ、さっきは『無垢でいて』とか……いや、ちったあ黙れよ!!」
「『ろうそく』って、ちょっとファンタジーのアイテムっぽいよね?」
「お前の中のファンタジー観ってどうなってんの!?」

 相坂高校文芸部は今日もにぎやかだ。
0449この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/05(日) 22:12:03.58ID:eeL2HE6T
>>429
僕が前スレ808の続きだ……ですにゃー

使用お題→書き出し『侍の国、僕らの国がそう呼ばれたのは今は昔の話』+『ピアノ』『ろうそく』『電波女』『オオカミ』

【脱獄した俺は未開の星で帝国相手に無双するかも知れない/第五話】(1/2)

「侍の国、僕らの国がそう呼ばれたのは今は昔の話……ですにゃー」

 ニャンダモ弐号機を塗装した日の夜。村では、またしても、宴会という名の食事会が開かれていた。

「それは……サンライズでしたかにゃー?」
「どうでしたかにゃー」
「それは……BAN南無でしたかにゃー?」
「にゃむにゃむ……どうでしたかにゃー」
「侍ですからにゃー。きっと両方ですにゃー」

 そしてネコミミ族の宴会というものは、素人演劇とのセットが定番らしい。
 ろうそくの明かりが揺れる。ネコミミ族の仮面も、暗闇を背負って不規則に揺れる。

「なあ、こんなにのんびりで大丈夫なのか?」
「大丈夫ではないですが、急いでも仕方ないですにゃー」

 ニャンダモのパイロットの女ですら、この調子だ。
 俺としては、もっと他にやるべきことがあると思うのだが。

「両方ですかにゃー。それと、侍は電波ですにゃー」
「電波……それはなんでしたかにゃー」
「見えるのですにゃー」
「何が見えるのですかにゃー」
「それはもう、見えてはいけないものが……あっ」

 おっさんたちの動きが止まった。

「……明日も早いのですにゃー。今夜はこれでお開きですにゃー」

 何が見えるんだ。気になるじゃないか。

 *

 翌朝は、相変わらずの曇りだった。なんとなく準備をして待っていると、前日と同じように、村長がやってきた。

「昨日はお疲れ様でしたにゃー。それで早速なのですが、電波ですにゃー」

 何言ってんだこいつ、とは思ったが、俺は大人しく村長に連れられて、村の外に出た。昨日とは違って、雑草に埋もれた道無き道を進む。
 しばらく進むと、上り坂になった。行く手は相変わらず植物に覆われている。よく見れば切り払われた跡も確認できるが、どこまで行っても緑しかない。村長は、そんな道を、迷うことも疲れを見せることもなく、歩き続けた。

「ここですにゃー。電波ですにゃー」

 坂道の先にあったのは、木々に埋もれるようにして建つ、一軒の小屋だった。
 周囲に目をやると、小屋のすぐ脇に鉄塔のような物が建っており、その先端を見上げると、曇り空で見づらいのだが、それはアンテナらしき形をしていた。

「電波女はいますかにゃー」

 村長は、ノックもせずに小屋の戸を開けると、ずかずかと中に入っていった。俺は慌てて村長に続いた。

「いますにゃー。逃げも隠れもしませんのにゃー。今日はどうしましたかにゃー」
0450この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/05(日) 22:12:34.89ID:eeL2HE6T
【脱獄した俺は未開の星で帝国相手に無双するかも知れない/第五話】(2/2)

 小屋の中には女が一人いた。

「今日は電波ですにゃー。電波を飛ばしますのにゃー」
「そうなのですかにゃー。ところで村長、そちらの方はどなたですかにゃー」
「こちらの方は脱獄囚ですにゃー」

 大して広くもない室内には、ベッドが一台と、ピアノの鍵盤のような装置が接続された怪しげな機械があった。

「そうなのですかにゃー。それは本当ですかにゃー」
「まあ、証拠はないが」
「にゃーは電波女ですにゃー。ここで電波を受信してますのにゃー」

 無線のオペレーターみたいなものか。機械にはスピーカーもつながれているようで、どこからか雑音が聞こえてくる。マイクやヘッドフォンは見当たらない。

「それで村長、今日は何を飛ばすのですかにゃー」
「それはですにゃー……今回は固まらないですにゃー……エム先生の所へ行くのですにゃー」
「そうなのですかにゃー。分かりましたにゃー。『エム先生、サンダーボルト森林から、会いに行くよ!』ですにゃー」

 そう叫ぶと、女は鍵盤を操作し始めた。スピーカーから、ピーピービービー音がする。

「何かの符号か?」
「符号……? それはなんですかにゃー」

 言いつつ女は鍵盤をたたく手を止めない。短い文章を送るだけのはずが、いつまでも音を出している。

「こんなもんですかにゃー。これだけ鳴らせば、きっとエム先生にも届くはずですにゃー」
「そうですかにゃー。ありがとうでしたにゃー」
「なあ、質問があるんだが」

 俺は例によって不安を感じたので、疑問をぶつけてみることにした。

「なんでしょうかにゃー」
「今のは何をやってたんだ? 最初の短文を送るだけにしては、随分と時間がかかったよな」
「短文? 何の話ですかにゃー」

 女は、何言ってんだこいつ、と言わんばかりの表情で、次のように続けた。

「今やってたのは、霊界通信ですにゃー」

 ……はっ? どう見ても無線通信だったが。

「この機械は、元々イヌミミ族が使っていたのを分捕ったのですにゃー。だから、普通に使うと、話してる内容が筒抜けなのですにゃー」

 思ったよりも綱渡りの運用だった。

「何しろオオカミの霊を使っているのですにゃー。イヌミミ族に告げ口必至ですにゃー」

 思ったよりも超自然的な理由だった。

「そこで! にゃーたちは、にゃーたちの気持ちを、電波に乗せて飛ばすことにしたのですにゃー。最初に宣言したのは、にゃーの気持ちなのですにゃー」

 そうだったのか。俺は何かを誤解していたようだ。

「エム先生に会いに行きたいにゃー、という気持ちで演奏すると、それがなんとなーく伝わるのですにゃー」

 スピーカーからは、今の演奏への返事だろうか、甲高いメロディーが流れていた。
 頭が痛くなってくる。
 俺は不安と混乱に包まれたまま、その場を後にしたのだった。
0451三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/07/05(日) 22:15:11.39ID:eeL2HE6T
前回(先週)は真面目に書いたけど詰めが甘かったので
今回はなるべく簡単に済ませたかったのですが

遅刻と締切延長すみません・・・もう1回やったら辞任かなぁ
0452三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/07/05(日) 22:18:22.98ID:eeL2HE6T
お題→書き出し『侍の国、僕らの国がそう呼ばれたのは今は昔の話』+『ピアノ』『ろうそく』『電波女』『オオカミ』締切

【参加作品一覧】
>>435【謎の祈祷師、現る】
>>441【黒猫レイチェル VS オオカミ女】
>>447【ぶんげいぶ】
>>449【脱獄した俺は未開の星で帝国相手に無双するかも知れない/第五話】
0453三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/07/05(日) 22:19:35.85ID:eeL2HE6T
ではでは、今回は通常お題5つです

お題安価>>454-458
0454この名無しがすごい!
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2020/07/05(日) 22:19:44.64ID:tfWA9Xza
はなまる
0455この名無しがすごい!
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2020/07/05(日) 22:19:52.23ID:hwl7GuCa
ホームビデオ
0457この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/05(日) 22:28:56.74ID:H4wNVgRq
幼稚園児
0459三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/07/05(日) 22:50:40.57ID:eeL2HE6T
☆お題→『はなまる』『ホームビデオ』『天使ちゃん』『幼稚園児』『七夕』から1つ以上選択

☆文字数→3レス+予備1レス以内に収めれば何字でも可。
1レス約1900字、60行が上限。

☆締め切り→7/12の22時まで。
締め切りを過ぎても作品の投稿は可。

【見逃し防止のため、作品投稿の際はこのレスに安価してください】
0460三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/07/05(日) 22:53:53.19ID:eeL2HE6T
今回も無事に集まった・・・もう7月だもんなぁ・・・

お題も作品も感想もありがとうございます
引き続きお題スレをよろしくです
0461三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/07/05(日) 23:08:36.54ID:eeL2HE6T
>>447
今度はカオス・・・色あせない部活の風景・・・仲良さそうだな!w
真神は初めて知りましたw、ありがとう教えてくれて・・・
0463この名無しがすごい!
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2020/07/05(日) 23:41:42.26ID:PClhAQtu
>>461
感想有り難うございます
正確には『大口真神』ですね
ただ、狼の神様と言うと、どうしてもフェンリル以外マイナーですがorz
0464この名無しがすごい!
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2020/07/06(月) 07:31:13.56ID:35chHxE1
>>446
感想ありがとうございます!
そうですね、毎年ハロウィンになると事件発生でレイチェルもライアンも本当に大変ですね
邪悪な幽霊のイタズラ?なのかもしれませんねw
楽しんでいただけてすっごく嬉しいです!
0466この名無しがすごい!
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2020/07/07(火) 15:58:01.73ID:cYb2dSP2
>>459
使用するお題→『ホームビデオ』『天使ちゃん』『幼稚園児』

【あなたの帰りがいつも待ち遠しい】(1/3)
スレ7 425【あなたに出会えて本当によかった】を先に読んでおくことをオススメします

私はレイチェル、女ガンマンの人形よ。私は今、ある人の帰りを待っている。

「ただいまー、レイチェル!」

そう、ご主人で大学生であるライアンだ。
もう10年以上も前かしら。私は長いこと売れ残っていた古い女ガンマンの人形で、名前などついていなかった。
あと数日で処分されそうになったところをクリスマスの日にライアンに買われて、「レイチェル」という素敵な名前をつけてくれて、毎日のように私と遊んでくれた。
ライアンが大学生になった時、私はもう遊んでもらえることはない、彼が立派に成長したから役目を果たし、捨てられるのを覚悟していた。
しかし、ライアンは私を捨てずに引っ越し先に連れて行ってくれた。予想外だったけど、とっても嬉しかった。

「レイチェル、君は大切な家族の一員。君と離れ離れになりたくない」

ライアンのその言葉は、今も私の心の中に強く残っている。今は学業やサークル活動、アルバイト等で忙しくて帰りが多く、
寂しい気持ちになることも多かったが、休みで時間がある時はいつも私と楽しく遊んでくれた。

「今日も帰りが遅くなってごめんね、寂しかったかい?」

ライアンは私の頭をよしよしと優しく撫でる。とても温かい。
翌日は土曜日でバイトも休みのため、ライアンはのんびりと過ごしていると一通の小包みが届いた。
それは実家にいる両親からだった。

「パパとママからだ。一体何だろう?」

開封してみるとそれはビデオテープで3本も入ってあった。気になったライアンは早速、それをプレイヤーに入れて再生する。

「こ、これは!」

それはライアンがまだ小学生の頃で、私で楽しく遊んでいるところを両親が撮影したホームビデオだった。

「さすらいの女ガンマン、レイチェル参上!旅の邪魔をする者は許さないぞー!」
「まだ残っていたなんて!レイチェル、これを見てよ!」

ビデオに映る幼い時の自分の姿に、ライアンはもう無我夢中だった。
懐かしい、すごく懐かしい。それにライアンがとても可愛い。

「ライアンさん、こんにちはー!」

元気な挨拶と共に一人の幼稚園児が現れた。女の子でなんとイグアナを連れている。

「あっ、近所に住んでたアニーちゃんだ!それにペットでイグアナのトニーも!」

アニーちゃんとイグアナのトニーだ。私はふと、ある時のことを思い出した。
それはライアンが勉強をしに図書館を訪れていた時のこと。ライアンは、私をリュックの中に入れて一緒に連れて来てくれていた。
またノーマンのようないじめっ子に見つかって強奪されるようなことがあっては大変だと、あの騒動以来、リュックの中に入れるようにしたのだ。
3時間ほど勉強して図書館を出ると、買い物に出かけていたママがちょうど着いたところだった。
ライアンが車に駆け寄る時だった。リュックのファスナーが開いていたため、私は中から飛び出して地面に落ちてしまった。
彼はそれに一切気付かず、そのまま車に乗って走り出してしまった。
0467この名無しがすごい!
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2020/07/07(火) 15:59:15.87ID:cYb2dSP2
【あなたの帰りがいつも待ち遠しい】(2/3)

「待って!ライアン!!」

私はすぐに起きて、車を必死に追いかける。当然だが、人形が走って車に追いつくはずがなく、私は途方に暮れてしまった。
すると空に黒い雲が広がってゴロゴロと雷が鳴り、雨がザーザーと激しく降ってきた。
人に見つからないよう注意しながら私は土砂降りの中、ライアンの家へと帰ろうとひたすら歩き続けるが、10キロ以上は離れているため、なかなか辿り着けない。
このままじゃもうライアンに会えない、ノーマンに奪われた時と同じ絶望を感じた。すると何かがこっちに近づいてきた。
隠れるような場所がないため、私は止むを得ずにその場に倒れて動きを止める。
大きな緑色をした何かが私の方にゆっくりと歩み寄ってくる。それはなんとイグアナだった。

「(イ、イグアナ!?お、お願いだから食べないでー!)」

そのイグアナは私の匂いをクンクンと嗅ぎ始める。

「待ってよトニー!また勝手にどこか行こうとするんだから!あれ、そのお人形さん、一体どうしたの?」

すると、一人の少女が後ろの方から現れた。トニー、どうやらそのイグアナの名前のようだった。

「ずぶ濡れになっちゃって可哀想に・・・」

その少女は私を拾い上げ、そのまま家に持って帰った。濡れた私の体をタオルで優しく拭き、ドライヤーで乾かしてくれた。

「カッコいい女ガンマンの人形さんね。あっ自己紹介がまだだったね、私はアニー。こっちはペットでイグアナのトニーよ」

トニーは私の方に近づくと、嬉しそうに顔をペロリと舐めた。

「でも何であんな所に落ちてたんだろう?」

するとアニーは私のブーツの裏に書かれたライアンの名前に気付く。

「きっとライアンさんって人が持ち主に違いない。早く探さなくちゃ」

翌日、アニーは私をリュックに入れて、親しい近所の住人達にライアンという名前の人が周辺に住んでいないか尋ねて回った。

「ライアンといえば、近くにシードルズさんの家があってそこに住んでいる男の子だと思うわ。番地は確か751よ」
「本当ですか?ありがとうございます!」

そう、ライアンの名字はシードルズだ。それで間違いない。アニーちゃん、そこに行けばもう大丈夫よ!

「751、751っと。あった!」

アニーは急いでチャイムを鳴らす。ドアが開き、ライアンのママが出てきた。

「こんにちは。あのう、ライアンさんいますか?」
「あら、ライアンの友達かしら?」
「いえ、実はこの人形を見つけたので届けに来たんです」

アニーがリュックの中から私を取り出す。ママは私を見て、とにかくビックリした。

「ライアン!レイチェルが見つかったわよ!」

その言葉にライアンがドタドタと階段を下りて、外に飛び出してきた。ライアンは私の姿を見て、涙をポロポロと零し始めた。

「君がレイチェルを見つけてくれたんだね!本当にどうもありがとう!」

ライアンは泣きながらアニーに感謝する。ママ曰く、家に着いてからリュックに私が入っていないのに気付いたようで、ずっとパニックになっていたのこと。
あの後、図書館の中や駐車場、その周辺を必死になって探していたようだ。
0468この名無しがすごい!
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2020/07/07(火) 16:01:15.25ID:cYb2dSP2
【あなたの帰りがいつも待ち遠しい】(3/3)

「また誰かいじめっ子に拾われて乱暴されてると思うと、本当に怖くて不安で夜も眠れなくて!ごめんねレイチェル、本当にごめんね!」

ライアンは、私の体を強く握り締めると同時に謝る。お願いだから自分を責めないで、ライアン。わざとじゃないんだから。
優しい女の子とイグアナが見つけてくれたおかげで、こうやってあなたの元に無事に戻ってこられたんだから。

「レイチェルを見つけてくれて本当にどうもありがとう。アニーちゃん、それからイグアナのトニーも」
「エヘヘ、全てトニーのおかげです。トニー、あなたのおかげでレイチェルさんは無事にライアンさんの所に帰れたのよ。さすが私の天使ちゃんね!」

アニーに優しく撫でられ、トニーもとても嬉しそうだ。それ以来、アニーはライアンととても親しくなり、トニーと一緒によく家に遊びに来るようになった。
トニーは私にとても懐いているようで、遊びに来る度に私の顔を嬉しそうにペロペロと舐める。

「レイチェルさんって本当にカッコいい人形ですね!」
「やっぱりそう思うかい?レイチェルは優しくて強くて、そして勇敢な女ガンマンなんだ。どんなピンチに陥っても絶対に諦めたりしない、僕の一番の誇りさ!」

**********

「レイチェルさん、起きて!」
「あ、あれ?」

どうやらいつの間にか眠りに落ちてしまっていたようで、ジュディが起こしていた。

「フワアアッッ(またあの時と同じ夢。本当に不思議だわ…)」
「レイチェルさん、もうライアンさん帰ってきてるよ」
「レイチェル、すごく良い寝顔だったよ。何か面白い夢でも見たのかい?」
「えっ、そうだった?う、うん、面白いというより何だか不思議な夢だったわ」
「どんな夢だったの?教えて、教えて!」
「それはナ・イ・シ・ョよ」
「えー、レイチェルさんの意地悪!」

今日は半年ぶりにライアンが仕事から帰ってきたのだ。2年後の冬に公開予定の主演作の撮影で、過密スケジュールだったのだ。

「撮影はもう少しで終わるよ。終わったら1ヶ月ほど休暇もらえるから、またどこか旅行しよう」
「うんうん、大賛成!!」
「ライアン、絶対に無理だけはしないでね。辛かったらいつでも帰ってきてね」
「大丈夫だよ。レイチェルとジュディがいるから、僕はいつでもベストを尽くせるんだ」

3日後、飛行機に乗ってハリウッドに戻るライアンを、レイチェルとジュディは手を振りながら優しく見送るのだった。
0469三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/07/07(火) 20:03:57.13ID:qiWag9UV
>>466
大作だw、今度は懐かしのあの人たち
気になって調べてみたら、アニートニーの初出は丁度約1年前ですね
不思議な夢の、楽しい思い出・・・
0470この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/07(火) 21:18:06.13ID:cYb2dSP2
>>469
感想ありがとうございます!
アニーとトニーをまた出して活躍させたいなあと思って書いたお話です
当初は一発屋の予定だったのに、今や準メインキャラでここまで活躍するとは私も想像ができませんでした
レイチェル人形ネタ第2回目ですが、某おもちゃ物語が大好きが故にこのネタは書くのがすっごく楽しいです
たとえ人形であっても、レイチェルはいつまでも大好きなライアンと一緒にいて幸せで楽しい日々を過ごしてほしいです
楽しんでいただけてすっごく嬉しいです!
0471この名無しがすごい!
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2020/07/09(木) 01:18:26.96ID:rLETcdU8
>>466
トイなストーリーを思い起こさせるお話ですねw
自分の持ち物には名前を入れておくのが基本
ですが最近は個人情報が……
0472この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/09(木) 04:11:56.36ID:jy1A3Qaa
>>471
感想ありがとうございます!
自分の所有物に名前を書いておくのは証拠にはなりますが、勝手に消されて奪われる危険性もありますよね
優しい子とイグアナに拾われたおかげで、レイチェルは無事にライアンの元に戻ることができて本当にラッキーでした
楽しんでいただけてすっごく嬉しいです!
0473三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/07/10(金) 13:09:24.58ID:gCc1vjuj
ところで次回の企画はどうしましょうか・・

昨夜は、よさこいのアレが再放送だったようなので
お だ い す れ
どれか一文字から始まるワード限定(かぶりは気にしない)とかどうでしょう・・
0474この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/10(金) 21:23:11.69ID:xSoN0zNf
>>473
面白そう!やってみようよ!
0476この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/12(日) 14:31:13.49ID:NHMpGEKb
>>459
使用するお題→『はなまる』『ホームビデオ』『天使ちゃん』『幼稚園児』『七夕』

【だから、笑顔を覚えてろ】(1/3)


「七夕までには、わたしは死んじゃうんだってさ」

 六月のある日。
 当たり前みたいな顔をして、病室の窓の外を眺めながら。
 幼馴染の女の子は、そんな風に口にした。

「……そっか」

 突然のことで、私はそんな莫迦みたいな答えしか言えなかった。気の効いた慰めとは

程遠い。
 いや、突然のことだったから、というわけでもないのかもしれない。
 だってずっとわかっていた。彼女だってそうだったのだろう。
 彼女を蝕む病気はずっと進行するばかりで、治療の見込みは万に一つもない。
 どう考えたって、彼女は死ぬ。それが遅いか早いか、それだけでしかなくて。

 だから私は驚けなかった。中学の制服は梅雨の湿り気にじめじめとして、
濡れたように重い。湿気と一緒に私の涙も吸い込んでしまったのだろうか。
本当ならドラマのようにわっと泣き出してすがりつきたいはずなのに、
一滴の涙だって私の乾いた目からは零れてきそうになかった。

「願い事をするチャンスさえくれないっていうんだから。神様って残酷だよね」
「どうかな。どうせ叶わない願いなら、そんなチャンス、ない方がマシじゃない?」
「それ、普通死にかけのシンユーに言う台詞? やっぱ知世(ちよ)って頭おかしい」

「かも。どんまい纏(まとい)。運が悪かったね、死ぬ前に見るのがこんなやばい幼馴染

の顔で。あの世で神様に文句言っていいよ」
「いや、むしろわたしは今あんたに文句を言いたい」

 そんなやり取りをして、病院着の纏はベッドの上で笑っていた。私は冷めたような
目つきのまま、ふざけた事を言って鼻を鳴らす。

 それでもあと一ヶ月もしないうちに。
 この幼馴染は、この世からいなくなるのだ。
0477この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/12(日) 14:31:39.75ID:NHMpGEKb
 数日後、私は纏と二人でホームビデオを見ることになった。
 お涙頂戴、ドラマや映画でよくあるやつだ。折角だからやってみよう、
どっちかが死にかけてなきゃできない貴重な体験だし、と纏が言い出したのである。
 
「え、まさかビデオカメラ? ノートPCに移してさえないの? ふるっ!」
「しょうがないじゃん骨董品なんだから。昔っから体弱くてロクに撮る機会もなかった

纏が悪い」
「あーひっど! サイテー!」
 
 纏が一人でゲラゲラ笑う前で、私はビデオカメラのセッティングをしていく。
随分と久しぶりに扱うので手間取ったが、何とか再生することができた。

 映っているのは、小さな私と纏の遊ぶ姿だ。
 幼稚園で、二人ともが何だかわからない絵に先生からはなまるを貰ったらしい。
それを二人して、ビデオカメラに一生懸命に見せびらかしていた。

 幼稚園児の頃から一緒に育って、天使ちゃんだのと呼ばれていた纏と私は
いつの間にか仲良くなっていた。奇跡的にもその年頃から暗かった私と、
体が弱い、というより遺伝性の疾患があって特別扱いされていた纏は、
どちらもはぐれものだった。最初はそういう理由だったような気もする。
0478この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/12(日) 14:32:13.38ID:NHMpGEKb
 画面の中で、纏と私がすっ転んでわあわあと泣き出した。
 それを見て、思わず私と纏が吹き出す。

「おっ笑ったな? 知世が笑うなんて珍しいー」
「だって、ちび纏の泣き顔めっちゃ不細工なんだもん」

「はぁー? あんたの泣き顔のがブスでしょーが! ちっちゃいわたしのはかわいい!」
「はいはい。死に際の病人の顔を立ててあげる。顔だけに」
「サイテー! 知世のバーカ!」

 画面の中で、明るい未来に満ち溢れている二人の女の子は泣きじゃくっているのに、
未来なんてどこにもない病室にいる私と幼馴染の死にかけの女の子は、
どうしてか満面の笑顔で笑いあっていた。

 そのうちに、病室の窓の外で雨が止む。
 梅雨の雲の切れ間から木漏れ日が差し込み、冗談みたいに気紛れな陽光に
私は眩しくて目を細めた。
 幼馴染の女の子は、一生分の明るさを輝かせたみたいな笑いを浮かべて私に言う。

「ね、知世。わたしが死んでもさ、忘れないでよね。嫌な記憶とかじゃなくて、
 わたしを思い出す時にはぜったい笑顔でじゃないとダメだから!」
「そうだね。纏の泣き顔は不細工だもん」
「わ。ほんと、サイテー! ……でもそういうとこ、大好きだったよ。親友!」
「はいはい。じゃあね、親友」


 そうやって私と幼馴染の親友は最期の別れを告げた。
 今でも私は、時折彼女を思い出す。もちろん、誰より楽しそうな満面の笑顔で。

 そして思わず、笑ってしまうのだ。
 そんな時はいつも。サイテー! と笑う幼馴染の声が、聴こえる気がした。
0480この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/12(日) 14:36:00.49ID:2el2mxO+
>459
お題:『はなまる』『ホームビデオ』『天使ちゃん』『幼稚園児』『七夕』

【曇り空の夕べ】
 ありきたりな表現だが、家の天使ちゃんの顔は今日は今宵の空と同じ様な曇り加減だ。
 出窓の大きくとられたガラス窓から外を眺めてはこれ見よがしな溜息を吐く。

「どうした?」
「んーん、なんでもない」

 素っ気ない様に返事はするものの、我が家の天使ちゃんが表情を曇らせている理由は分かって居る。
 七夕だと言うのに曇り空だからだ。
 幼稚園での七夕会で、園児たちは自分の短冊の付いた笹の枝を貰って帰って来た。さすがにマンションの部屋の中に竹は用意できなかった。
 マンションの玄関ホールに用意された竹に、その短冊を付け替えると言う選択肢も有ったにはあったのだが、我が家の天使ちゃんは、ご自宅に飾る事にしてくれたらしい。
 朱色の筆ペンで『はなまる』の書かれた短冊には、『くっきーやさんになりたいです』と言う彼女の夢が書かれていた。
 クッキー単品のお店か、中々に隙間商売だ。
 もっとも、むしろこれは、クッキーをたくさん食べたいと言う彼女の願望由来だろう。

 クスリと笑いつつも、窓の外を憂鬱気に眺める天使の姿をホームビデオに収める。

 どうやら、天の川が出て居なければ願いが叶わないものだと思い込んでいる彼女が成長し、七夕がどういう物かって事が理解した後、これを見せてやろう。

 悪戯好きな悪いお父さんは、真っ赤になって怒る、未来の彼女の姿を思い浮かべながらRECのボタンを押すのだった。
0481この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/12(日) 14:43:49.92ID:2el2mxO+
>>476
少し切なめのお話ですね
生きて来たと言う事こそが大事なことで
だからこそ思い出は大切なのだと思います
0482三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/07/12(日) 22:03:05.22ID:1hfM9mfS
>>476
うーん二人の世界の今と昔
発想と対比、遠慮のないやりとりに面白みがあります

>>480
ある意味この季節らしい曇り空
ストレートな組み合わせに一ひねりですねw
0484三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/07/12(日) 22:09:40.23ID:1hfM9mfS
お題→『はなまる』『ホームビデオ』『天使ちゃん』『幼稚園児』『七夕』締切

【参加作品一覧】
>>466【あなたの帰りがいつも待ち遠しい】
>>476【だから、笑顔を覚えてろ】
>>480【曇り空の夕べ】
0485三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/07/12(日) 22:13:23.34ID:1hfM9mfS
うーんともかく予告通り、頭文字限定をやってみます

お だ い す れ

どれか一文字から始まる単語でお願いします(漢字もおk、2つ以上のお題で頭文字が重複しても気にしない)

お題安価>>486-490
0486この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/12(日) 22:14:06.97ID:KIxGGFtl
無能
0488この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/12(日) 22:15:46.00ID:ecUzLukO
スイカ
0489この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/12(日) 22:16:16.17ID:eeavwRMj
お題スレ
0492この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/12(日) 22:33:54.35ID:N4NbYUpE
イーノック
0493三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/07/12(日) 22:34:03.57ID:1hfM9mfS
☆お題→『大好き』『スイカ』『お題スレ』『レゾンデートル』『イマーゴ』から1つ以上選択

☆文字数→3レス+予備1レス以内に収めれば何字でも可。
1レス約1900字、60行が上限。

☆締め切り→7/19の22時まで。
締め切りを過ぎても作品の投稿は可。

【見逃し防止のため、作品投稿の際はこのレスに安価してください】
0496三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/07/12(日) 22:36:00.37ID:1hfM9mfS
☆お題→『大好き』『スイカ』『お題スレ』『レゾンデートル』『イーノック』から1つ以上選択

☆文字数→3レス+予備1レス以内に収めれば何字でも可。
1レス約1900字、60行が上限。

☆締め切り→7/19の22時まで。
締め切りを過ぎても作品の投稿は可。

【見逃し防止のため、作品投稿の際はこのレスに安価してください】
0498三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/07/12(日) 22:47:05.17ID:1hfM9mfS
もう直さないぞw
お題、作品、感想、ありがとうございます

>>493は無効として、>>496に安価ください

>>495
ちょっと頭を使って面白いかと思ったんだけど、微妙だったかもですね
とは言え、わざわざ予告してるんだから、文句があるなら早めに言ってください
0499この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/12(日) 23:29:23.55ID:2el2mxO+
>>482
感想有難うございます
『そう言えば去年も曇り空だったなぁ』とか思いながら書きましたw
0502この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/13(月) 18:31:31.20ID:+1TRghY0
唐突に荒らし言う人も荒らしなのでは
ってことは触れた俺も荒らしになるな、ごめん
0504この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/13(月) 22:33:28.71ID:gKHKT8aP
レイチェルシリーズがこのスレの一番の癒し
0505三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/07/13(月) 23:46:10.88ID:RoAqgerE
>>502
いや唐突ではないです
制限募集って言ったのに対して>>486とか言い出すのが荒らしでなければ、暴言厨かtoxicかという話

ただ進行としてはその荒らし、どうせいつもの人でしょ、と思ってるので・・・
生きとったんかワレ、と言うか、めんどくせえなぁ、と言うか、まぁそんな感じです
0506この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/14(火) 09:03:48.42ID:zKWFR446
ホントお疲れ様です
流れ変えるためにも何か書きたいところだけど、どんなのにしようかしら
0507この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/14(火) 19:27:26.12ID:B1KI5QUA
>>504
レイチェルシリーズの者です
嬉しいお言葉ありがとうございます!
癒しだなんてそんな、すっごく照れちゃいます///
0508この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/15(水) 12:20:07.89ID:AjBhMcHG
>>496
お題:『大好き』『スイカ』『お題スレ』『レゾンデートル』『イーノック』

【ある男の結末】


 カタカタとキーボードのキーを叩く音が響く。モニターの前に座る男は、親指の爪をかじりながら一心不乱に文章を綴っていた。

「誰だ!!」

 誰何するも応える者はない。
 焦った様に周囲を見回し、自分一人しかいない事を確認しつつも、落ち着かない様子で再びモニターに向かう。

 男の周囲には幾枚もの紙が散乱している。
 そこには『イーノック断片』と日本語で書きなぐられているが、恐らく『エノク断章』を捩ったものだろう。
 その証拠に、メモにはヘブライ語と思しき文体で、所謂『天使語』と呼ばれる文章がメモしてあるからだ。
 言わずと知れた『エノク語』である。

 文章を書き終えたであろう男は、急ぎ新しいタブを開くと、“お気に入り”から『お題スレ』を選択した。
 あまりメジャーなサイトやスレでは即座に消されてしまうだろう。
 その点で言えば、創作短編であろうと判断されるこのスレは都合が良かった。
 あまり“機関”に知られずに、しかし、この話を残したかったからだ。
 この文章を残す事。今はそれが男のレゾンディートルと成っていた。

『大好きなおまいらに言いたい事がある……』

 そんな書き出しで始め、予め書いていた本文をコピー&ペーストした男は、この時初めて安堵の表情を見せた。
 『送信する』にカーソルを合わせ、クリックを……

 ******

 その日、都内のアパートで一人の男性の遺体が発見された。
 第一発見者は同アパートの管理人で、家賃の支払いが滞っていた為、その催促に訪れた所、異変に気がつき発見に至ったと言う。
 男は死後数ヶ月が経っていたため、既にミイラ化しており、警察は病死であると断定し……
0510三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/07/15(水) 21:40:01.50ID:2aVr2zxX
>>508
書きにくいようで書きやすかったかw、今回は一番乗り!
こういうの好きw、隠れたお題も楽しいですね
0511この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/15(水) 22:36:58.41ID:AjBhMcHG
>>510
感想有り難うございます
もう1つ思い付いたのが、お題で書いた小説に対し他のスレ民が
「こんなものは短編小説とは言えないな、一週間後、またこのスレに集まってくれ」
と言うも、締め切りが終わっていた……
と、言う話を思い付いたのですが
『あ、これただのパロディーだ』と気が付いたので没にしましたw
0512この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/16(木) 20:34:26.47ID:QKDef98u
>>496
使用するお題→『大好き』

【シグレの思い出】

私は今、ある女ガンマンとアメリカの広大な大地を旅している。
その女ガンマンの名はシンディ。彼女と初めて会った時かしら、私はちょっとイタズラのつもりで得意の妖術でからかってやったわ。
私の妖術に成す術なく翻弄されていたけど、諦めず果敢に立ち向かおうとするシンディに興味を持ってしまった。
「この女、絶対に只者ではない」あの時、私は既にそう感じ取っていたのかもしれない。
私はシンディをライバルと決め、いつかまた会った時は闘おう。そう決意した。

2回目に会った時、シンディは叔母に捕まってしまい絶体絶命の窮地に陥っていた。
私は彼女を助けるつもりなんてハナからなかった。しかし、どうしても見捨てることができなかった。
成り行きではあるが救い出し、なんか一件落着という形で終わったわ。
シンディは妙に大喜びして私のことを友達扱いしちゃって、なんて呑気なのかしら。そうとしか思えなかった。
でもあの後に飲んだレモネードはすっごく美味しかったわ。

3回目、それは私にとって予想外の再会だった。
変なカラクリ人形使いに命を狙われ、息絶えそうになっていたところをシンディに助けられたのだ。
得意の銃撃が一切通用しない強固なカラクリ人形にシンディは屈さず、体術で攻め始めた。
最後まで諦めず、ついにカラクリ人形を破壊した。勝ったのはいいけど、どこまで無茶すれば気が済むのかしら。
私は同時に感じた、「これがアメリカのガンマンなんだ」と。

4回目、ライバルとしてシンディと決着を着ける時が来た。
最初は私が優勢で、シンディはあの時と同じく妖術と幻術の挟み撃ちに翻弄される一方だった。
しかし、シンディは心の中に潜む恐怖を打ち消すことで私の幻術を打ち破り、見事に逆転勝利。
この時、私は悟った。「私はこの女ガンマンには勝てない、絶対に」と。
決闘の後、彼女は私を「親友」と呼んだ。その言葉に、私は胸の中にある何かが張り裂けそうになるほどの喜びを感じた。
それ以来、私はシンディの旅の仲間になり、苦楽を共にする関係になった。

彼女と共に旅を初めてから、私はこのアメリカがいかに弱肉強食の無法地帯であることを実感した。
弱き者は食われ命を落とす、明るい未来なんてない。強くないとこの世界を生き残っていけない。
しかし、シンディと一緒だとそんな世界の中でも生き抜こうと強く決心できた。
迫り来る強敵の数々に心が折れそうになっても、彼女が癒してくれたのだ。
私はシンディが大好き、本当に大好き。こうやって彼女とずっと冒険できる、そう思っていた。


あの時が来るまでは・・・
0513この名無しがすごい!
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2020/07/17(金) 01:16:53.33ID:UnFdlFaK
>>512
何やらロボットアニメ最終回、オープニング前の様な雰囲気ですね
はてさて、二人の間に何が起こるのか?
0514三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/07/17(金) 12:54:11.69ID:ysnjyBV9
>>512
今回は短め且つちょっと違った雰囲気に、気になる引きw
何気にシグレの一人称は初めてでしょうか
0515この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/17(金) 20:24:20.83ID:8cw1ZFhT
>>513
>>514
感想ありがとうございます!
シンディとシグレの旅にどうやら終わりの時が迫ってきたようです
実はあと数話ほどで完結の予定です、2人の身に一体何が起きたというのか?乞うご期待!
楽しんでいただけてすっごく嬉しいです!

あ、あとシグレの一人称ですが初登場の時から「私」でございますw
0516この名無しがすごい!
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2020/07/17(金) 20:24:31.08ID:cKhUXcKr
>>498
そんな頻繁にスレを見てなかったので…
言い方がきつくなってしまったのは悪かった
0517三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
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2020/07/17(金) 23:49:52.72ID:ysnjyBV9
>>515
ああー、すみません、一人称視点って意味でした

>>516
いえいえ
もちろん苦情はいつでも受け付けてますけど、終わってから言われてもねぇ、という
0518この名無しがすごい!
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2020/07/18(土) 15:37:10.35ID:/FYmC4HX
>>517
一人称視点のことだったんですね、なるほど
一瞬、あれシグレの一人称ってちゃんと決めてなかったっけ?と困惑してしまいましたw
確かにシグレ視点で書いたのは今回が初めてですね
0519この名無しがすごい!
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2020/07/19(日) 18:54:19.10ID:YsnkCIII
>>496
お題:『大好き』『スイカ』『お題スレ』『レゾンデートル』『イーノック』

【初夏の縁側】
「アナタが大好き!! とてもとても大好きなの!!」
「ああ! 俺もキミの事が大好きだ!! 誰よりも大好きだ!!」

 美奈絵と光輝はそう言って抱きしめ合った。
 そうして次第に顔が近付き……

 ******

「ぶっひゃはははははははははははははははははははは!!!!!!」

 アタシはスマホを片手に大爆笑をしていた。
 いや、正面切って大好き合戦とか、ギャグにしかならないだろう。アタシ遠藤 立花は、弟の書いた“恋愛小説”を読みながら抱腹絶倒する。
 何らかの伏線があってのこれならまだわかる。だけど、開始数行で『校舎裏』の『御神木』の下での初告白が“こう”なのだ。これを笑わずに居られようか?

 それも、我が弟の作品と言うのがまた。
 まぁ作品と言ったって、どこぞに投稿したとか、そう言う類の物では無い。彼がWeb上のプラットホームに書き溜めている作品を読んでいるのだが。
 弟の宏はバレてないと思っているみたいだけど、この姉に掛かれば弟の秘密など丸裸の様な物だ。
 まだまだ“子供”の分際でこの姉に秘密にしようなどと言うのが片腹痛い。

 アイツがまだ一作も投稿できていない事も、5ch上の『お題スレ』に晒してみようとしながらも、怖気づいて『書き込む』ができないでいる事も、この姉はマルッとお見通しなのだ。

 この世の真理として、弟は姉の玩具にされる事こそが、レゾンデートルだと知れ!!

 そんな風にアタシが休日の午後を過ごしていると、外からカキンカキンと音が響く。
 件の弟とお父さんだろう。

 二人ともインドア派ではあるのだが、お父さんは特に色んな物に影響を受けやすい。大体が三日も経たずに坊主となり果てるのだが。
 そんなお父さんに引っ張られて、宏は庭に連れ出されている訳だ。

 窓から外を覗くと、お父さんが宏に千本ノックをやっている。どうやら、野球漫画にでも影響されたのかな?
 それに付き合う宏も宏だが、アタシが見ている限り後逸は一つもなさそうだ。インドア派なのに、無駄に運動神経がいいよね。まったく無駄才能だけど。
 また一つ、ギリギリのボールを飛びついて捕球した。

「よっナイス!! い―ノック!!」
「捕球じゃないのかよ!!」

 アタシの声援に弟が文句を叫ぶ。
 当たり前だ。宏を褒めたって一銭にも成らないけど、お父さんを褒めとけば、上機嫌になる。それはつまりアタシの臨時お小遣に直結してるのだから。

 そんな風に庭を眺めていると、お母さんが出て来て手招きをする。
 その手にはお盆が乗っていて、そこにはスイカが切ってあった。
 早速アタシは階段を駆け下りると縁側に座る。お母さんが隣に座り、アタシはスイカをシャクシャクと食べ始めた。

 セミの鳴き声が大分騒がしくなっている。

「夏本番ですなぁ」
「暑くなるわねぇ」

 息を荒げ始めた我が家の男共を眺めながら、アタシとお母さんはスイカに齧りつきながら、そう言って笑ったのだった。
0520この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/19(日) 21:58:21.85ID:4GtJrNhh
>>496

使用お題→『大好き』『スイカ』『お題スレ』『レゾンデートル』『イーノック』

【私信】(1/2)

 僕はお題スレを開いて閉じた。
「誰かなんか面白いこと書かないかなぁ……」
 お題を出してもらって短編小説を書く、匿名掲示板のスレッドだ。
 率直に言って過疎っているが、僕は毎日見に来ている。
 このスレが大好きだ、とか、これが僕のレゾンデートルだ、とか、そこまでは思っていないが、いつもなんとなく気になって、開いてしまうのだ。

 ピンポーン

 と、その時、玄関の呼び鈴が鳴る。誰だろう。宅配便か、近所の人か、何かの営業か宗教か。
「はい、お待たせしました」
「ドウモ、コンニチハ」
「あっ、イーノックさん。どうも、こんにちは」
 隣の家のイーノックさんだった。彼はイギリス人だ。グレーの瞳に高い鼻、僕より少しだけ年上の彼は、なんだか僕の、会ったことのない兄を思わせる。
「コレ、家庭菜園デ作ッタ、スイカ、デース。食ベテクダサーイ」
「おおっ、ありがとうございます。随分大きいですね」
「デッカクナッチャッタ、デース」
 両手で抱えられるかどうか、その大きさに僕がまごついていると、イーノックさんが、試しに持ってみろ、という風にスイカを差し出してくる。
 縦にはっきりと模様の入った、緑色の、大きなスイカ。
 僕は、それを受け取ろうと、両腕を伸ばす。
「ソンナ筋肉デ大丈夫カ?」
 そんなことをイーノックさんが言ってくる。彼はこのネタが大好きなのだ。
「大丈夫だ。問題ない」
「ウム。ハイ、ドウゾ」
「はい……うおっ、おもっ!」
 見た目通りの重さ、これは大丈夫だろうか。イーノックさんの顔がスイカの陰に隠れてしまう。
「確カニ渡シマシタ。デハ、マタ」
 そう言ってイーノックさんは帰ってしまった。僕はスイカの重さで身動きが取れない。
「どーすんだこれ…………んん?」
 僕が一人で途方に暮れていると、不意に、腕の中の重さがなくなった。
「あれっ? イーノックさん?」
 僕を助けるために戻ってきてくれたのだろうか。そう思って、スイカの向こうに目をやるが。
「はっ? えっ?」
 そこには誰もいなかった。そしてスイカはそれ自体で、空中に。
「……うっ、浮いてる!?」

 *

 僕の目の前、玄関に、スイカが浮かんでいる。意味不明な光景だ。
 上下左右から眺める。どんなトリックなのか分からないが、確かに浮いている。
「どーなってんだ……」
 なすすべなく眺めていると、突然、スイカの表面に切れ目が入る。水平に一直線、緑色の球体が、上下二つの半球に分かたれる。
 おお、と思って見ていると、その二つが、それぞれ上下にスライドする。ゆっくりと広がる、緑色に挟まれた空間。その中で、何かがくねくねと動いている……。
「……サ○エさん!? じゃない、イーノックさん……?」
 それは小さな人間だった。そしてその『人間』は、僕のよく知る人物にそっくりだった。
「イイエ、ワターシハ、イーノックサンデハ、アリマセーン。ワターシハ、宇宙人デース」
 大きなスイカから現れた、小さいイーノックさん。
 彼は、くねくねと踊りながら、そんなことを言ってきた。
0521この名無しがすごい!
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2020/07/19(日) 21:59:17.06ID:4GtJrNhh
【私信】(2/2)

 とりあえず。僕は玄関に立ったままで、スイカは玄関に浮かんだままだ。
「あの、えっと……つまりどういうことですか?」
 質問しても答えてくれるとは限らないが、他に何を言うべきか、僕には分からなかった。
「説明シヨウ。ワターシハ、宇宙人。コノスイカハ、『<恒星間移民船>グリーンヒルコ』デース」
「はあ……」
 このおかしな状況も、小さいイーノックさんの説明も、僕の理解を超えていた。
「……いやどう見てもスイカですが。スイカ……ですよね?」
 そう言って確認するが、小さいイーノックさんは次のように続けた。
「ワターシノ、話ヲ、聞イテクダサーイ。人類ハ、滅亡シマース」
「はあ……滅亡、ですか」
 またとんでもないことを言い出した。
「ソウデース。ワターシタチ、宇宙人ガ、役立タズノ人類ヲ、滅ボシマース」
「えっ。それは滅亡……? 侵略、では?」
「ワターシタチガ侵略シテ、人類ハ、滅亡シマース」
「そっ、そうなんですか」
 どこまで本気なのか分からないが、そうなっては大変だ。
 その時、僕の顔の高さに浮かんでいたスイカが、ゆっくりと、地面すれすれまで下りていく。
 僕は、そのスイカの高さに合わせて、腰を落とす。
 スイカの下降が止まると、下の半球の側面が、フェリーのハッチのように開いて、手前に向かって倒れてくる。
 赤い果肉が見える。それと何か黒っぽい物も。
「コレガ、ワターシノ、軍団デース」
 ハッチが完全に開くと、スロープになっているその上を、隊列を組んで降りてくる。
「機甲師団デース」
 それはカブトムシやクワガタムシの集団だった。なるほど確かに、黒光りする立派な体が、戦車のように見えなくもない。
「コレカラ、アレクサンドリアニ、上陸シマース」
 言っていることが支離滅裂だ。最初から今までくねくねと踊り続けている、小さいイーノックさん。
「待て、そこのイーノックさん!」
「ワターシハ、イーノックサンデハ、アリマセーン」
「待つんだ宇宙人さん」
「何ヲ、待ツノデスカ? 夏休ミヲ、待ツノデスカ?」
 侵略とか滅亡とか言っている割には、何でも、いつまでも、待ってくれそうな雰囲気だ。
「僕とカブトムシ相撲で勝負だ。僕が勝ったら、地球への侵略を諦めるんだ」
「イイデショーウ。ダケド、ワターシガ勝ッタラ、役立タズノ人類ヲ、滅ボシマース」

 *

 僕は上半身裸になって、小さいイーノックさんと同じサイズになった。
 赤いスイカの土俵に立って、四股を踏む。相撲なんてやったことがないので、これだけで引っ繰り返りそうだ。
「ソレデハ、取組ヲ、始メマース。ハッケヨーイ、ノコッタ!」
 いきなり取組が始まった。僕の周りを囲んでいる、数え切れないほどのカブトムシたち。
「ハッケヨーイ」
 一匹が向かってきた。大きな角を振りかざし、六本の足を動かして、それは本当に戦車のようだ。
 まともに受けては大変なので、僕は転がってかわす。それから相手の背後に回ろうとしたが、さすが六本足は素早い。逆に角で引っ掛けられそうになった。
「ハッケヨーイ、ノコッタ」
 僕が後ろに下がって、カブトムシとの間に若干の距離が出来た時、周りで動きがあった。
「なっ!」
 カブトムシが一匹とクワガタが二匹、僕たちの取組に乱入してきたのだ。
 僕がクワガタの突進をかわすと、そいつは、周りにいる他のやつらにぶつかっていった。
 それを皮切りに、乱戦が始まった。
「ハッケヨーイ、ノコッタ! ノコッタノコッタ!」
 なんだ、これは。
 僕は、カブトムシたちに踏み付けられそうになりながらも、スイカの土俵から逃げ出した。そうして、玄関の床に転がる。
「コッ、コレハ、降参デース! ワターシハ、侵略ヲ、諦メマース!」
 兄さん。顔も知らない、会ったこともない、僕の兄さん。見ていますか。
 あなたは、スイカは好きですか? カブトムシは? クワガタは? 昆虫相撲はどうですか? 宇宙人に会ったことはありますか?
 僕は、スイカから離れて、縁側へと向かう。夕暮れの夏空を見上げる。異変に気付く。

 そこには、空を覆い尽くさんばかりの、おびただしい数のスイカが――――
0524三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/07/19(日) 22:11:41.85ID:4GtJrNhh
お題→『大好き』『スイカ』『お題スレ』『レゾンデートル』『イーノック』締切

【参加作品一覧】
>>508【ある男の結末】
>>512【シグレの思い出】
>>519【初夏の縁側】
>>520【私信】
0525三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/07/19(日) 22:12:41.99ID:4GtJrNhh
ではでは、通常お題5つです

お題安価>>526-530
0526この名無しがすごい!
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2020/07/19(日) 22:13:38.65ID:erKK3nca
エクレア
0527この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/19(日) 22:14:16.78ID:64eedDxr
100人の彼女
0529この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/19(日) 22:18:06.64ID:IaxrVeW9
編隊
0530この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/19(日) 22:31:00.77ID:pksKSmq5
ペーパー
0531三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/07/19(日) 22:35:07.79ID:4GtJrNhh
☆お題→『エクレア』『100人の彼女』『タニシ』『編隊』『ペーパー』から1つ以上選択

☆文字数→3レス+予備1レス以内に収めれば何字でも可。
1レス約1900字、60行が上限。

☆締め切り→7/26の22時まで。
締め切りを過ぎても作品の投稿は可。

【見逃し防止のため、作品投稿の際はこのレスに安価してください】
0532三代目進行 ◆sjbsZxtbdD7t
垢版 |
2020/07/19(日) 22:39:41.38ID:4GtJrNhh
今回も早いね・・・お題、作品、感想など、ありがとうございます

夏が来るよぅ・・・皆様体調には、、熱中症などには、気を付けて

次の企画はどうしよう・・・
0533この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/19(日) 23:44:58.07ID:YsnkCIII
>>520
不条理系短編ですね
何故かバルタン星人を思い出しましたw

>>523
感想有難うございます
何気ない日常と言うには弟君が不憫ですがw
0535この名無しがすごい!
垢版 |
2020/07/23(木) 22:01:52.69ID:d0AbmwNy
実況感想さん帰ってこないのかな・・・
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