>>496
使用するお題→『大好き』

【シグレの思い出】

私は今、ある女ガンマンとアメリカの広大な大地を旅している。
その女ガンマンの名はシンディ。彼女と初めて会った時かしら、私はちょっとイタズラのつもりで得意の妖術でからかってやったわ。
私の妖術に成す術なく翻弄されていたけど、諦めず果敢に立ち向かおうとするシンディに興味を持ってしまった。
「この女、絶対に只者ではない」あの時、私は既にそう感じ取っていたのかもしれない。
私はシンディをライバルと決め、いつかまた会った時は闘おう。そう決意した。

2回目に会った時、シンディは叔母に捕まってしまい絶体絶命の窮地に陥っていた。
私は彼女を助けるつもりなんてハナからなかった。しかし、どうしても見捨てることができなかった。
成り行きではあるが救い出し、なんか一件落着という形で終わったわ。
シンディは妙に大喜びして私のことを友達扱いしちゃって、なんて呑気なのかしら。そうとしか思えなかった。
でもあの後に飲んだレモネードはすっごく美味しかったわ。

3回目、それは私にとって予想外の再会だった。
変なカラクリ人形使いに命を狙われ、息絶えそうになっていたところをシンディに助けられたのだ。
得意の銃撃が一切通用しない強固なカラクリ人形にシンディは屈さず、体術で攻め始めた。
最後まで諦めず、ついにカラクリ人形を破壊した。勝ったのはいいけど、どこまで無茶すれば気が済むのかしら。
私は同時に感じた、「これがアメリカのガンマンなんだ」と。

4回目、ライバルとしてシンディと決着を着ける時が来た。
最初は私が優勢で、シンディはあの時と同じく妖術と幻術の挟み撃ちに翻弄される一方だった。
しかし、シンディは心の中に潜む恐怖を打ち消すことで私の幻術を打ち破り、見事に逆転勝利。
この時、私は悟った。「私はこの女ガンマンには勝てない、絶対に」と。
決闘の後、彼女は私を「親友」と呼んだ。その言葉に、私は胸の中にある何かが張り裂けそうになるほどの喜びを感じた。
それ以来、私はシンディの旅の仲間になり、苦楽を共にする関係になった。

彼女と共に旅を初めてから、私はこのアメリカがいかに弱肉強食の無法地帯であることを実感した。
弱き者は食われ命を落とす、明るい未来なんてない。強くないとこの世界を生き残っていけない。
しかし、シンディと一緒だとそんな世界の中でも生き抜こうと強く決心できた。
迫り来る強敵の数々に心が折れそうになっても、彼女が癒してくれたのだ。
私はシンディが大好き、本当に大好き。こうやって彼女とずっと冒険できる、そう思っていた。


あの時が来るまでは・・・