少女は空を見上げる。

 もしも、私の目に映るもの全てに意味があるのならば
 私は未来に希望を紡いでいくことができただろう
 これから授かるであろう、新たな命のために
 私の全てをかけて、人生を歩んでいくことができただろう

 少女は海を見つめる。

 もしも、世界が愛で満ち溢れていたのならば
 私は世界を愛することができただろう
 たとえどんな絶望がこの身を苛もうとも
 やがて前を向いて歩くことができただろう

 人はすべからく悲しみと欺瞞の上に生きている。
 気づかないのか?
 私たちが希望を見出す度に、この世界に血と灰が積み重なっていくのだ。