絶望を司る少女
少女は空を見上げる。
もしも、私の目に映るもの全てに意味があるのならば
私は未来に希望を紡いでいくことができただろう
これから授かるであろう、新たな命のために
私の全てをかけて、人生を歩んでいくことができただろう
少女は海を見つめる。
もしも、世界が愛で満ち溢れていたのならば
私は世界を愛することができただろう
たとえどんな絶望がこの身を苛もうとも
やがて前を向いて歩くことができただろう
人はすべからく悲しみと欺瞞の上に生きている。
気づかないのか?
私たちが希望を見出す度に、この世界に血と灰が積み重なっていくのだ。 男がやってくる。
ゆっくりと歩きながら、近づいてくる。
夕日に照らされて、少女の背後から迫り、やがて隣で止まる。
「憎悪は無限に膨らんでいくよ」
憎悪は無限に膨らんでいく。
希望を否定して、絶望も否定して。
この目に映るもの全てを否定し尽くすまで。
「あなたは私のことをよく知っているのね」
少女は男の方に目を向けようとしない。
「君は僕のことをちっとも知らないみたいだけどね」
拗ねたみたいな声色。
「君は僕なんて興味ないんだろう?」
「私はあなたを愛しているわ」
「嘘が下手だね」
「嘘じゃないけどね」
声も言葉も、霧がかかったみたいにひどく曖昧で。
夢か現か、妄想なのか現実なのか。
「君は僕の名前も知らないんだろう?」
「あなたに名前なんてあるの?」
「あるんだよ。君が一番よく知っているはずさ」
少女は男の方に目を向けようとしない。その視線はずっと海の方向を向いている。
「太陽が沈んでいくわ」
「綺麗だな」
「あなたと同じくらいね」
輝いた後だからこそ、沈みゆく様もまた美しくなる。
花の散り際が美しいように。命の灯火が消える瞬間が美しいように。 「君と僕は同列だよ」
男は悲しげな目をしている。
「僕は美しいだろう?」
「そうね」
「だから君も美しい」
「そうかしら」
「少なくとも、僕はそう思う」
「あなたは変な人なのね」
「僕らはずっと一緒さ。だって、そういう運命なんだから」
灰が舞う空の下で、血の海を二人で見つめる。
この景色を少しでも良くしようと、努力したこともあった。
今考えると、結果なんて分かりきっていた。
この血の海に、私の血が混じっただけだった。 「昔はあなたのこと、よく知っていたの。本当よ」
「そうなんだ。僕は君のことなんて知らなかったけれど」
「でしょうね。あなたを殺してやりたいと何度思ったことか」
「なんなら今からでも遅くはない。ナイフで僕の胸を突き刺してみるかい?」
「言ったでしょう。私はあなたを愛しているの」
もしも世界に希望が満ち溢れていたら
人は絶望を恐れ、勇気を振り絞ることを忘れてしまうだろう
なぜなら、それが人間のシステムだから
悲しみと幸せは表裏一体 「あなたの名前なんてどうでもいいわ。だって、今はそんなものに意味なんてないもの」
不幸があるから幸福がある。その理はどうやっても覆せない。
「本当にバカな男ね。私のことなんて忘れてどこかに行ってしまえばいいのに」
「それはできない。だって、僕も君のことを愛しているんだから」
「そう言うと思ったわ。だって、そういう風に創られているんだものね」
血の海が水位を増していく。
喜びも、悲しみも、全て血で希釈して飲み込んで。
すぐに二人も飲み込まれる。
それが二人の関係を、より強固なものにしていく。
「愛しているよ」
「愛しているわ」
太陽が再び昇る。
二人が別れる時が来るまで、何度でも何度でも。
太陽はいくらでも、昇っていく。
Fin 日本の最も優れたゲームクリエイターのランキング一位に輝いた、
ゲームプロデューサーの松浦正明さん
【本名:殷正明さん(ウン ジョンミョン)】に
名作や傑作ゲームを生み出す秘訣をお伺いした所、
毎日欠かさずに食している自家製キムチが原点だとおっしゃいました。
松浦さんの姉が漬けてくれるそうで、姪っ子のオシッコを入れることで味に深みが増し、それが名作や傑作のゲームを企画開発する原動力となっているそうです。
日本人のクリエイターが結果を出せないのは排泄物を忌み嫌って捨ててしまう文化が足かせとなっているようですね。 おいスレ立て,自分で立てたんだから最後まで面倒見ろよ