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全国の女子大に影響

お茶の水女子大の決定は他大学の動向にも影響しそうだ。「まだ正式に決ま
っていないが、前向きに検討している」と話すのは国立の奈良女子大(奈良市)
の担当者。29年9月に大学理事などで構成するワーキンググループを立ち
上げ、問題の洗い出しを行っている。公立では群馬県立女子大(群馬県玉村町)
がお茶の水女子大の決定を受け、学内委員会で検討を開始。福岡女子大(福岡市)
は「1年生全員が寮生活をするため保護者の理解などを含めクリアすべき課題
は多い」(担当者)。状況把握のため他大学の情報収集に乗り出している。

女子教育を大学の理念に明確に掲げる私立でも検討は進んでおり、津田塾大
(東京都小平市)、日本女子大(同文京区)、東京女子大(同杉並区)など
で29年から議論している。

女子大の存在意義とは?

ピーク時には100近くあった女子大だが、定員割れに伴う学生募集強化や
統廃合などを背景に共学化が相次いだ。29年度の学校基本調査では、女子大
数は国立2校、公立2校を含め計76校。780ある大学の約1割にとどまる。

お茶の水女子大の記者会見では女子大の存在意義に関する質問も相次いだが、
室伏学長は「共学化の議論はなかった」とし、「女性が社会で男性と同等に暮
らせる状況にはなっていない。女子大の存在意義はまだまだある」と強調した。

ただ、27年には福岡女子大に入学願書を受理されなかった福岡市の男性が、
不当な性差別で違憲だとして、不受理処分の取り消しなどを大学側に求め提訴
したことがある。その後、訴訟継続が困難などとして取り下げられたが、公立
女子大の存在意義を問うものとして注目された。