快速エアポート増発、財源が課題 立体交差など百数十億円
http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/economy/economy/1-0330572.html
2016/10/25 05:00

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 JR北海道が札幌と 新千歳空港 を結ぶ快速エアポートを増強する方針を示していることを巡り、貨物列車用線路の立体交差化など総計で百数十億円規模とされる工費や必要経費の財源確保が課題となっている。
経営状態が厳しいJRだけで負担するのは難しいとみられ、菅義偉官房長官が「2020年をめどに3割増やす」とする方針を明言したことで、国土交通省が対応を迫られるとの見方もある。

 JRなどが検討する増強策は、現行で1時間4本(15分間隔)のダイヤを、5本(12分間隔)に増発する方式が有力視されている。編成車両を増やす方法も検討されたが、停車駅のホーム改良が大規模になるため、見送られる見通しだ。

 ただ、増発するにしても、エアポートが走る千歳線は、札幌貨物ターミナル駅からの貨物列車が頻繁に進入するうえ、千歳方面への貨物列車が短い区間ながら札幌方面の線路を走っており、簡単には通過列車を増やせない。
このため、貨物列車用の線路の一部を立体交差にする必要があり、工費だけで50億〜70億円程度かかるとされる。

 増発分の車両の調達や検査態勢の整備も含めると総計は150億〜200億円規模に及ぶ見通し。経営難を背景に路線廃止を伴う事業見直しを掲げるJRが単独で取り組むのは難しいとみられる。

 菅氏の発言は16日の札幌市内での講演で出たもので、20年の 東京五輪 や、同年に新千歳空港をはじめとする道内複数空港の一括民間委託が始まることなどを踏まえ、観光立国に向けた環境整備を進める狙いがある。
ある政府関係者は「菅氏が時期を明言したことで、事業の先送りはできなくなった。JRが自社で賄えなければ、国交省は何らかの手を打つ必要が出てきた」と指摘する。

 国は水面下でJR側に運賃値上げで事業費を賄うよう求めているが、値上げは利用者の反発が見込まれるなど難航する可能性もある。
20年までに増発するには、来年度には財源の見通しを立てる必要があり、今後、議論が加速しそうだ。