<米投資会社サーベラス>全西武HD株売却 出資11年

 米投資会社サーベラスが、保有する西武ホールディングス(HD)の株式を10日付で全て売却したことが分かった。西武HDが16日発表した。
一時は持ち株比率が35%を超えて重要事項の拒否権を握り、球団売却などを求めて経営陣と鋭く対立したが、今年5月に提出された報告書では比率が2.35%に低下していた。
出資から約11年半で完全撤退し、西武HDの経営に区切りが付く。

 サーベラスが一連の株式売却で得た資金は投資額の1000億円程度を大幅に上回ったとみられる。
西武HDの後藤高志社長は「緊張感が高まった場面もあったが、約11年半にわたるサポートに感謝している」とのコメントを発表した。

 西武グループは有価証券報告書の虚偽記載問題で経営再建を迫られ、サーベラスが2006年1〜2月の会社再編を通じて西武HDに約30%を出資。
13年には株式の公開買い付け(TOB)で出資比率を高め、傘下の西武鉄道の不採算路線やプロ野球・西武ライオンズの保有を問題視し、経営陣と関係がこじれた。
だが14年4月の西武HD上場後は投資回収に動き、今月10日にかけて全株を手放したという。

 サーベラス出資時の西武HD株の価値は1株919円。
上場後の株価はピーク時に3695円に達し、最近は2000円前後で推移している。