赤字が続くJR各社のローカル線のあり方について国土交通省の有識者会議が25日、提言をまとめた。1キロあたりの1日平均乗客数(輸送密度)が「1千人未満」などの条件を満たせば見直しの対象になる。廃止は前提とせず、存続やバスへの転換などに向けた会社と自治体の協議を促す。

 国の会議が見直しの具体的な条件を示すのは国鉄民営化後では初めて。1千人未満の線区はJR東海を除くJR5社で61路線100区間にのぼる。特急や貨物列車が走る一部区間を除くなど、1千人未満でもすぐに対象にはしない。広域な自治体間での調整が必要なことなども協議入りの条件とした。結果的に鉄道をやめてバス転換するところも出てくる可能性がある。

 地方の人口減や自動車の普及などでJR各社は多くの赤字ローカル線を抱える。コロナ禍で都市部の乗客も減り経営は厳しい。会社側としては不採算路線のバス転換などを進めていきたい考えだ。存続を求める自治体側の反発は根強く、これまでは協議することも難しかった。

 提言では見直しの目安を輸送密度1千人未満などとした。輸送密度は1980年代に旧運輸省が国鉄再建法に基づく廃線検討の参考にした指標だ。バス転換の目安は当時4千人だった。

https://www.asahi.com/articles/ASQ7T6QBCQ7TULFA014.html