敦賀間が開業した。これで東京駅から北陸4県の県庁所在地の駅まで新幹線一本で直通できるようになり、関東地方から北陸4県へのアクセスが飛躍的に向上した。福井県はこれを100年に一度のチャンスと見込み、積極的な観光PRを仕掛けている。首都圏の駅では、福井県の観光ポスターを見ない日がないくらいである。

 その一方で、中京・関西エリアの人々からは嘆き節が聞こえる。北陸は文化的にも経済的にも、中京・関西エリアとの結びつきが強い地域である。これらの地域からは、直通の特急列車「サンダーバード」や「しらさぎ」で乗り換えなしでアクセスできた。ところが、これからは名古屋駅、岐阜駅、京都駅、大阪駅から福井や金沢方面にアクセスする際、敦賀駅で必ず乗り換えが必要になる。

 2014年に北陸新幹線の長野〜金沢間が開業した際、富山駅に向かう時は金沢駅で乗り換えが必要になった。ところが、これからは富山駅だけでなく、金沢駅、福井駅に向かう際にも、一様に敦賀駅での乗り換えが生じるのだ。しかも、それが面倒なのである。駅の1階から3階までをエスカレーターで上り下りしなければならない。大阪駅で駅弁を買って、車内でビール片手にくつろぎ、うとうとしていたら金沢駅に到着……という旅ができなくなるのである。

 それでも、時間短縮効果が劇的に高いのならまだ理解できる。しかし、大阪〜福井間の所要時間は最大でたったの3分の短縮効果しかない。大阪〜金沢間は最大22分、大阪〜富山間は最大29分。名古屋〜金沢間は最大16分と、こちらも絶妙な数字である。さらに、大阪〜金沢間の料金は1620円高くなってしまう。時間短縮がわずかで、料金も高くなり、そのうえ面倒臭い乗り換えが発生する。中京・関西エリアの利用者から不満しか上がらないのは、当然である。

 筆者は先日、名古屋から金沢に向かう用事があった。せっかくなので敦賀駅前のホテルで一泊し、敦賀駅の様子をレポートしながら、今回の乗り換えの何が問題なのかを検証してみたい。

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