ttp://agora-web.jp/archives/2024105.html
憲法のコアは第9条ではなく第1条である 2017年01月27日

JBpressの記事では明治以降の「天皇制」が古来の伝統ではないという歴史学の常識を書いたが、
かりに伝統だったとしても現在の天皇制を維持する理由にはならない。
立憲主義によれば、憲法は主権者たる国民がその幸福を最大化する制度だから、
1000年続いた伝統でも悪い制度はやめるべきだ。
その意味では、天皇を廃止して共和制にすることも(論理的には)選択肢である。
丸山眞男はそう考えていた。
彼が1950年代に憲法問題研究会でテーマにしたのは、
ガラパゴス憲法学者の騒いでいる第9条ではなく、象徴天皇制と国民主権を定めた第1条だった。
彼は晩年にこう書いた。

“敗戦後、半年も思い悩んだ挙句、私は天皇制が日本人の自由な人格形成
――自分の良心に従って判断し行動し、その結果にたいして自ら責任を負う人間、
つまり「甘え」に依存するのと反対の行動様式を持った人間類型の形成――
にとって致命的な障害をなしている、という結論にようやく到達したのである。
(「昭和天皇をめぐるきれぎれの回想」)