新人職人がSSを書いてみる 34ページ目 [無断転載禁止]©2ch.net
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新人職人さん及び投下先に困っている職人さんがSS・ネタを投下するスレです。
好きな内容で、短編・長編問わず投下できます。
分割投下中の割込み、雑談は控えてください。
面白いものには素直にGJ! を。
投下作品には「つまらん」と言わず一行でも良いのでアドバイスや感想レスを付けて下さい。
現在当板の常駐荒らし「モリーゾ」の粘着被害に遭っております。
テンプレ無視や偽スレ立て、自演による自賛行為、職人さんのなりすまし、投下作を恣意的に改ざん、
外部作のコピペ、無関係なレスなど、更なる迷惑行為が続いております。
よって職人氏には荒らしのなりすまし回避のため、コテ及びトリップをつけることをお勧めします。
(成りすました場合 本物は コテ◆トリップ であるのが コテ◇トリップとなり一目瞭然です)
SS作者には敬意を忘れずに、煽り荒らしはスルー。
本編および外伝、SS作者の叩きは厳禁。
スレ違いの話はほどほどに。
容量が450KBを越えたのに気付いたら、告知の上スレ立てをお願いします。
本編と外伝、両方のファンが楽しめるより良い作品、スレ作りに取り組みましょう。
前スレ
新人職人がSSを書いてみる 33ページ目
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まとめサイト
ガンダムクロスオーバーSS倉庫 Wiki
http://arte.wikiwiki.jp/
新人スレアップローダー
http://ux.getuploader.com/shinjin/ 👀
Rock54: Caution(BBR-MD5:669e095291445c5e5f700f06dfd84fd2) その後。
仕切り板破損事件は、北上と阿武隈がじゃれあった結果の不慮の事故だったことが発覚した。彼女らは自ら板の修繕を申し出て、それで手打ちとなった。
シンは無事、五体満足だった。流石は元祖ラッキースケベの名を冠する者といったところか、こういう修羅場には恐ろしく強かった。ただ、腹部に直撃した数十のゴム弾のせいで、
彼の立派に割れたシックスパックしばらく真っ赤であったとか。
そして、天津風はというと。
「・・・・・・次、やったら殺すから」
二度も裸を見られたショックにも負けず、今日も元気にデスティニーの整備に明け暮れていた。
もう二度と彼と一緒に浴場には行かないと、心に決めて。
しかし、彼女は知らない。
この世には二度あることは三度あるという諺があることを。
そしてそれは、案外近い未来にあるということを。
彼女は知らない。
まこと、人の世とは何が起こるか分からないものなのである。 以上です。
シンといえばラッキースケベという偏見があります。
たまにこんな頭ゆるい感じのを書こうかと思ってる次第であります。 乙です
なんかさらりと新型デスティニーが紹介されてるのね 乙〜
全裸で失神したシンを運び介抱した人は誰なのやらw お久しぶりです。
もうすぐ書けると言ったのにまた忙しくなって時間が空いてしまいました。
本当にごめんなさい。
皇女の戦い 第7話
ロンドンでのガンダムファイトの大会...マリナが辛くも勝利を収めた第一戦。
彼女はホテル内に滞在しているアザディスタンの女性医療スタッフから軽めの健康診断を受けていた。
デスタンに殴られた腹部にはアザがあるものの、日頃の鍛錬のお陰で痕は薄い色に留まった。
念の為体内もCTRで診てもらったが問題はなかった。
「よし、これなら大丈夫でしょう。流石我が国の代表ですね。皇女様。」
「いえ、ありがとうございます。私も皆さんの期待に応えなければいけませんからここで負ける訳には。」
診察時専用の服から白いチュニックと青いロングスカートに着替えると、一礼して部屋を去るマリナ。
外にはシーリンがいつもと変わらぬ落ち着いた、それでいてどこか厳し気な表情で待っていた。
「どうやら何もなかったみたいね。」
「ええ、今負けたら申し訳が立たないもの。」
「今回は良かったけど、もしまた挑発するファイターが現れても耳を貸してはだめよ?」
「わかっているわ。少しの隙が命取りになるから...」 ホテルで借りている個室で休むと気晴らしに出掛けるマリナ。
ロンドンの街は快晴で、人通りも多く活気に溢れている。
公園でゆっくりしたり、ブティックを軽く回ったりして余暇を過ごしていく。
時計が3時を回る頃に行き着いた石の橋。通路を兼ねたそこは補修を重ねており品のある灰色をしていて、同時に多くの人々が行き交った趣深さを感じさせてくれる。
下に流れる澄んだ河には何隻も船が渡り、この国が豊かであることの象徴のように思えてくる。
(私の国ももっと栄えればこんな風に...)
そんな思いを馳せながら青い空を見上げていると...
突然ボールが目の前に飛んでくるが、咄嗟に躱すマリナ。
サバイバルイレブンで培った敵のパンチや砲撃を回避する能力が自然に働いたのだろう。
ボールはそのまま道路を転がりそうになるが、すぐに拾うマリナ。
前方から、10歳程だろうか金髪の少年が慌てて走ってくる。
「いけね!姉ちゃん、大丈夫?ごめんね、驚いたでしょう?」
人懐っこそうな表情に焦りを浮かべて近づく。
彼にボールをそっと渡すとニッコリ笑みを見せるマリナ。
「大丈夫よ。気にすることないわ。でもここで遊ぶと危ないわよ?」
「ああ、気を付けるよ......あれ?お姉ちゃんどこかで見たような...
マリナさんでしょ!アザディスタンの。さっきのファイト見たよ。凄かったね。」
「ええ、そうよ。凄くなんてないわ。」
口にされるとどこか恥ずかしいのかはにかんで首を横に振る。 「でも、俺の兄ちゃんはもっとすごいぜ。実はファイターなんだ。イタリアのね。」
「あなたのお兄さんが?......っそうなの。それでどんな人?」
「サッカー選手だよ。レオナルド・バレージって言う。」
「そういえば、他の種目からファイターに転向した人も何人かいるわね。」
「そうそう。マジで凄いんだ。俺の兄ちゃん。元エースストライカーでさ、前いたチームの中でも人気高いんだぜ。」
「そんな凄い人がお兄さんなんて、嬉しいでしょ。」
「ああ、俺もいつか兄貴みたいな凄いサッカー選手になるんだ。
ああ、言い忘れたね。俺はダリオ。」
目を輝かせて喋る少年に何だかマリナも微笑ましくなっていく。
水面を見下ろしながら語り合う二人。
皇女でありながらたまにシーリンにサラッと注意されることも自然と話せてしまう。
「ええ、お姉ちゃん。そういう注意されることあるんだ?何か意外...」
「そうなのよ、まだ未熟だからね。」
苦笑いしながら話すマリナ。
楽しくて時間を忘れてしまう。
「でもさ、皇女様って言うからもうちょいとっつきにくい人かと思ったけど何かイメージと違う。」
「私、そんなに近づきづらかったかしら...」
外交中にできるだけ好印象を与える為、フランクな笑顔や話し方を心掛けてきたが今の会話で少し首を傾げる。 「うん。もっと無口で堅い人だと思ったからさ。」
「あはは、ちょっとそれって。」
「でも一緒に喋ってて思ったより普通っていうか、近づきやすいっていうか。」
「良かった。それを聞いて安心......っていけない、もうこんな時間...」
気づけば辺りはすっかり夕闇色になっていた。
「ダリオ、私門限近いからもう帰らなきゃいけないけど、あなたは一人で大丈夫?
泊ってる場所同じだけど送ろうか?」
「子ども扱いすんなって、大丈夫。心配いらないよ。
...それに他の国のファイターと一緒にいるともしかしたら兄ちゃん気まずくなるかもだし。」
それを聞いた瞬間皇女の口は自然とキュッと結ぶ形になり。
「...そうね。ダリオとお兄さんの気持ちも大事だし、今日はここで別れましょ。
一緒に話せて楽しかったわ、ありがとう。ダリオ。」
「こっちこそ。これからの試合頑張ってね、皇女様。」
ボール片手に元気よく帰るダリオに手を振って見送るマリナ。
ファイトの疲れも完全に忘れて悠々と滞在先のホテルに帰っていく。 翌日の朝、愛機・ユディータに乗り込むマリナ。
一糸纏わぬ姿で祈るように両手を握りしめ、片膝を着く。
スーツを纏い力一杯立ち上がる。
しなやかな胴体は爽やかな水色、肩と股は薄い水色、手足と臀部は純白というカラーリングだった。
機体は他国の者に比べやや小さく華奢だった。
白をメインとして、前腕と脛は落ち着いた紺色。
背中には鋭い矢を収めたケース。右手にはシャープなラインを描いた弓を携えている。
会場は昨日と変わらぬ熱狂ぶりを見せていた。司会者は声を上げる。
「みなさんお待ちかねー!今日も激しいファイトの行く末を見守ろうではありませんか!!」
「今日最初のカードは先日逆転勝ちしたアザディスタンの皇女、マリナ・イスマイール!
対するはイタリア代表、元サッカー界の英雄レオナルド・バレージ!
どのような戦いを見せてくれるのでしょうか!」
「絶対に負けられない......」
強い意志を見せるマリナの瞳は、森林のように鮮やかな緑色をした機体を見据えていた... 今日は以上です。
さっき読み返したら、意図せずともおねショタもの?と思われるかもと少し考えてましたw
決しておねショタを嫌ってるわけではないのですが念のため。
まだ至らない部分がありますがよろしくお願いします。
あと、上手く言えないのですがビジュアル的?な部分でここをアレンジしてくれ、というご意見があったら教えてくださいね。
自分の力量でできる限り取り入れさせて頂きますので。
例えば、マリナの機体やファイティングスーツの色彩設定、マリナのスーツ装着シーンetc......
それでは今日はこれで。
みなさんお休みなさい。 更新乙です。
参加選手の兄弟と対戦前に出会うのはGガンでもありましたねー。サイサイシー・・・
別に少年とマリナが出会っただけで即おねショタにはならんでしょー、気にしない。
まぁおねショタも大好b(ry
さてさて、サッカー選手、という前提が出てきましたね。
そうなるとサッカーをどうガンダムファイトに生かしてくるか、作者さんの腕の見せ所ですよ。
弓道や合気道との相性、絡み、スポーツ選手としてのメンタルや国を挙げてのイベントとしての共通点
そしてサッカー選手の乗るガンダムのビジュアルやスタイルをどうするか。
敷居を上げつつ楽しみにしてますよ(鬼 乙です
そも本編からしてマリナはおねショタっぽい感じだったのだから、むしろマリナの本領なのでは?
本編といえばCBの連中は出てこないのかな?
しかし>>199さんや。敷居は上げちゃいかんて真面目に 遅ればせながら明けましておめでとうございます。少しというか一ヶ月以上更新が空いてしまったので、とりあえず中間報告をばと。
年末に職場の転属がありまして、未だてんやわんやしてて執筆があまり進められておりません。なので、次回投下までまだまだ掛かってしまうと思います。
一月末には投下できるかもなので、待っててくれる人がいるならそれまでお待ちくださると幸いです。
今回は以上です。すいません >>201
あけましておめでとうございます
リアルの生活もいろいろあるでしょうから、支障のない範囲でぼちぼちやってください
続きお待ちしてます シンはそういや金髪欲情症という病気にかかっているという話を聞いた気がする。 もう三月やんけ! だいぶ遅れてしまいました。投下します ――艦これSEED 響応の星海――
キラ・ヤマトがキラ・ヒビキとして若干どもりながら自己紹介したドンチャン騒ぎの食事会と、厳粛な雰囲気で進行した佐世保鎮守府全体会議という二つのイベントをこなして、数時間後。間もなく日が移る頃。
「――よし、これで。・・・・・・あぁ、おかえりキラ。こっちは終わったよ」
「うん、ただいま。って言っても、僕ももう部屋に戻るけどさ」
あくびをかみ殺しながら仮設宿舎一階の暁型四姉妹の部屋に戻ったキラは、すっかり寝入ってしまった姉妹達とお客さんを布団に寝かせつかせた響に、帰還の言葉を告げた。
「祥鳳はなんて?」
「妹がご迷惑かけますって。おぶって階段昇るのは危ないから・・・・・・それで瑞鳳さんの着替えと、色々持たせてくれたよ。これ、みんなで食べてって」
「Хорошо、伊良湖のカステラじゃないか。わかった、このカステラに誓って瑞鳳の身は私が護ろう」
「ちょっと大袈裟すぎない?」
素っ気ない顔でしれっと可笑しなことを言う寝間着姿の響。そんな少女に祥鳳からの手土産を渡しながら六畳間の部屋を見渡してみると、
そこには綺麗に敷かれた三重ねの布団に暁と雷、電と瑞鳳がくるまっているのが見えて、キラはなんだか懐かしいと思った。
雷雨が苦手な四人の為にと提案した瑞鳳と、協力者だからということでキラも参加させてもらった暁型四姉妹のトランプ遊び。かなり白熱したものの皆々順繰りに寝落ちし、残った二人で後始末をしたのがつい今し方のこと。
こんな夜が、ただただ懐かしくて。
そう、オーブの孤児院に身を寄せていた時期は、こんなことがしょっちゅうあったと思い出す。
「大袈裟なものか。これにはそれだけの価値があるよ」
「前に食べた、羊羹みたいな?」
「同ランクの逸品だね」
遠い昔のことのようだ。ヤキン・ドゥーエ戦役を終えて、ブレイク・ザ・ワールドで世界が灼かれるまでの、たったの二年間。
嵐の夜は決まって、子ども達は就寝時間ギリギリまでトランプやゲームで遊んで、そしてみんな一塊になって一つのベッドに潜り込むのだ。そんな子ども達を各々のベッドに運んでいくのはキラやバルトフェルドといった
大人組の役目で、その後は大人組も大人組でたいして美味しくもないコーヒーを飲みながら夜をまったり過ごすという日常が、あった。
あの頃が人生で一番、平和を実感して日々を生きていた時代だったと思う。尤も、生きていることに虚しさを感じて、感じる心を喪っていた時期でもあったから、一概に楽しかった時代とは言えないが。
この状況はあの頃の夜にそっくりだ。こんな夜をもう一度過ごせる日が来るとは、夢にも思わなかった青年であった。 (それにしても瑞鳳さん、誘った本人が真っ先に寝ちゃってどうするのさ・・・・・・まぁ、響も僕も楽しかったからいいけどさ)
懐かしい。
今や幸せそうな顔で夢の世界に旅立っている瑞鳳には、感謝せねばならないだろう。押し切られるようなカタチであったとは言え、彼女と協力することになったからこの気持ちを抱けたのだから。
純粋な少女達に囲まれ、久しく感じることのなかった「騒がしくとも楽しい一時」というものを過ごすことができたのだから。心なしか楽しげにも見える無表情な横顔に、つい嬉しくなる。
これからもこんな夜を迎えることができるのだろうか。
彼は蒼銀色の髪の少女と戯れながら、先の食事会にて急接近してきた亜麻色の髪の少女をチラリと一瞥した。
一瞥して、しばし青年は誘われるように、徒然と思考の海に溺れる。
これまでとこれからを、再確認する。
(協力関係、か。僕なんかにその資格は無いと思うけど・・・・・・でも)
この度、キラ・ヒビキは瑞鳳と共に、響の力になることになった。
それはいい。
ここで目覚めてからまだ十日しか経っていないというのに、更に言えば響と顔を合わせていた時間も、実はまだ一日にも満たない程だというのに、
それでも響について瑞鳳に語ったこと――響の危うさに気付いて、支えたいと思ったこと――に、告白した内容に嘘偽りはない。
包み隠さず言ってしまうと、キラにとって響という少女が、どうにも気になってしまう特別な存在であることは確かであったから。
(響、君は僕に出会って少し変わったって言われた。なら僕も、君に出会って少しは変われてるのかな。変われると、いいな・・・・・・)
経験も価値観も主義主張も何もかもが全然違うのに、どこか、君は僕に似ていると思えた。
キッカケはやはり、あの防衛戦における共闘。理なんか何一つない第六感的感覚で、彼女の本質に己の影を見た。彼はあの少女に、ある種の親近感、シンパシーを感じたのだ。
少女の助けになりたいと思うだけの理由。特別だと感じる理由。そもそも少女の危うさに気づけた理由の全てだ。
ならば、少女の助けになることに微塵の迷いも必要なく。とてもできるとは思えないが、もしできるのであれば、是非もないことだった。
何故なら。
この男もまた、己のことが嫌いで赦せない人間だから。
これまでの人生を振り返ってみて、自分を好きになれる要素は何一つもなく。
「自分は生まれてきてはいけなかったのだろうか」という想いはいつだって心の奥底にこびりついているくせに、他人からの弾劾には反論して、開き直り、済ました顔で意志を押し通して。 変わっていく明日を生きる覚悟を、変わらず示し続ける為という建前を掲げて、圧倒的な力を振るって、貪欲に『生』を渇望して。
だというのに結局、自分自身だけでは何も為せず何も創れなかった無力な己の醜悪さを、理解しているから。
苦々しく思う。己が人生経験豊富で、観察力があって、気配りのできる素晴らしい人間だから、ほんの少し行動を共にしただけの少女の危うさに気付いたのだ――なんて、そんな理由であればどんなに良いだろうと。
こんな人間に似ているなんて思われるなんて、彼女にとっては迷惑というか、侮辱でしかないだろうと。
(それでもあえて僕らが似ているところを挙げるなら、それはきっと自分自身に対する、絶望感。そして誰かに何かを赦してもらいたいと願う、罪悪感。瑞鳳に語ったことは半ば、僕自身のことでもあるんだ・・・・・・)
シン・アスカと似ているようでまた異なる、諦観の念。強迫観念じみた、強くあらればならないという行動原理。
だからこそキラは、受け入れて――支えたいと思った。
自分のことが嫌いで赦せないけど、ぜんぜんこれっぽっちも上手くできる自信なんてないけど、こんな自分でもと。否、彼女の考えがわかってしまうからこそ。様々な人に支えられて今まで生きてこれた自分だから、
そのように己も、ここにいられる間は少しでも彼女の支えになれればと。
どうかしてるとは自覚している。いい歳になってこんな、思春期じみた感傷に浸って。似たようなコンプレックスを持ってると思い込んで、心を揺さぶられて。
でもそれが今のキラの原動力の一つだった。C.E.の人間としての目標と義務とはまた別で、一人の人間としてやりたいこととなっていた。
根本の理由がどうであれ、響について瑞鳳に語ったことに、告白した内容に嘘偽りはないのは事実なのだから。
「・・・・・・? なに、キラ。私の顔になにかついてるかい?」
「――あ・・・・・・いや、なんでもない。・・・・・・とりあえず帰るよ」
「そうか・・・・・・今日は楽しかったよ。もしよかったら、いつか暁にリベンジの機会を与えてやってほしいな」
「了解。僕も電とはちゃんと決着つけたいから、またいつかね」
人知れず、決意は固まる。
「うん。Спокойной ночи、良い夢を」
「君もね。おやすみ、明日からよろしく」
響からお裾分けだと貰ったカステラを手に、少女に見送られるカタチで仮設宿舎の廊下へと出て。はじめて互いに「おやすみ」を言い合い、軽く手を振り合って。
キラは懐かしい夜を背に、まだ一度も使ったことのない自室へと歩を進めたのだった。
やるべきこととやりたいこと、約束したことは沢山ある。それを成す為に。
彼が思い描いた未来図は、かつてないほどの輝きを放っていた。 《第10話:抜錨、響・特装試作型改式》
夜が明けて、11月11日の正午頃。
長崎県西方沖の五島列島周辺海域にて。
「翔鶴さ〜んっ! でっかいお魚いっぱい釣れたっぽい! 褒めて褒めて〜♪」
「あらあら、これは大漁ねぇ。カマスかしら? すごいわ夕立」
「む、勝ち誇るにはまだ早いデース。Time limitまであと10分! 旗艦の意地を賭けて、ここから追い上げてみせるワ!!」
今朝まで嵐だったとは思えないほど清々しく晴れ渡った蒼穹に、穏やかに凪いだ大海原と、何処を向いても青一色の世界を白波蹴立てて進む一隻の通常艦艇があった。
ステルス性を重視した全長30mの船体に、自衛用小口径速射砲を申し訳程度に装備した佐世保鎮守府所属の小型高速哨戒艦だ。深海棲艦の駆逐イ級相手でも簡単に振り切ることのできる速力と装甲を備える、最新型である。
艦娘と深海棲艦の戦いが激化しても尚、従来型の船が活躍する場は多い。流石に純然な戦力として運用されることは無くなったが、漁船や物資輸送船の護衛や、近海警備に敵陣偵察といった裏方の任務は、
替えの効く従来型の船で賄うというのが近年の主流となっていた。
中には、囮を兼ねた遮蔽物として運用される無人装甲船などといった艦娘のサポートに特化した変わり種も存在し、この小型高速哨戒艦も含め各鎮守府には多種多様の通常艦艇が配備・運用されている。
「お、燃えてるなー金剛。だがここで摩耶様の追撃、50cm超のサバが三匹だ! これで我らが翔鶴チームの勝ちは揺るがなくなってしまったなぁ!?」
「摩耶も夕立も絶好調なのねぇ。なんか、申し訳ない気分かも。私、一応チームリーダーなのにあまり役立ってなくて」
「そうかぁ? ・・・・・・んだよ、けっこう釣れてんじゃねーか」
「釣果ゼロな金剛さんとは比べものにならないっぽい」
「そう? 自信持っていいのかしら」
さて。
シンプルな灰色に塗装された哨戒艦【はやて丸】は現在、45ノットの快速で南西――五島列島で最も広い面積を有する、福江島方面に向けて航行している。
その甲板上に、六人の少女はいた。
先の全体会議にて編成された新生第一艦隊一番隊、通称【金剛組】である。
金剛、翔鶴、龍驤、摩耶、夕立、時雨と、機動力と対応力に優れた実力者で構成された戦闘部隊で、四つの主力艦隊の中でも最大の戦果を期待されている佐世保の大黒柱。
鎮守府復活に伴って早速任務を請け負った彼女達は、燃料の節約と集中力の温存と迅速な戦力移送を兼ねて【はやて丸】に乗り込んで、福江島最南端にある前線基地を目指している最中だった。
艦が船に乗るというのも妙な話ではあるが、深海棲艦が空挺降下をやってのけやがったことを思い出せばまだ常識的な話だ。寧ろ艦娘達がバラバラに航行するよりかは、
こうして通常艦艇に乗って一纏めに移動したほうが遙かに効率的かつ経済的であることは考えるまでもないだろう。 事態が落ち着くまで専守防衛に努めることと相成った佐世保は、艦娘による四つの主力艦隊と三つの支援艦隊、そして通常艦艇隊を三本の矢として連携させて近海の制海権を確保することに決定したのだから、
今後はこのように彼女達が船に乗り込むことも多くなっていく見込みだ。
ちなみに、再編された計七つの佐世保艦隊の内訳は、以下の通りになる。
――――――――――
第一艦隊(主力) 第二艦隊(主力) 第三艦隊(支援)
【金剛組】 【霧島組】 【榛名組】 【比叡組】 【球磨組】 【多摩組】 【阿賀野組】
・金剛 ・霧島 ・榛名 ・比叡 ・球磨 ・多摩 ・阿賀野
・翔鶴 ・瑞鶴 ・瑞鳳 ・祥鳳 ・能代 ・矢矧 ・酒匂
・龍驤 ・扶桑 ・鈴谷 ・熊野 ・海風 ・ 暁 ・春雨
・摩耶 ・鳥海 ・木曾 ・山城 ・山風 ・ 雷 ・伊13
・夕立 ・白露 ・ 響 ・五月雨 ・江風 ・ 電 ・伊14
・時雨 ・村雨 ・キラ ・涼風
――――――――――
なるだけ戦力を均衡化して編成された主力艦隊は、これから復旧させる予定の前線基地を第二の拠点として活動することになる。
三日単位でのローテーションで鎮守府と基地とを往復し、哨戒活動をする支援艦隊と通常艦艇隊の要請に応じて防衛警戒エリアに現れた敵を迎撃するのだ。
故に、まずは第二の拠点たる前線基地を復旧させる必要がある。この基地は深海棲艦との戦争が始まった頃に建設されたものであり、敵の電波障害に対抗する為の物見櫓と艦娘用設備があるのだが、
現在は一連の騒動のせいで命綱たる有線通信が使えない状況に陥っているのである。
【金剛組】の任務とはつまり、基地復旧作業の護衛役だ。作業自体は相乗りしている工作隊と現地の業者が行うが、そこに深海棲艦の強襲がないとは限らないもので。明日になれば後続の【霧島組】と【阿賀野組】、
そして物資を満載した輸送船が多数現着し、先行した【金剛組】は佐世保に一時帰投することになっているが、それまでは海上で一日を過ごす予定だ。
明日に弟子との勝負を控えた夕立にとっては、少し酷な話かもしれないが。しかしそれを全く苦にせず明朗快活に活動できるのが、佐世保駆逐艦最強な夕立の夕立たる所以であったりもする。
「ぐぬぬ・・・・・・好き勝手言ってくれますネー。しかーし! 最後の最後までなにが起こるのかがわからないのがこの海釣り、気張りますヨ二人とも。勝利の栄光はワタシ達、金剛チームのものデース!!」
「せやせや、なんせウチらには幸運の女神、時雨がいるんや。きっと最後にドカンと一発かましてくれるでぇ」
「人任せにしないでくれるかな龍驤。ボクの力なんて些細なものだよ。みんなでコツコツとさ、頑張ろうよ」
「そー言うてもなー、こっちで順調なの時雨だけやん。ほら見てみ、ウチもちんまいのが数匹だけや。こりゃ奇跡でも起こらんとどーしょもない」 「二人には失望したよ。今回はボク達の負けだね」
「諦めたらそこでGame Overデース!?」
ところで、自力で航行する必要がなくなった艦娘は、暇になる。
そこで【はやて丸】の甲板上に陣取った【金剛組】は警戒を厳としながらも、とりあえず釣りで目的地までの空き時間を潰しつつも結成されたばかりの艦隊の親交を深めることにした。
彼女らはそれぞれが歴戦の猛者ではあるが、同じ六人のグループとして戦った経験は殆どないのだ。
それが何故かいつの間にか艦隊を二分にした対抗戦へと発展してしまっているのだが、まぁどんな界隈でも実力者とはえてして負けず嫌いなもので、どんなことでもバトルにしてしまうのは必然なのかもしれない。
いっそ戦うことで互いを良く知ることもできるというものだ。
そんな時だった。
「――・・・・・・? ・・・・・・っ、これは?」
夕立と摩耶を従えて釣り竿を握っていた翔鶴は唐突に、らしくもなく戸惑いの声をあげた。
先んじて目的地周辺に飛ばしていた偵察機のキャノピーを通じて飛び込んでくるもう一つの視界、その遙か遠方に、妙なものを発見したのだ。
竿に魚の反応があったものの気にせず、彼女は瞳を閉じて意識をいっそう集中させる。自力で航行してなくても、遊んでいても、海上である以上はいつだって厳戒態勢であり、
Nジャマーによりレーダーが封じられたこの海域では、艦載機による索敵は文字通り命綱。その一翼を担っていた装甲空母級艦娘は、これは一体なんだと眉を顰める。
見定められない。こんなものは見たこともない。しかし。コレに関係あるかもしれない人物には、心当たりがある。
「これって、もしかして・・・・・・」
「! 翔鶴、どうしまシタ?」
少女の異変にまっさきに気付いた金剛がサっと顔色を一変させ、小走りで翔鶴に近寄ってきた。一瞬にして張り合う釣り人から、旗艦とその補佐役に切り替わった二人の表情は当然、戦闘モードの険しいものに。
翔鶴は己が見たものを報告すべく、言葉を紡ぐ。
「金剛・・・・・・とりあえず敵ではないわ。方位2-5-7、距離40の海上に謎の巨大構造物を発見。キラさんの世界・・・・・・C.E.に縁のあるものかも」
「明石が夢中になってる、宇宙(ソラ)からのGiftですネ?」
「おそらくは。少なくとも全長250mはある、変な船よ」
「船?」
「たぶん、だけれど。本当、変なデザインというか、設計思想そのものが地球のものじゃないみたいな・・・・・・?」
「ふむ・・・・・・」
現在位置から彼女達の目的地、福江島の前線基地までは南西に約15km。そこから更に西へ25km程といったところに、その巨大構造物――翔鶴曰く、変な船とやらがあるらしい。
金剛は顎に手を当てて数秒、思考を巡らせる。思い出すは防衛戦の顛末と、昨夜の全体会議の内容だ。 九州近海の深海棲艦は駆逐できたものの、隕石が落ちた台湾近海には、巨人【Titan】を含め未だ多くの深海棲艦が蔓延っている。嵐の直前に強行偵察を決行したビスマルク隊によると、
彼の海には佐世保だけでは突破できない戦力がまだ残っているという。そしてキラ曰く【Titan】は、宇宙からの有難くない贈り物、C.E.の技術を取り込んで異形進化したものであると。
であれば。
「ワタシ達でどーこう出来そうデス?」
「難しいでしょうね。護るにしろ曳航するにしろ、調査するにしろ。援軍と専門家が必要になると思うわ」
「Photoは?」
「もう撮って、全速帰投中よ」
「Good Job。流石は翔鶴ですネ」
今のところ敵影はないものの、事態は急を要するかもしれない。
このまま哨戒船に乗って接近するのは危険と、一切の迷いもなく決断した金剛は、懐から紙とペンを取り出して何事かを素早く書き込む。それと同時に、翔鶴は備え付けの通信機で艦橋と連絡を取った。
<どうした翔鶴嬢ちゃん。敵か?>
「接敵する可能性、かなり高いです。【いぶき丸】は最寄りの港に入り、陸路にて基地の復旧をお願いします」
<別行動だな。わーった! 嬢ちゃん達も気ぃつけてな!>
「お心遣い、ありがとうございます」
【はやて丸】の艦長は、流石に軍用艦を任されているだけあって理解が早い。
短い通信を終えた翔鶴と、手紙をしたためた金剛は満足げに頷きあい、いつしか釣りを止めて集結していた龍驤、摩耶、夕立、時雨とも頷きあった。もう皆とっくに艤装を装着しており、各々に軽くストレッチすらしている。
和やかな雰囲気が嘘であったこのように、【金剛組】はものの数秒で戦闘態勢へ。
あとは、旗艦が号令をかけるだけだ。
「まったく、頼もしいばかりですネ」
「ですね」
これなら余程のことがなければ問題ない。
本来の任務を無事遂行する為にも、まずはこのアクシデントに対応しなければ。予定航路から外れ、件の構造物に接近する必要がある。
金剛は大きく息を吸い込んで、新生第一艦隊一番隊旗艦として初めての命令を下す。
「総員、コンディション・イエロー! 対空対潜警戒、厳に!!」
「了解!」
そして張り上げられた声に従って、少女達は皆一斉に【はやて丸】から飛び降りた。
その際。
投げ捨てられていた釣り竿にうっかり蹴躓いた夕立が、見事に腹から海にダイブしてしまったのは、愛嬌のようなものだった。 ◇
【金剛組】がC.E.の船らしきモノを発見してから、約20分後。
その報は、伝書鳩よろしく報告書と写真を括り付けて飛来してきた、手のひらサイズの飛行機――摩耶の艦載機こと「瑞雲」によって未だ松葉杖を手放せない二階堂大河提督の下へ、
そして丁度彼と話し合いをしていたキラの下へと届いた。
実にアナログな連絡手段ではあるが、だからこそ昨今の長距離無線通信が使えない環境下では、これ以上ない信頼性を誇る常套手段となる。金剛が状況を簡潔に記した報告書と、翔鶴の偵察機が撮影・現像した写真は、
二人の男の顔を一瞬にして驚愕色に染め上げた。
「これは・・・・・・ナスカ級!? こんなものまで・・・・・・!」
「船、なのか? 君達の?」
深い青色の外装と、漢字の「山」のようなシルエットを持つ船体。旧ザフトの主力として運用された、モビルスーツ搭載型高速駆逐艦・ナスカ級。
地球上で使うことを想定していない宇宙専用艦艇であり、新地球統合政府が発足してからも未だ現役で運用され続けている艦種である。駆逐級だけあって生産性と速力に優れ、
その上にそこらの戦闘艦にも引けを取らない火力をも有するナスカ級は、C.E.において八面六臂の活躍で歴史に名を残した画期的な艦艇だった。
そんなものが、若干ピントのぼけた写真に写っていた。かつて幾度となくキラ達の行く手を遮った因縁のある船の一つが、この海に在った。
翔鶴の見立てはズバリ的中していたのだ。
「ええ・・・・・・こちらの世界で言うなら、宇宙用の航空駆逐艦みたいなものかな」
「航空? では艦載機が――そうか! モビルスーツを!」
「六機まで搭載可能なんです。それにナスカ級自体にもビーム砲やレールガンが・・・・・・いや、それ以前に装甲やスラスターだって、この世界にとっては・・・・・・」
「大変なことになる。これ以上、深海棲艦側に未知の技術を渡すことはできない」
それはつまり、翔鶴と金剛の予測も的中するということでもある。
誰にとっても想定外だった新たな火種、誰にとっても喉から手が出るほどの宝の山。台湾近海に巣くう深海棲艦は必ずや、奪取すべく行動するだろう。否、もしかしたらもう侵攻を開始しているかもしれない。
彼女らの意図を汲み取った二人はこれを早急に解決すべき事案と判断した。
「護衛しつつ、こちらの港まで曳航しなければならんな・・・・・・白露、【榛名組】と【多摩組】に緊急招集を。それから哨戒艦【いぶき丸】の手配を頼む」
「了解!」
「キラ君。済まないが君には――」
「みんなに同行して、内部に侵入してみます。もしかしたら生存者がいるかもしれないし、自力航行できるかもしれない」 「――恩にきる」
そこからは怒濤の展開だった。二階堂提督と白露の指揮により、佐世保鎮守府は活動再開初日から早々に厳戒態勢を敷くことになった。
作戦目標はナスカ級の確保及び内部調査。もし曳航が不可能であればその場でできる限り解体・破壊し、パーツ全てを福江島の前線基地に収容する。
どんな些細な部品だろうと、海に放置してしまうと敵の潜水級が手に入れてしまう可能性が高い。よって適当に攻撃して沈没させる選択肢はない。
宇宙用だが奇跡的に海上に浮いている今を逃せば、もう佐世保側にできることは無くなる。猶予がわからない以上、時間との勝負になるのは必然だった。
【金剛組】の援軍として選定されたのは、本日を非番として鎮守府に待機していた第二艦隊一番隊【榛名組】と第三艦隊二番隊【多摩組】の二隊だ。可能であれば全戦力を挙げて臨みたいところだったが生憎、
他艦隊の任務を中断させて同一の海域に投入することは出来ない。佐世保はいつだって限界ギリギリなのだから。
束の間のオフを楽しんでいた【榛名組】と【多摩組】の面々は至急ブリーフィングルームに呼び出され、数分のミーティングを経てから慌ただしく戦闘準備を整えていく。
今朝からストライクの本格的な修理を開始して完全に非戦闘員となったキラとて例外ではなく、整備要員として明石と手分けして各々の艤装の最終チェックに奔走する。
燃料弾薬の補給、装備の更新、曳航に必要な機材の調達、この短時間でやるべきことは山ほどあった。
そこでふと、生粋のMSパイロットであった青年は「整備兵はいつもこんな気持ちだったのかな」となんとなく想像した。
想像して、きっと想像よりもずっと辛いんだろうなとも結論づける。
銃を取るばかりが戦いじゃない、力だけが自分の全てじゃないと信じていたいが、やはりもどかしいものだ。だが戦えない己に不安と疑問を抱く余地は、今はない。
ストライクで出れないキラの出番はこの時この瞬間が全てで、他にできることと言えば存在しやしない神様に祈るぐらいだ。
なんてことだろう。
前日まで描いていた未来図は全て、儚く砕け散ったのだ。
本当になんてタイミングだろうと思わずにはいられない。
元々こうなる可能性が高いことぐらいはわかっていた。寧ろ前提であった。一軍事基地が専守防衛に努めるということは、常々脅威と隣り合わせであるということ。本当の意味での安息日なんて無きに等しいのだと、
ここにいる全員が正しく認識している。
だが、だとしても。言っても詮方ないことだけれど。
せめてあと二、三日ぐらい平和であってくれてもよかったじゃないかと、誰もが思った。
特にキラにとっては。響と明日の師弟対決(対夕立戦)に備えた作戦会議を、瑞鳳と日本語学の勉強とこれからの活動方針について話し合う約束を結んでいた青年にとっては、
この出撃がなにか良くないことの前触れではないかと感じてならなかった。 「しっかし、非番ってのはこういうもんだと解っちゃいるが、いきなり緊急出撃とはな。我らが第二艦隊のリーダー殿の気苦労は絶えないな?」
「もう、からかわないでください木曾。榛名は大丈夫です! それに鈴谷が加わってくれたおかげで多少なりとも戦力バランスは改善したのですから、何があろうとも確実に対処してみせます!」
「おおぅ、なんか鈴谷ってば頼りにされちゃってる? こりゃー張り切らないとだねぇ」
でも、だからって。辛気臭くイヤイヤ出撃する者はいなかった。
木曾が不敵に笑い、榛名が奮起し、鈴谷がおどけた。先の防衛戦の暫定第二艦隊にムードメーカーの最上型航空巡洋艦三番艦の鈴谷を加えた、四つの主力艦隊の一角たる【榛名組】のメンバーは、
こんな状況下でも明るい雰囲気を保っていた。
キラが正式に所属することになった艦隊の構成員である彼女達は、武装を換装しながらいつもと変わりないテンションで会話を交わす。
「その通りだ鈴谷。比較的に近接機動戦に特化してるのがオレ達の特徴だからな、実際オールラウンダーのお前の働きはかなり重要になってくる。むしろ中核を担う存在と言ってもいいだろう」
「頼りにしてますよ、鈴谷」
「・・・・・・ヤバい、口調は穏やかなのにすっごいプレッシャーを感じる!? 助けて熊野!!」
「鈴谷」
「え、なにさ瑞鳳・・・・・・、・・・・・・なにその静かな笑顔めっちゃ怖いんですけどなになに言いたいことあるならハッキリ言って頂戴!?」
「勿論ストライクはまだ修理中だから、キラさんの分まで頑張って?」
「ノーーーーゥ!? やだ期待が重すぎる!! 助けてぇーー熊野ぉーー!!!!」
若干、新人いびりの様相を呈していたが。
隕石が落ちてくるまでは旧第一艦隊の一員として一線を張り、金剛を庇って呉送りとなったという歴戦の猛者の鈴谷だが、その持ち前の軽いノリも相俟って弄られ役になることが多いらしい。
迫真の絶叫でただならぬ仲であると噂の熊野に助けを求める姿はなるほど、弄りたく気持ちも分からなくはない。
しまいには【多摩組】まで巻き込んだ漫才まで始まって、ボケにツッコミに大立ち回りするブレザー少女のリアクション芸に思わず笑みをこぼしてしまう。
まったく、この少女達は本当に強い。淀んでいた心がスカッとするようだ。
「・・・・・・よし。鈴谷さん、こんなんでどうかな?」
「んー、良い感じじゃん! これでバリバリ働けちゃうねぇ」
「良かった。・・・・・・次は――」
「キラー! ちょっとこっち手伝って! 響でラストだから!」
「――わかりました!」
そうこうしている内に、瑞鳳に続いて鈴谷を整備し終えたキラは、最後の仕上げとして響の艤装の調整に取りかかる。
視界にふわりと蒼銀色が舞う。それだけで何故か、不思議と、心の何処かが落ち着く思いがした。
「艤装、ぶっつけ本番になっちゃったね。大丈夫?」 「Нет проблем。あなたと先生が組んでくれたんだ、やれるさ」
「そう言ってくれるのは嬉しいけど・・・・・・、・・・・・・いやわかった。僕も僕で頑張るからさ、新しい君の力、存分に見せて」
「ふっ、やっぱりあなたは私のやる気を引き出してくれるね」
「おうおう二人だけで盛り上がってんじゃないですよーこんちくしょうめ。ほら、装備更新するよ響」
響の艤装はストライクの複製パーツを取り込んだ試作型だ。
昨日の整備で実戦投入可能ではあったが、ぶっつけ本番となると話は別。整備士の二人は改めて、手分けして試作一号機の艤装を入念にチェックする。
本来であれば明日の師弟対決に向けて――こうなった以上、実現するかも怪しくなってしまったが――午後から試験運転をする予定だったが、それももはや叶わない。
また響本人も、ペイロードの拡張に伴って大胆に構成を変更された装備に慣れていく必要がある。防衛戦当時はあり合わせの旧式兵器で武装していたが、今回は明石謹製の試作装備で出撃することになっているのである。
よって作戦海域に着くまでに繰り返し諸々を微調整しなければならないだろう。故に、今回の出撃には明石先生も同行することになっていた。
当の明石は、徹夜明けなのかひどい顔をしていたが、なんだか元気そうに倉庫の奥から引っ張り出してきた武装を次々取り付けていく。
「お、それが噂の新装備か・・・・・・、・・・・・・なんかストライクに似てるな?」
興味を惹かれてやってきた木曾が、出し抜けにそう言った。
確かにと、キラも装いを新たにした少女の姿を見やった。
「・・・・・・そんなにジロジロ見ないでくれるかな。流石に恥ずかしいよ・・・・・・」
若干頬を赤らめる少女だが、気にせず二人は嘗め回すように全身に視線を注いだ。 というのも、今の響の格好はどこか戦闘モードのキラに似ているように見えるのだ。
まず右手。これが一番目立つのだが、いつもはフリーとなっているその小さな手のひらにはゴツい大型ライフルが握りこまれていた。意匠としてはスナイパーライフルに近いもので、艦娘の携帯武装としてはかなり異質だ。
次に左腕。これもまた目立つ。特三型駆逐艦に標準搭載されている防盾の代わりに、より大きなゴツいシールドを装着しており、戦艦の砲撃だって防ぎそうな威圧感を醸し出している。
極めつけには両肩に小口径二連装機銃を一基ずつ搭載していて、確かにその装備構成はストライクのものにそっくりだ。というか、ほぼそのままモデルにしたものと思われる。
ちなみに響のトレードマークたる大型錨は後腰に懸架されており、他にも61cm三連装酸素魚雷発射管を両腰に一基ずつ装備してる。逆に言うと、そこしか以前の面影は残っていなかった。
「キラ、お前の趣味か?」
「光源氏計画・・・・・・」
「自分色に染め上げようと!? やっぱりキラさん、あなたって・・・・・・!」
「いやいやいや。僕関与してないから。趣味違うから」
木曾がジト目で呟き、榛名がどん引きし、瑞鳳が目を輝かせた。
いつの間にか【榛名組】は全員集合していた。そんでもって揃いも揃って、この場でたった一人の男性に何か言いたげな視線を送っていた。原因はどう考えても、響の新装備だった。
明石謹製の試作装備である。なのに、これは一体どういうことだろう。キラは仲間から早速ロリコンのレッテルを貼られようとしていた。彼の好みはお姫様タイプだというのに、ひどい冤罪もあったものだ。
尤も、慌てる青年以外は「やっぱりか、やっぱりなぁ」という心持ちなので、今更どんなことを言っても流されてしまうのだが。こういう時の男の立場というものは頗る低い。
「キラっち」
「鈴谷さん・・・・・・その突き出された手はなんだろう?」
「なんかさ、おんなじ匂いがするって思ってたんだよね・・・・・・へへ」
「ねぇ僕もうこういう扱い決定なの?」
哀れ、思わぬカタチで彼女らのテンションに引っ張り込まれたキラだった。
「いやー、我ながら良い仕事したー。これぞストライクをヒントに徹夜で作り上げた自信作、どうどうカッコイイでしょ?」
そんな将来の弟子の苦境を知ってか知らずか、実に良い笑顔で額を拭った【先生】(マッドサイエンティスト)こと明石。これは確信犯なのだろうか。
「どうって・・・・・・そりゃカッコイイとは思いますけど」
「でしょー! 響のスペックにものを言わせた専用装備の数々! もう概要からしてカッコイイでしょ!?」
「明石さん、とりあえず移動中は寝てくださいね? 調整は僕一人でやりますから」 「まずはこれ、作っちゃいました試製ライフル型13.5cm単装砲! これは凄いよ〜? 駆逐艦娘用でありながら軽巡用中口径砲並の火力と射程を実現したのです! 仰角皆無な単装砲と侮るなかれ、
シンプルな構造故に取り回しに優れてて近接格闘戦でこそ真価を発揮する、まさしく今の響にピッタリな装備なのだ!!」
徹夜のハイテンションがなせる業か、明石はキラの苦言を華麗にスルーして突然、マシンガンの如く武装説明をおっぱじめる。
後に聞いたことだが、彼女にはこういう悪癖というか性癖があるらしい。さもありなん。己の得意分野となると饒舌になってテンションうなぎ登りになるのが技術者というものだ。
それだけ、明石にとって今の響は魅力的ということだろうか。キラも最初こそ呆気にとられたものの、今の明石の気持ちは痛いほどよく分かってしまった。自分もソフトウェア分野だったらああなるのだから。
そして響も割とノリノリで、しっかり合いの手を入れていき、次第に明石の独壇場は三人による新装備講義になっていった。
「ライフル型だから、狙いもつけやすいね」
「まぁぶっちゃけ状況によっちゃ、いや普通の艦娘にとっちゃ12.7cm連装砲C型改二とかD型のほうが便利で優秀なんだけどね。でも響? スナイパーライフルをショットガンのように、しかも片手で扱うってロマンじゃん?」
「Хорошо、実に革命的で野心的じゃないか。これで無敵だな」
「無敵! YES! その言葉を待っていた!!」
すっかり蚊帳の外になって「うん、三人が楽しそうならいいや」と思う他一同である。ただ実際のところ仲間のスペックというのはとても大事な要素なので、皆も真面目に聴くしかなかった。
そして数分後。
「みんな、船の準備ができたよ!! 乗って乗って!!」
工廠に現れた白露の一言で、場の空気はガラリと変わった。
皆の背筋が一様にしてシャンと伸びる。 いよいよ出撃である。
これから【榛名組】と【多摩組】の面々は、高速哨戒船【いぶき丸】に乗り込んで問題の海域へと向かう。そこで【金剛組】と合流し、ナスカ級に接触するのだ。きっとこれも、大変な任務になるだろう。
怖じ気づいてはいられない。これからの未来をつかみ取る為に、成すべきを成す。
戦えない青年は祈った。
願わくはこの新しい力が、響自身が納得するだけの、一区切りとなる力でありますように。
願わくは誰一人として傷つかず、みんな無事でこの温かいセカイに帰ってこれますように。
だからこそ自ら一歩踏み出して、助けになると決めた少女に手を差し出した。
「いこう、響」
「うん、やってやるさ」
あまりに短い会話を交わして、乗船する。
いざ、未来図から外れた道へ。
その想いが通じたのか、響は鼓舞するようにポツリと呟いた。それは鈴のような、透明感のある幼い声で。
「不死鳥の名は伊達じゃない。響・特装試作型改式、抜錨する」
新しい己を再定義するような、力強い宣言だった。 以上です。もうやだ会社やめゆぅ・・・・・・
次回からようやく戦闘パートに移ります。頑張りますいろいろと 投下乙です!
ストライク風艦娘とはこれいかに
年度末、どこも仕事忙しいですね。お体をお大事に・・・ ナスカ級の奪還攻防戦、いいシナリオですね、燃えます。
深海側の動きが気になるところ、ナスカ級の生存者も。作者さんの体調も。
お大事に。 僕の知り合いの知り合いができた副業情報ドットコム
役に立つかもしれません
グーグル検索『金持ちになりたい 鎌野介メソッド』
8V17E 某動画サイトだと一時期ストライク響とかフリーダム響とかが流行ってたな
まさかそのうちフリーダム響に進化するのかな 彰悟さんの皇女の戦い、拝読させていただきました。
機体やファイティングスーツの色設定、スーツ装着シーンまであることに驚かされました。
個人的には、装着に慣れていく過程とか、最初の時の装着シーンとか見てみたいですね。
話の構成、戦闘描写だけではなく、こういう所にも手を抜かない姿勢は素晴らしいと思います。
続きを期待しています。 どうも、お久しぶりです。
去年末からずっと書けなくて本当にごめんなさい。
>>228
励みになるお言葉ありがとうございます。
スーツ着るシーンはちょっと書くのハズかったんですが、そこまで言ってもらえて本当に光栄ですw
そういえば、自分の話はマリナがある程度ファイトに慣れた時点でのスタートだったので
最初にガンダムに乗ったり、ファイティングスーツ纏った時の描写はしなかったんですよねw
......そして今日はもう一つ、実は皆さんにリライトのご相談をしに来ました。
話が終わってないのにわがままなことを言ってごめんなさい。
ですが皆さんのご意見をお聞きして書き直すか、このまま続けるか決めたいと思ってました。
確かに俺が書くのは不定期だったりで色々モヤっとさせてしまうこともあったかと思います...
本当に申し訳ないです。
ですが、序盤でのエピソードがやや簡単で急ぎ足だったかなと思い始めたのと
GF大会前の修行シーンやサバイバルイレブンでの話を最初に描きたいと考えてました。
「続きから書いて」「最初から書いてもいいぜ」etc...、色んなご意見を聞きたいのでよろしくお願いします。 >>230
>>228でコメントさせて頂いた者です。
丁寧に応えて下さり、コメントした此方側としても嬉しく思います。
皆さんにリライトのご相談をしに来ましたとあったので
内容を読ませていただいた上でのご意見ですが
私は、彰悟さんの書きたいように書いてみたら...と思います。
ただ、個人的の欲深き話ながら、どんな路線であっても
スーツ装着シーンの描写は続けて欲しいと思います。
あくまで一つのご意見として捉えていただけたら幸いです。 すいません、言葉足らずでした。
自分が書いた相談と言うのは、リライトしても良いですかという意味でしたが
、ストーリーやキャラに関するアイディアも募ってるのかな?と受け取られる書き方にもなってしまいますよね。
気を付けます。
>>231
励ましの言葉、本当にありがとうございます。
こちらこそこれはお約束かな?と思って書いたシーンを好きになって頂けてとても嬉しいです。
リライトかこのまま続行、いずれにしても貴方の期待に応えられるよう装着シーンも頑張っていきますので。 続きをまず書いてくれても、書きなおしたい所を書きなおしてまとめに両方 or 納得のいく方を残してくれても
どちらでも読者としては面白い
元々の弱気に時々強さをのぞかせながら国の為に健気に戦ってる姫様が好きです >>233
寛大なお気持ちに感謝です。
俺も大人しかったり弱気なキャラが懸命に行動してるのが書きたかったので、そう言って頂いて光栄に思います。
そうですね...
自分としては今までのものは止めて、リライトしたものをそのまま続行したいと思ってましたがそれでも問題ないでしょうか? >>234
どんな形でも全然無問題
仕事やらなんやら色々あるだろうけど気長にまってるよ >>233、>>235
自分のわがまま受け入れて頂いて本当にありがとうございます!
間隔ができそうですが楽しんで頂けるように頑張りますので。
それではまた。 >>237
間隔ができてもお待ちしています。
頑張ってください。 お久しぶりです。
お待たせしました。彰悟氏の熱意に負けぬよう、自分も投下します ――艦これSEED 響応の星海――
夕立が疾る。
空母級の艦載機が唸りを上げ、戦艦級の主砲が火を噴き、軽巡級と駆逐級の魚雷が交錯し、硝煙と爆炎で焦げた大気を切り裂いた。金色の髪と真っ白なマフラーとが尾を引いて、一陣の風となる。
「――」
異様なほどの前傾姿勢で。時には手刀を海面に突き込んで、鋭角に複雑に機動する。
空恐ろしいほどの速さで。時には至近に迫る魚雷を射貫き、その爆圧すら利用して。
数多の深海棲艦による一斉射も、まるで弾丸自体が自発的に少女を避けていくかのよう。それが当然だとばかりに、白露型駆逐艦四番艦改二式の夕立はほんの掠り傷すら負わず、
二つ名の【狂犬】の如く敵陣ド真ん中へと切り込んだ。
「――・・・・・・さぁ」
切り込んで、更に深く。
踏み込んで、更に速く。
負の情念が凝り固まったかのような存在であるところの深海棲艦すら戦慄させ、畏怖させるほどの、ちっぽけな駆逐艦らしからぬ『威』を振りまいて疾る。
そして。
独特の語尾が特徴的で、平時は結構なドジッ娘な、まだまだあどけなさの残る少女は。
響の師匠でもある、佐世保第一艦隊一番隊の切り込み隊長たる【ソロモンの悪夢】は。
ゾッとするような妖艶で凄絶な笑みを『圧』として、ひどく平然に死を宣告した。
「最高に素敵なパーティー、しましょ?」
太陽が西に傾きつつある15時の福江島南方沖であった。
再びの大気圏内用大型輸送機・ヴァルファウによる空挺降下により、異界の宇宙船・ナスカ級周辺にまんまと展開されてしまった深海棲艦群の内、前衛として立ちふさがっていた
敵水上打撃部隊――戦艦タ級と空母ヲ級を中心に構成された計20隻の高火力艦隊――と、これを突破すべく攻撃を仕掛けた【金剛組】との戦闘が始まってから、既に約2時間が経過していた。
繰り出された敵航空戦力による爆撃と、水平線越しの長距離砲撃に足止めされつつも粘り強く、金剛の指揮によってジリジリと距離を詰めていった2時間の末、今この時になって漸く状況は近接機動戦へと推移したのだ。
そこは駆逐艦の距離。満を持して放つは一点突破の布石。 翔鶴と龍驤は、制空権の取り合いに全力を尽くしている。
時雨と摩耶は、護衛として艦隊の対空防御に徹している。
今こそ全力でやってこいと、金剛に送り出された夕立の独壇場と成るのは必然。
普段は護身にしか用いない、弟子にも最後の手段と教えていた戦技を解放する。
一息で、誰の予測も想像も超えて少女は、敵陣奥深くにて艦載機のコントロールに専念していた空母ヲ級の眼前に踊り出ては無造作に魚雷を投擲した。
「まず一隻」
続けてスライディング。燃えさかるヲ級の背後に回り込み、敵艦の集中砲火をやり過ごした夕立は直ぐさまトップスピードへ。着弾の衝撃で荒れ狂う海上をスラロームするようにいなして、否、
むしろ加速に掩体にとフル活用して、異様な前傾姿勢のまま戦艦タ級に急迫。
かと思えば、高波の傾斜を利用して勢いよく跳躍。
同時に真北から砲撃音。程なく、水平射撃された計8発の一式徹甲弾が多数の深海棲艦を捉え、その内1発は軽空母ヌ級を貫通して更に駆逐ハ級2隻を海の藻屑とした。
金剛の必殺フルバースト(一斉精密狙撃)が見事に炸裂した瞬間だ。
これには、辛くも徹甲弾を回避した流石のタ級も動揺する。動揺すれば隙が出る。隙を見逃す道理はない。
「二つ」
フルバーストを避けつつ空中での砲撃にて駆逐イ級後期型を仕留めた【狂犬】は、クルリと一回転してタ級の両肩へと『着地』する。
「三つ・・・・・・にはならないっぽい?」
可愛らしく小首を傾げながらも、とりあえず無防備な頭部めがけて主砲の50口径12.7cm連装砲D型改二を連射。
通常、駆逐級の主砲如きでは戦艦級の装甲は抜けない。でなければ、戦艦の存在意義がない。であるから、頓着する必要はない。再び轟いた砲撃音を合図に再度跳躍した夕立は、
金剛の狙撃をまともに喰らったタ級を無視して、弾丸のように次の獲物に飛び掛かった。
背後からの機銃掃射すらノールックで躱し、縦横無尽に戦場をかき回す駆逐艦娘に、深海棲艦はもはや標準を定めることすらままならない。オカルトじみた完全回避能力。
まるで、世界が夕立の為だけにあるかのような光景だった。
やりたい放題とは正にこのこと。
極めて自然に、敵が予測も想像もしなかった未来にスルリと入り込めてしまうのだから、先んじて敵のやりたい事の悉くを潰して潰して潰しまくれてしまうのだから、結果彼女だけが好き勝手振舞えるというのも、
極めて自然なことである。かの壮絶を極めた第三次ソロモン海戦の夜のように、彼女はつかみ所のない風となる。 カリカリにチューンしてあるとはいえ基本スペックだけを見れば特筆すべき点はない、駆逐艦娘としては実にオーソドックスな夕立が最強と謳われる所以だった。その『威』と『圧』は益々強くなる!
「これで、五つ!」
手刀を舵代わりに直角ターンしつつ、右大腿部に備えた61cm四連装酸素魚雷発射管から、安全装置を解除した一発の魚雷を射出。それを掴むが速いか、全速後退中のヲ級の土手っ腹に突き刺した。
爆発。これまでの砲撃戦も含めれば、これで敵艦隊の空母級の過半数を撃沈したことになる。
拮抗していた航空戦に、明確な変化が生じていた。
「ひとまず、お役目は果たせたっぽい?」
状況は遂に掃討戦へ。
制空権を確保した方が勝つ。直上の空から、たった二人で敵航空部隊を制しつつある翔鶴達の艦載機、その勇ましい唸りが聞こえてきた。
これに呼応して打ち合わせ通り、時雨と摩耶も攻勢に加わって【金剛組】は夕立に続いて突撃を敢行。総崩れとなった敵艦隊は、その半数以下の戦力で、しかも殆ど無傷で呆気なく殲滅された。
有象無象のイロハ級の艦隊では、一鎮守府の主力である彼女ら【金剛組】を止めることなどできやしないのだ。
しかし彼女らは勝利を喜ぶこともなくそのまま、全速力でナスカ級へと向かう。
今し方撃破したのは所詮、敵の前衛なのだ。本番はここからで、現在ナスカ級は敵の潜水艦・重巡混成部隊に曳航されている真っ最中なのである。これを阻止できなければ、一時の勝利などなんの意味も無い。
急ぐ必要があった。
敵の増援が接近しつつある。
南東からは、南洋諸島海域から馳せ参じた【軽巡棲姫】率いる高機動水雷戦隊が。
南西からは、超弩級重雷装航空巡洋戦艦レ級と多数の空母級を擁した大規模空母機動部隊が。
にわか仕込みの戦力ではない、殲滅を絶対とした増援が。当初の予測通りに、しかし想定以上の質と数で。
金剛達は知る由もない。
ナスカ級の存在が、深海棲艦達にとっても予期せぬものであったことを。その存在が、彼女達を恐慌させ、暫く戦準備に専念しようという方針をひっくり返してでも確保せんと突き動かす程の、衝撃であったことを。
故に動くは精鋭、狙うは短期決着。それを、この増援は如実に物語っていた。
「うへぇ〜、あんなに沢山・・・・・・流石にちょっと骨が折れるっぽい〜」
思わずぼやいてしまう。艦娘の戦場の常ではあるが、どんなに倒しても無限湧きする敵との数の差は覆しようがない。
その上【姫】とレ級まで出張ってきたとなると、正直これ以上の戦闘続行は危険だ。尤も、オーダーさえあれば気合いと根性を見せる気概はあるが。
すると、合流した白露型駆逐艦二番艦改二式の時雨が、げんなりしながら航行する夕立に言った。 「でもこっちの援軍も間に合ってくれたようだよ。やってやれないことはないさ」
「時雨おねーちゃん」
「お疲れ夕立、相変わらずの大暴れっぷりだったね。流石はボクらの妹、響のお師匠様だ」
「むぅ〜、だから師匠呼ばわりはやめてっていつも言ってるっぽい。・・・・・・、・・・・・・援軍って、もしかして?」
「ご明察。君のかわいいお弟子さんもいるよ・・・・・・ってごめんごめん、ちょっとからかい過ぎたね」
【いぶき丸】。佐世保からの援軍、十の艦娘に護衛され進撃する一隻の通常艦艇が北東より、この戦闘海域に突入してきたのだと。
まだ諦めるには早く、挑戦を続けるだけのカードはあるのだと。時雨は落ち着き払ったトーンで続ける。
「そうそう、金剛から伝言。夕立は響と一緒に、水雷戦隊を押さえてくれって。ボクらはまず曳航隊を引き剥がしにかかるから、また別行動。踏ん張りどころだよ」
「りょーかい。そーいうことなら、夕立ももっともっと頑張らなきゃ」
二人はコツンと拳を突き合わせて、別れた。時雨はナスカ級へ、夕立は南東の水雷戦隊に向かって、それぞれの成すべきを成す為に進む。
そしてほぼ同時に、戦闘態勢を整えた【榛名組】から一人、南東に向かって先行する影。見慣れぬ大型のライフルとシールドを引っさげて疾走する、特三型駆逐艦二番艦特装試作型改式の響。
図らずも張られようとしている師弟の共同戦線に、夕立は再び凄絶な笑みを浮かべた。
どんなに不利な戦局でも、二人なら覆せる。その確信の発露だった。 《第11話:ナスカ級争奪戦》
「金剛からの発光信号を確認!」
「これは――ッ、・・・・・・旗艦榛名より全艦に通達! 瑞鳳と鈴谷は直ちに航空隊を発艦、【金剛組】に航空支援。 【多摩組】は進路そのまま、お姉様達と合流して曳航隊排除を最優先に。【いぶき丸】は北方に一時退避を!!」
木曾が叫ぶように報告し、榛名が矢継ぎ早に指示を出し、
「お任せにゃー。【多摩組】複縦陣、最大戦速、対艦対潜戦闘よーいにゃ」
「翔鶴さん達のサポートね。よぅし、烈風改、発艦します!」
「んじゃまぁ一丁、鈴谷のカッコイイとこ見せてやりますかねぇ! 強風改、いっけぇー!!」
、
多摩がマイペースに応じ、瑞鳳と鈴谷が艦載機を放ち、キラと明石を乗せたままの【いぶき丸】が北へと舵を切る。
疾風怒濤。
おっとり刀で駆けつけた面々は素早く状況を把握し、整然とした作戦行動を開始する。目標は渦中にある【金剛組】のフォローだ。
艦隊護衛を得意とする多摩達と別れ、榛名達はT字戦で敵水雷戦隊の頭を抑えるよう進路を南西へと向ける。
「榛名達は先に、南の水雷戦隊を潰します。単縦陣、取舵20、第五戦速! 木曾、方位2-2-5に三集四散々布帯で先制雷撃開始。・・・・・・響さん、先行を許可します。夕立さんと合流して【軽巡棲姫】の足止めを第一に」
「装填完了――仕掛けるぞ。おい響、わかってるな? 無理だけはするなよ」
「わかってる。私だっていつまでも独りよがりしてられないさ。相手が相手だし、程々にやってみるよ」
「響ー! 頑張ってねぇー!」
「うん。任せて瑞鳳」
そして響が、扇状に射出された12発の魚雷を追走するようにして、単身艦隊から飛び出した。
キラが微調整してくれた試作艤装の機嫌は良好。段階的に出力を引き上げながら、少女は敵艦隊がいるという水平線の先を睨み付ける。
(さて・・・・・・【姫】相手に駆逐級二隻で足止めなんて、本来分が悪いなんてもんじゃないけど・・・・・・Было бы неплохо。師匠との共闘ならできると思えるところが恐ろしいな)
金剛と榛名は絶対に、できないと思ったことはやらないしやらせないと、響は信頼している。つまりこの作戦を採ったということは、
自分達師弟の力量を彼女らも信頼してくれているということだが、流石にこれまでの戦闘とは毛色の異なる任務内容だ。身の引き締まる思いになる。
足の速い艦を先行させて敵を攪乱し、長距離攻撃で一気に殲滅する佐世保艦隊十八番の機動戦術。だが、それが最も有効な状況であるとも解っているが、今回ばかりはこれまでのような有象無象の雑兵相手とはわけが違う。
仮に。もし仮に、今までのように激情に駆られて暴走してしまえば。 《第11話:ナスカ級争奪戦》
「金剛からの発光信号を確認!」
「これは――ッ、・・・・・・旗艦榛名より全艦に通達! 瑞鳳と鈴谷は直ちに航空隊を発艦、【金剛組】に航空支援。 【多摩組】は進路そのまま、お姉様達と合流して曳航隊排除を最優先に。【いぶき丸】は北方に一時退避を!!」
木曾が叫ぶように報告し、榛名が矢継ぎ早に指示を出し、
「お任せにゃー。【多摩組】複縦陣、最大戦速、対艦対潜戦闘よーいにゃ」
「翔鶴さん達のサポートね。よぅし、烈風改、発艦します!」
「んじゃまぁ一丁、鈴谷のカッコイイとこ見せてやりますかねぇ! 強風改、いっけぇー!!」
、
多摩がマイペースに応じ、瑞鳳と鈴谷が艦載機を放ち、キラと明石を乗せたままの【いぶき丸】が北へと舵を切る。
疾風怒濤。
おっとり刀で駆けつけた面々は素早く状況を把握し、整然とした作戦行動を開始する。目標は渦中にある【金剛組】のフォローだ。
艦隊護衛を得意とする多摩達と別れ、榛名達はT字戦で敵水雷戦隊の頭を抑えるよう進路を南西へと向ける。
「榛名達は先に、南の水雷戦隊を潰します。単縦陣、取舵20、第五戦速! 木曾、方位2-2-5に三集四散々布帯で先制雷撃開始。・・・・・・響さん、先行を許可します。夕立さんと合流して【軽巡棲姫】の足止めを第一に」
「装填完了――仕掛けるぞ。おい響、わかってるな? 無理だけはするなよ」
「わかってる。私だっていつまでも独りよがりしてられないさ。相手が相手だし、程々にやってみるよ」
「響ー! 頑張ってねぇー!」
「うん。任せて瑞鳳」
そして響が、扇状に射出された12発の魚雷を追走するようにして、単身艦隊から飛び出した。
キラが微調整してくれた試作艤装の機嫌は良好。段階的に出力を引き上げながら、少女は敵艦隊がいるという水平線の先を睨み付ける。
(さて・・・・・・【姫】相手に駆逐級二隻で足止めなんて、本来分が悪いなんてもんじゃないけど・・・・・・Было бы неплохо。師匠との共闘ならできると思えるところが恐ろしいな)
金剛と榛名は絶対に、できないと思ったことはやらないしやらせないと、響は信頼している。つまりこの作戦を採ったということは、
自分達師弟の力量を彼女らも信頼してくれているということだが、流石にこれまでの戦闘とは毛色の異なる任務内容だ。身の引き締まる思いになる。
足の速い艦を先行させて敵を攪乱し、長距離攻撃で一気に殲滅する佐世保艦隊十八番の機動戦術。だが、それが最も有効な状況であるとも解っているが、今回ばかりはこれまでのような有象無象の雑兵相手とはわけが違う。
仮に。もし仮に、今までのように激情に駆られて暴走してしまえば。 (そうなったら確実に死ぬな。でも、なんでだろうね。そうならないって確信があるんだ)
前に木曾に言われた言葉が、脳裏に蘇った。
今更になってその言葉の意味を理解できた気がする。なるほど、であればどこまでも冷静に冷徹に、ただ任務遂行だけを意識するだけでいいと吹っ切れた。
それに、でなければ全てが、文字通り全てが台無しになってしまうことも事実。些細なミスの一つが命取りになる世界に飛び込む以上、余分な感情は不要だ。
それだけの敵を、今から二人だけで相手取らなければならない。こんなところにまで出張してこなくてもいいのに。
コードネーム【軽巡棲姫】。
かつて幾度ともなく、軍令部の元に編成された連合艦隊に甚大な被害を与えてきた、あんまりにも安直でそのまんまなネーミングの軽巡級の【姫】。
ソロモン海に巣食う、舞鶴鎮守府所属の軽巡艦娘の神通に酷似した仮面の美女。
【姫】や【鬼】と称される深海棲艦は、世界中の海に無限湧きするイロハ級とは全く異なる特性を持つ。たった一言で簡潔に、俗的に例えるのなら、彼女らはワンオフのボスキャラだ。
まず単純に、純粋に強い。例えばいかにも駆逐然とした小さく素早い個体でも、ただの重巡級に匹敵する火力と装甲を有する程の規格外であり、そのスペックは当然艦種の格が上がる毎に強化されていく。
ビームやミサイルやスラスターといったC.E.の技術を駆使した【Titan】とはベクトルこそ異なるものの、その戦闘力と同等の地力を備えているのである。
その上知能も高い。人類の言語を解し、随伴艦に的確な指示を出し、洗練された戦術を披露してくるのだから厄介極まりなく、こと戦闘においては欠点がないように見える。
個体数が少なく、艦娘と同じく『一度沈んでしまえば復活することもない』点だけが救いか。
イロハ級相手に無双できる高練度の艦娘が束になって掛からなければならない、そういう存在だった。
中でも【軽巡棲姫】は水雷戦隊――軽巡級と駆逐級で構成された、一撃離脱の雷撃戦を主とする高機動部隊――の指揮に長けており、彼女の隊にまで出張られたらナスカ級どころの騒ぎではなく、
空母機動部隊と挟撃でもされたら大損害は必至。
絶対に、足止めしなければ。
敵の進路を塞ぎつつ、榛名と鈴谷の砲撃で撃破するか撤退させるしかない。もしも航空戦力に余裕があれば、瑞鳳か鈴谷に手伝ってもらって水平線越しの弾着観測射撃ができるのだが、
できないのだから充分に接近しなければならない。しかしそうなると【軽巡棲姫】に強襲される危険性が増し、おいそれと近づくことはできない。
故に、響と夕立で攪乱しなければ始まらない。この超高難度ミッションが必要とされる理由だった。
(! 敵艦隊動いたな。増速、推定40ノット、方位2-8-0から3-1-0へ転針・・・・・・逆に榛名達の頭を抑えるつもりか)
北西に旋回した敵艦隊からの魚雷射出も確認。これもまた、榛名達の進路を遮るよう時間差かつ扇状に展開され、此方の行動を大きく制限してきた。同時に、独走する響も砲撃されるようになり、戦況が大きく動き始める。 ここで木曾が動く。
重雷装巡洋艦としての40門もの魚雷発射管をフルオープン、並進射法の二段撃ちで水雷戦隊の進路上を面制圧する。同時に鈴谷が接近しつつある魚雷目がけて対地榴散弾を放ち爆破、必要最低限の航路を確保した。
まるで将棋だ。まだまだ互いの砲撃が有効でない距離で、艦隊運動と魚雷を駒として相手を牽制・誘導しつつ王手を狙い、盤面の先の先までを読みあう。この場合、響達は跳び駒という扱いになるか。
結果一時的に両艦隊は速度を落とし、水平線越しに併走しながら当たらない遠距離砲雷撃戦を演じることになり、膠着状態となった。
(両艦隊の最終的な目標はナスカ級。でも速力と位置からして、どうしたって先に到着するのは向こう。そこから乱戦になったらもう手の打ちようがなくなる。仕掛けるなら今しかない)
榛名達が作ってくれた接近のチャンス。ここから更に戦況が動く前に、行動しなければ。
繰り返しになるが、響達の役割は敵の足止めだ。注意を引きつけて釘付けにし、状況を有利に運ぶ為に艦隊から離れたのだ。ここでアクションを起こさず、いつ起こすのか。
丁度、ほぼ計算通りに、響は敵艦隊の南西に位置している。本隊と挟撃するにはもってこいの位置取り。しかしそれは同時に、単縦陣の敵艦隊の横っ面であることを――艦隊の全火力が集中する位置であることをも意味している。
通常、そんな所に正面から突っ込むバカはいない。
「バカは来るし、ここにいるからね。・・・・・・さて、やりますか」
「バカって、誰のことっぽい!?」
「そりゃ私達以外いないじゃないか。ねぇ師匠」
通常でも尋常でもない突撃バカ二人がここにいた。
「もしかしなくてもワザとでしょ!? 背中ムズムズするんだから師匠やめてってずっと――」
「それより見てよこれ。師匠が褒めてくれた防御力に更に磨きが掛かったよ。前衛は任せて」
「――・・・・・・うんわかってた。響そーいうトコ割と天然だよね。やっぱり夕立が妥協するしかないっぽい」
急旋回、機関出力最大。
特にドラマもなく合流した師弟は、飄々と言葉を交わしながら一目散に、最短距離で敵陣に迫る。
ここで少女らは、近づくにつれ漸く鮮明となった敵艦隊の陣容の把握に努めた。
「旗艦は勿論【軽巡棲姫】が1、雷巡チ級1、軽巡ツ級2、軽巡ト級2、駆逐ナ級6、駆逐ハ級8・・・・・・殆どが【Elite】タイプ以上。これは、なかなか」
「大人げない」
「ね」
二人はチラリと顔を見合わせては頷きあい、不敵な笑みを浮かべる。
戦艦や空母といった派手な艦種こそないが、堅実かつ強力な布陣。素早く、硬く、対空能力も雷撃能力も高いとくれば、持てる力全てを発揮するには申し分ない。
恐れず、前進あるのみ! 「よし、此方に食いついてくれた」
「いっそ夕立達だけで殲滅するぐらいの勢いで暴れるしかないっぽい! 響、ついてこれるかしら!?」
「Конечно! 素敵なパーティー、やってやろう」
「いい返事!!」
水雷戦隊の反応は劇的だった。
単独行動していたとはいえ、まさか駆逐艦娘がたったの二隻で突撃してくるとは思わなかったのだろう。動揺し、少しばかり動きを止めてしまったものの、悠長にもみえた榛名達との小競り合いをキッパリ切り上げた敵艦隊は、
とんでもないスピードで突っ込んでくる少女二人に全火力を集中させた。
そこに慢心や焦りはない。各個撃破のチャンスを逃す愚か者は、敵味方問わずこの戦場にいない。
速射、掃射、斉射。
牽制に誘導、そして本命の狙撃を絶妙に織り交ぜた砲撃の驟雨。これまでの散発的だった砲撃とはまったく比べものにならない、殺意の嵐。
「相変わらず、狙いがイヤらしいっぽい!!」
「私が防ぐよ。師匠は下がって!!」
「りょーかい!」
かつて連合艦隊の一員として【軽巡棲姫】と戦ったことのある夕立が吐き捨て、その当時は修理の為に留守番を余儀なくされた響が大型シールドを構えて前に出た。
(信じるよ、明石先生、キラ)
着弾。
海面が爆発的に巻き上げられ、辺り一面が白に染まる。駆逐艦の防盾如きでどうにかできる威力ではなく、普通なら木っ端微塵。むしろオーバキルに過ぎる攻撃だった。
しかし、ここで【軽巡棲姫】は彼女らが普通ではないことを理解していたので、すかさず追い打ちを指示した。特に以前、金髪黒衣の駆逐艦に散々手こずらされた経験がある彼女としては、
こんな砲撃一回で終わるとは到底思えなかったのだ。
念には念を。
採択するは、可燃性の煙幕を放出するグレネードと、広範囲高密度の魚雷群とのコンビネーション。防御も回避もしようがないこの連撃、最低でも長門型戦艦の重装甲でなければ耐えられまい。
これで終わりであれと、装填完了の合図を受けて【軽巡棲姫】は追撃開始命令を下した。
そして勿論、少女二人はその思惑を当然のように凌駕する。
「――Урааааа!!!!」
まったく無傷のシールドを掲げて白の世界から飛び出した響が、吼える。
乾坤一擲。
両腰の魚雷発射管を解放、狙いを前方一点のみに絞った61cm酸素魚雷を4発放ちながら、冷静沈着にひたすら直進。右腕を閃かせて構えた大型ライフルの銃口は、放物線を描くスモークグレネードを正確に捉えていた。
直後。 少女と水雷戦隊との中間で盛大な爆発が起こり、辺り一面が黒に染まった。
たゆたう水飛沫と硝煙のコントラスト。【軽巡棲姫】は直ちに部隊を散開し、その領域から距離を取らせつつ包囲しようとする。
対する響は構わず、自ら切り開いた極細の航路と黒の世界を突っ切り、最も近くにいた雷巡チ級に狙いを定め肉薄する。
無論、深海棲艦達は迎撃すべしと整然とした弾幕を張るが、
「そんな攻撃で、フェイズシフトは! ――当たれ!」
甲斐無く、通電して純白に色づいたシールドに妨げられた。
ストライクの脱落した左肩部装甲の欠片を加工して拵えた、現状唯一無二の艦娘用フェイズシフト・マテリアル製防御兵装。裏面にマウントしたバッテリーパックが生きている限り、これを抜くことなど不可能。
シールド越しに襲いかかる衝撃は全身の関節でいなし、ライフルの第二射を放つ。
発砲。
命中。
撃破。
強烈な反動と砲撃音を伴って撃ち出された砲弾は、これまでは二〜三発打ち込まなければ有効打を与えられなかった、魚雷の扱いに一際長けたチ級のど真ん中を一撃で貫いた。やはり狙いやすいと、響は感じた。
試製ライフル型65口径13.5cm単装砲。
分類は長砲身平射砲、仰角及び俯角駆動機構なし、弾丸に強装徹甲弾を採用したこの新兵器は、近距離での水平射撃を前提にしている。距離を取って曲射で狙う通常艦砲とは全く異なる運用が求められるが、
シンプルに過ぎる機構故にその威力は巡洋艦用15cm砲の一門に相当するという。
重量もゴツい見た目の割に軽く、次弾装填速度も速い。その分長距離砲撃時の命中率や対空能力は犠牲になっているが、元より求められていない役割であるからして欠点にはなり得ないだろう。
明確な欠点があるとすれば、やはり響専用であることか。
駆逐艦用としては常識外の威力に比例して反動が大きく、また軽量であるとはいえ砲身がかなり長い為、生半可の艦娘では発砲どころか照準にも苦労するとのこと。艤装の汎用ターレットに搭載することもできず、
そもそも普通であれば駆逐艦の砲にここまでの過剰火力が求められていないので、他の駆逐艦娘にとっては文字通り無用の長物だ。
故に、超重量の大型錨を振り回してきた経験を持ち、かつ特別な改修を施された響でなければ扱いきれない実験装備であり、彼女に扱われてこそ真価を発揮する専用装備である。
そして響はそのスペックを最大限活かせる実力の持ち主であり、完全に合致した親和性はより強大なうねりを生み出し、今や彼女の戦闘能力は師たる夕立に比類するまでに迫っていた。
「いける、これなら!」
回避に専念するツ級の左肩部5inch連装両用莢砲一基を吹き飛ばし、更に左舷後方から雷撃を狙っていたナ級を撃ち抜く。しかし同時に、前後から二隻ずつ、押し潰すようにして砲撃しつつ突撃してくるハ級。
ここで響は軽快に疾走しつつライフルを後腰付近に持っていき、艤装に新設されたフレキシブルアームを作動させた。アームはライフルの銃床をがっちり掴んでマウントするとグルリと回転、 完全な手持ち用と思われたライフルを一瞬にして自律旋回式の右肩部固定砲台へと変貌させる。そのシルエットはストライクの兄弟機である【GAT-X102 デュエル・アサルトシュラウド装備型】によく似ていた。
これに併行して、フリーとなった右掌は後腰に懸架していた大型錨をしっかり掴んでおり、たったの一動作で響は近接格闘モードに。
「よく来たね。迎撃(かんげい)する」
右肩部13.5cm単装砲と抜き打ちの打突で前方ハ級二隻を蹴散らせば、前方宙返り、180度逆さまになったタイミングで両肩部25mm連装機銃と魚雷を斉射、後方ハ級一隻をも海の藻屑に。
一挙に三隻撃沈。残った一隻は着水後、振り向きざまの横凪一閃で片づける。
回避動作と一体化した、力強くも流麗な体捌き。凄まじい格闘センスと姿勢制御能力。強力な武装を扱うに相応しい戦技だった。
これには【姫】も認識を改めさせざるを得なかった。
なんなのだこれはと、素直に驚愕した。
初撃からまだ3分も経っていないというのに、既に損耗率が2割を超えた。完全に誤算、見誤っていた。元より独走していた時点から何かしでかすのではと警戒していたが、これ程とは。
【軽巡棲姫】は自らが先陣を切って押さえねばと決意する。あの金髪黒衣の駆逐艦に匹敵する敵なら、戦術を練り直し、態勢を整えなければ。
北からは敵の本隊――【榛名組】も迫っており、ここで時間を取られる訳にはいかないのだから。
「――?」
と、ここで彼女は強烈な違和感に襲われた。致命的な何かを見落としていると、本能が警鐘を鳴らす。
いない。
そういえば、いない。
銀髪の駆逐艦に気を取られていたが、あの金髪黒衣の駆逐艦はどこに消えた? まさか初撃で沈んだわけでもあるまい。あの厄介な盾に隠れるなりなんなりして、必ず生き延びている筈だと確信している。
索敵。
するよりも早く。
「――ッ!!!!????」
すぐ真後ろから底冷えするようなプレッシャー。
反射的に鋭くサイドステップすれば、頭部ぎりぎり横を投擲された魚雷がすっ飛んでいった。
「あれ、不意打ち失敗っぽい? まぁいっか。・・・・・・久しぶり、オルモック沖以来?」
「・・・・・・ヤハリ・・・・・・キタノネェ・・・・・・。ユウダチ、デシタカ」 振り向けばそこには、あまりにも気安く語りかけてくる、夕立の姿。
【軽巡棲姫】は普段使うことのない声帯を震わせ、身の毛もよだつおどろおどろしい呻き声で応える。
いつの間に、とか、どうやって、などと問う気はない。愚問だ。この大胆不敵な駆逐艦はこれぐらいの事ならサラリとやってのけるだろう。ただ己が認めた強敵の一人である夕立に、ある種の敬意を込めて人の言葉を発した。
夕立は、名前を覚えられているとは思ってなかったのだろう。一瞬きょとんとするがすぐ口角を吊り上げて言う。
「今日は川内さんと神通さんの代わりに、あたし達が相手になってあげる。物足りないかもだけど、この前の夜の続きをしましょ?」
「アノフタリ、ノ、カワリ? アナタタチガ・・・・・・? ・・・・・・ソウ。デモ、カンケイナイ。コレイジョウ・・・・・・アナタタチノスキニ・・・・・・・・・・・・サセルワケニハイカナイノヨォ・・・・・・!!」
堂々と宣戦布告。
言って、言われて、互いの得物を構える。それ以上はいらなかった。
先に動きを見せたのは【軽巡棲姫】――否、水雷戦隊。元より個人戦よりも集団戦を是とする彼女は、散開していた随伴艦達を集結させ、鶴翼陣を形成。南へ全速後退しつつ、夕立に火力を集中させた。
曰くイヤらしいという精密かつ濃密な狙いで、夕立を釘付けにする算段か。彼女は全力の引き撃ち――ことに制圧射撃に対しては、その圧倒的戦闘力を発揮することはできないのだ。
連動して【軽巡棲姫】も身を翻し、超加速で響に肉薄、距離を詰めると勢いそのまま回し蹴りを放つ。
「――ぐッ!? ・・・・・・狙いは私か!!」
艦艇としての重量差は如何ともしがたい。虚を突かれまともにシールドで受け止めてしまい、宙に弾き飛ばされた響が呻く。
【軽巡棲姫】はどうやら【榛名組】の本隊と距離を取りつつ、まずは硬いが比較的回避能力に劣る響を潰すことにしたらしい。どちらかを放置はできないので、賢明な判断だ。
しかしそう簡単に主導権を明け渡したりはしないと、空中で身を捻って追撃の6inch単装砲を回避しながら25mm連装機銃――対空用だが撃たないよりかは遙かにマシ――と右肩部13.5cm単装砲で応射、
再び突進してきた【姫】の速度をほんの僅かばかり鈍らせる。
着水。思いっきり首を振って跳び膝蹴りを躱し、反撃よりも離脱を優先する。目にも留まらぬスピードで左の魚雷を引き抜き、真後ろへと疾らせる。
「師匠!!」
「任せて!」
ついで錨を夕立に向かって投擲すれば、意を得た夕立は制圧射撃に晒されているにも関わらず、余裕綽々で錨をキャッチ。そのまま一本背負い投げの要領で、錨を全力で振り下ろす。
そして響もタイミングを見計らい、後方の魚雷を射貫けば。
「雑魚を片付けて!!」
「Всё ништяк!!」
空を飛んで水雷戦隊の後方に向かう駆逐艦の姿があった。 「ヤラセ、ナイ・・・・・・!!!!」
「やらせないっぽい。アナタの相手は夕立よ!!」
「ユウダチィ! ソコ、ジャマナノヨォォォ!!」
入れ替わり、今度こそ真っ正面から激突する二人。
随伴艦達相手に無双する響をよそに、大海原を駆けずり回りながらの高機動格闘戦が始まった。
艦娘達にとって、経過は順当と言える。
二人の少女の働きにより、水雷戦隊の動きは大幅に鈍っていた。いや、むしろ想定以上の戦果さえたたき出してすらいる。駆逐艦師弟の相乗効果は【姫】と互角に渡り合える程のものであった。
これならば本当に足止めのみならず、夕立達だけで殲滅することもできるかもと思えるほどに。
【軽巡棲姫】は焦った。
これは良くない。
深海棲艦側からすれば、より絞るなら、台湾近海に巣食う深海棲艦群からすれば、これ以上の戦力消耗は長期的に見て良くない。戦力増強の為の強行軍だというのに、こうまでいいようにされては本末転倒。
しかし、だからといってあの異界の船が人類側に渡るのを黙って見ていられるわけもなく。
かくなるうえは。
西の空母機動部隊の戦況にもよるが、プランBの決行も視野に入れる頃合いだ。
「コノ・・・・・・イイカゲンニ!!」
「そっちが墜ちればいいの!!」
クロスカウンター気味に夕立の魚雷が直撃する。装甲を抜くまでには至らなかったが確かなダメージを与えられ、これが岐点となった。
ならば、ここで拘泥する必要はなく。
思慮深い【軽巡棲姫】はある一つの決断を下した。
榛名達が放った砲弾が着弾する、約1分前のことだった。
◇◇◇ 「撤退する!?」
「あの【姫】が退いた・・・・・・・響達すごい、ホントにやり遂げちゃった!」
「うひょー! やるなぁ二人とも。こりゃ鈴谷達も負けてらんないねぇ!」
丁度主砲の第一射を放ったばかり榛名が目にしたものは、申し訳程度の残存戦力を率いて南へと撤退していく【軽巡棲姫】の姿だった。
予想外の顛末ではあるが、つまり金剛と榛名の作戦はカッチリ成功したということだ。これにてナスカ級周辺で大乱闘などという未来は回避され、佐世保艦隊は空母機動部隊との戦闘に専念できるようになった。
とんでもない快挙にワッと瑞鳳と鈴谷が抱き合って、すごいすごいとはしゃぐ。榛名もその輪に加わりたい衝動に襲われたが、しかしひっそり胸をなで下ろして安堵するだけに留めた。
やるべきことが山ほどあるのだから。
「信号弾! 深追いは危険だわ。木曾と響と夕立は一旦【いぶき丸】で補給を。榛名達は予定を繰り上げて【金剛組】に加勢します!」
まずは、ここで気合いを入れ直すべしとキッチリ指揮をとる。
瑞鳳と鈴谷はハッとなって慌てて離れると、艦載機のコントロールに集中する。勝ち筋は見えてきたが、まだまだ状況は予断を許さない。諸手を挙げて喜ぶには早過ぎるのだ。
いろとりどりの光が蒼穹に輝き、響と夕立、そして北方に退避していた【いぶき丸】に集結するよう合図を送った。高速哨戒船【いぶき丸】は単なる足ではなく、曳航に必要な機材や、
艦娘用の燃料弾薬などを満載してもらっている。これを活用しない手はないだろう。
次はいよいよレ級率いる空母機動部隊と戦闘で、現状【金剛組】は航空戦含めなんとか拮抗しているとのことだが、だからこそここで響達の補給を勿体ぶることはない。急がば回れだ。
「・・・・・・それにしても、鮮やかな引き際だったな」
「ええ。多分、いや確実にまた来るでしょうね」
ポツリと、信号弾を打ち上げた木曾が難しい顔で【軽巡棲姫】について感想を漏らした。
まったく同感だと榛名は頷く。今まで目にした【姫】のスペックからすれば、もっと戦闘は長引いていた筈なのだ。
手を抜いていたわけではないだろうが、明らかに消耗を嫌った撤退だった。それだけ響と夕立が手強かった証左でもあるが。
二人が素直に喜べない理由だった。
近いうちに再び相まみえると覚悟しなければならないだろう。その時もまた上手く事が運ぶとは限らないのだから、今のうちに対策を練っておかなければ。
「今回は凌げたが次はどう来るか・・・・・・なぁ榛名、次はオレも出してくれ。響とのコンビネーションならオレにもそれなりの自信がある」
「あら。嫉妬ですか?」
「そんなんじゃない、茶化すな」 「ふふ、御免なさい。・・・・・・わかりました。状況次第ですけど、確かにバリエーションは多いほど良いですね」
「そういうことだ。じゃあちょっと補給してくるぞ。すぐ追いつくからな」
いつも後手に回ってばかりだから、たまには此方が先手を取りたいものだと木曾は言い、踵を返した。
これもまた、まったく同感だ。
その頼もしい背中に、榛名は眩しいものを見るような顔になったが、そこで思い出したかのように彼女へのオーダーを付け加えた。
「あ、ちょっとまって。木曾は対空装備も増設してきてくださいね、使い捨てで良いので。当面の雷撃戦は【多摩組】に任せますから」
「応よ。いいねぇ、物資があるってのは。・・・・・・響と夕立はどうする? 少し休ませてやるか?」
「・・・・・・そう、ですね。そうしましょう。ささやか過ぎるけど、持ってきた食料も好きにしていいと伝えてくれるかしら」
「まぁそうなるな。・・・・・・オレもつまみ食いしちゃダメか?」
「榛名達にもお土産を持ってきてくれるなら許可しましょう」
「そうこなくっちゃな」
そうこうしていると、流石の快速で【いぶき丸】がやって来る。その甲板上で一人の男が双眼鏡を片手に、手を振っているのが良く見えた。
なんとなく榛名も手を小さく振り返してから、深呼吸。瞳を閉じて今後の方針をシミュレートする。
「・・・・・・よし、やってやりましょう。腕の見せ所ね」
ここから暫くは、榛名と瑞鳳と鈴谷だけの【榛名組】となる。他艦隊との連携がより一層重要になる。
いいだろう、ドンとこい。
響達師弟が無茶をしてくれたのだ。なら次は自分達が気張るところで、その頑張りに応える番だ。それにレ級との戦闘ならば、戦艦たる自分達が矢面に立たずしてなんとする。
金剛型高速戦艦の意地と連携を見せてやろう。
金剛と榛名のコンビもまた健在、無敵なのだと世界に知らしめてやろう。
「征きましょう瑞鳳、鈴谷。遠慮はいりません、派手にブチかましますよ!!」
「はい! 瑞鳳、準備万端です。いつでも!」
「うっしゃぁ! 燃えてきたー!!」
面を上げた榛名は、凜と声を張り上げて決意を表明する。
応じて今尚戦闘中の二人も鬨の声を上げ、高々に拳を天に突き上げた。
三人は停泊した【いぶき丸】に背を向け、全速力で次なる戦闘海域へと突き進んだ。 以上です。
「強い! 絶対に強い!」と感じてくれたなら幸いです。艦隊戦の描写を含め、わかりやすく伝わっていれば良いのですが。 乙ですー。
姫というとどうしても彼岸島のアレを想像してしまうw
ようやく深海側にも立ったキャラが出てきて楽しくなってきました。
しかし艦これを知らないと戦闘が全く想像できないな・・・ゆるやかな艦の戦いと
少女たちの格闘スタイルの速度差のギャップに苦しむorz 遅ればせながら乙です
スピード感あって白熱した戦闘描写ですね
ところでそろそろシンの活躍も見てみたいところです
>>260
興味があるなら艦これ戦闘シーンか艦これアーケードで動画検索してみては?
自分も最近プラウザ版やり始めたんですけどそっちはアクションのあの字もないんで見る必要はないかと
横からですけど参考までに 流石にガンダムの板でガンダム関係ない美少女系ゲームを題材にしたSSはどうかと思う
文章力も終わってるし
しかも布教活動までもとか >>2
>■Q2 △△と種、種死のクロスなんだけど投下してもいい?
>■A2 ノンジャンルスレなので大丈夫です。
>ただしクロス元を知らない読者が居る事も理解してください。
荒らしだとは思うけどせめてテンプレくらい読もうな、クロス作品は元からOK
作者さんに失礼 いやほぼほぼ艦これメインやし、文章も幼稚で終わってるわ >>264
自分勝手に暴れてマウントとりたいだけの速報民はすっこんでろ 正直どっちが終わってるかと問われたらレス見れば一目瞭然
このレベルじゃ批評じゃなくて同語反復のだたのいちゃもん
作者さんこんなの気にするなよ 荒らしはスルーしよう。
せっかく艦これとマリナのSSでスレが動き始めたんだから。
両作者さん、次回楽しみにしてますよ。 どうもこんばんは。
投下するわけではないのですが、少し近況報告というか自分語りというか作者コメントということで一つお願いします。
まず、楽しみにしていると言っていただいてありがとうございます。
つい先程スレを開いて>>262等にかなり不安感とか恐怖感を感じてしまったのですけれども、養護してくださってとてもホッとしました。
正直なところ、ここ最近艦これサイドが主になりすぎているかなとか、読みにくくなってなければいいけど等と丁度思っていたところだったので・・・・・・
仕事のほうもだいぶ落ち着き、体調も良くなってきました。少し遅れましたが、気にしてくださった方ありがとうございました。
これからも頑張っていく所存です。
作品についてですが、シンの再登場やフリーダム響はそう遠くないうちに書きたいと思っています。
元々ここからガンダム成分も少しずつ濃くしていく予定でしたので、そうできればと。
とはいってもオリジナル要素ばかりになってしまいますが。
戦闘描写については、すいません、艦隊戦(団体戦)と個人戦のギャップは狙って演出したつもりでしたが、
それがかえって分かりにくくなっていたのでしたら、それは単に自分の力量不足です。
捕捉させていただきますと、榛名や金剛といったリーダーが指揮している場面は、数人の艦娘がチームワークで戦っているつもりです。
個々人はそれぞれ一つの○○級艦艇として動けますが、寄り集まることでより強力な一つの万能艦艇、ホワイトベースやアークエンジェルのように振舞うことができる的なイメージで。
その際、旗艦の榛名などはブライトさんやマリューさんのポジションに就きます。
そこから転じて、一人でも多大な戦果を挙げることができる響や夕立の特異性を書きたかったのです。場面の切り替えが上手くできてなかったのでしょうか?
描写について分かりにくいところ等があれば、どんどん言ってくださると幸いです。精進します。
あとは>>261氏が提言してくれた通り、興味あらば各自で動画検索していただけると・・・・・・。
>>261氏さん、先輩提督として歓迎します。頑張っていきましょう。
それと最後に。自分はもう荒らしが来ようと気にしませんしスルーします。
このレスで蒸し返してしまうことになろうとも、荒らしについて言及するのはこれで最後にします。
長くなってしまいましたが、今回は以上です。それではまた近いうちに この春、僕吉良大和は桜舞高校に入学した。
中学からの同級生の徹、才、和弥、美理などと同時に進学した。
桜が舞い散る学校で入学式が行われ、無事終了した。
「なぁ吉良はどこの部に入部する?」
下校中に同級生で同じクラスになった徹が歩みながら問いかけてくる。
「うーん…パソコンとかかな。」
正直運動よりも機械いじりやプログラミングの方が好きで将来はそちらの方面での就職を考えている。
「ええー!吉良運動神経いいのにもったいないよ。」
こちらは美理。徹のガールフレンドで隣のクラスになった。
明るい性格で異性同性問わず分け隔てなく接するタイプだ。
「吉良らしいや。俺もパソコン部に入ろっかな」
こちらは才。眼鏡がトレードマークの優等生。
人柄がよく真面目で気配りができ異性からの人気が高い。
「トールは?」
「俺かぁ…野球やろっかな!」
野球…そのワードを聞いて仲が良かった幼馴染を思い出す。
小学二年生の終わり頃。
「そんな…転校だなんて」
「親の仕事の関係でね…。寂しくなるな。」
「明日蘭…。」
「そんな顔するな吉良!俺はいつか野球で有名になる。そうなったら応援して支えてくれる!」
「うん…。」
「吉良?」
過去を思い出しぼーっとした僕の顔を徹が覗き込み、それに気づいて意識を取り戻す。
「野球…僕も挑戦してみようかな」
「ええー?!」
周りの驚きの声が、大きく響く。 その頃、私立プラント学園では入部希望者に対するテストが行われた。
野球の超名門校であるプラント学園では、尋常ではないほどの入部希望者が現れる。
そこで入部希望者でいくつかのチームを編成し、実践試合を想定した練習試合を行い実力を測るのである。
「ほう…あれが中学ナンバーワンシニアの雑羅君か。流石だな。」
長い金色の髪に仮面を付けた監督が呟く。
明日蘭は投手として登板。8回までを0点で抑えるた。そして9回表に明日蘭自らのバットで柵越えを放ち点を取り1対0。
9回裏もツーアウトまでテンポ良く抑え勝負も決まったかと思われた。
しかし、連続して味方のエラーが発生し、さらにキャッチャーのミスで振り逃げされノーヒットでありながらツーアウト満塁のピンチ。
明日蘭「はああああああ!」
渾身のストレート。打者のバットが当たる金属音がに守備陣が焦る。
しかしボールは高らかに上がりセカンドの頭上。
打ち損じの内野フライだ。
インフィールドフライが宣言されゲームセット でもお前って野球のルールすら知らないやんwwwwwwwwwwwwwwwww
ならインフィールドフライの説明してみろやガイジwwwwwwwwwwwwwww
どうせ答えられず逃亡するんだろ?
さっさと死ねばいいのにwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww ランナーがいるときに内野フライがあがるとインフィールドフライだろ
このssは間違ってない >>268
養護ではなく擁護が適切です。
その程度の日本語もまちがえるようでしたら、まずは国語の勉強からやりなおすことを、おすすめします >>270->>271
正直に言わせていただくと、このSSでこのスレ自体の品位が疑われるのではないか?と自分は危惧しています。
あまり顔を出さないとはいえ、ここの常駐メンバーとして、ここではっきり言わせてもらいます。
このようなSSは二度と書くな。 二 度 と だ !
お目汚し失礼しました。
レス返・視聴作品の感想についてはまた後日に。 >>268
正直に言わせていただくと、このSSでこのスレ自体の品位が疑われるのではないか?と自分は危惧しています。
あまり顔を出さないとはいえ、ここの常駐メンバーとして、ここではっきり言わせてもらいます。
このようなSSは二度と書くな。 二 度 と だ !
お目汚し失礼しました。
レス返・視聴作品の感想についてはまた後日に。 >>282
正解。
インフィールドフライはランナーが埋まってる時に捕れるフライをわざと落球して
ダブルプレイにしようとする行為を防止するためのルール
よって2アウト時には適用されない。 スレが盛り上がってると思ったらなんだこれ
荒し煽りキチはスルーが基本にして鉄則。叩くのは余所でやってください
容量も450近いしそろそろ次スレ意識しなきゃって時になにやってんの >>284
ほんと迷惑だよな最悪のウォッチャーは
巣から出てくんな ミートさんのSSは艦これ知ってる人には面白いのかもしれんが知らない人から見たらさっぱりやし
艦娘?に魅力が感じられないからね…。
もうちょっとそのへん配慮して書いて欲しい
あと確かに擁護だね。
こういう文章主体のスレでは指摘に対してはしっかり感謝の意を述べるのがマナーだと思うし。
仕事がどうこうって個人的なことを話すのもどうかと思う。
いっそ自サイトでも作ってそっちでやったらどうですかね? ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています