真央とのスケート観にズレ…佐藤コーチの指導に“疑問”の声

 (日刊ゲンダイ2014年2月21日)

浅田真央が佐藤信夫コーチ(72)に師事したのは、2010年9月から。
以来、ジャンプやスケーティングを基礎から見直してきた。
約3年半で真央のスケーティングやステップはよくなったが、
なぜかトリプルアクセル(3A)の成功率は上がらなかった。

五輪シーズンに入っても、3Aは一度も成功していない。
それなのに今年に入ると、
フリーで2度跳ぶはずだった3Aを1回に減らすという
プログラムの変更で対処しようとした。

あるフィギュア関係者が言う。

「佐藤コーチという人は、リスクの高い3Aを跳ばなくても、
 他のジャンプをしっかり決めてノーミスなら勝てると思っていました。
 3Aを決めないと満足感を得られない真央とは、
 スケート観に距離やズレがあったのです。
 3Aの成功率が上がらなかったのは、
 佐藤コーチ自身に『完璧な3Aを跳んで金メダルを取らせる』
 という強い意志がなかったからではないでしょうか」

■相次ぐ「練習させすぎ」の声

腰痛の持病がある浅田はこの3年半で腰回りが大きくなリ、
大人の女性の体格になった。
それに対応した適切な指導も行っていたのかという疑問も残る。

ソチで行われた12年のグランプリファイナルの時には、
腰が痛くて体に力が入らないという真央に
「最後まで踏ん張れ」と言って演技をさせた。

「その話を聞いた外国のコーチは、
『選手をつぶす気か。どうかしている』と呆れていた。
佐藤コーチはSPの信じられないミスについて、
『何が原因でのみ込まれてしまったのかわからない』と言った。
 こんなコメントを聞くと、
 真央が佐藤コーチと組んだのはベストな選択ではなかったと思う」(前出の関係者)

真央の元コーチで、今回のフリーの振り付けを担当したタラソワ氏は
SPを中継した地元テレビ局の解説で、
「長時間の練習」がジャンプミスの原因と指摘。
「大会前にたくさん練習をすることはまったく正しくない」と言った。
この点も、佐藤コーチはブレーキをかけるべきだった。

羽生結弦は絶大な信頼を寄せているコーチ、ブライアン・オーサーで
見事金メダルを取った。
トリノ五輪で金の荒川静香も、大会前に
タラソワからモロゾフにコーチを変えている。

指導力に疑問符が付くベテランコーチと、
頼り切ってしまった選手……浅田真央が
ギクシャクしたままソチ五輪を終えたのは、ファンも悔いが残る。