黄色い桜を探して
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この作品は転部が異常なまでに鮮やかで。
崩しが入るんですが、それは「崩した」のか「崩れてしまったのか」、そういう作者の意図はともかく、私はすんごく驚きました。

二人がもう会えない。それも老人の方から別れてしまう。
余りにも意外じゃないですか。
私は計算とか推理とかをしながら見るクセがあって、それは意識しなくても多くの方はそうだとは思うのですが。
あの、待ち合わせ場所に来る、この物語はOLさんと老人の癒し系ストーリーとしてほのぼのと続くのだなと、まるで疑ってませんでした。
なのに、何故かモノ悲しい音楽、早く来すぎたから、うんその通りだよ、と思いつつ、うおーっと。

これが凄いと思うのは、別れる伏線をこれみよがしに入れていない点。
たとえば二人との交流の不協和音や嫌な感じは全くなく、これからどうなるんだろう! ってところで関係をぶつりと断ち切る。
交通や居住地、健康問題、家族とのしこり、老人の心境の変化、と言ったそれらしい伏線は入れてない。
例えば最後のデートとなった別れ際、何かしら劇的なセリフとか用意して、とドラマ脳な私は思ったりするのですが、それも無し。
次のデートを提案したのも老人。だから、まさか老人の方から関係を絶つ、なんて予想もしませんで。

それで、「ない」という、これが本当に素晴らしい展開の仕方で大好きです。
と言うか、こういうの私は好きだったんだ、ってこの作品にふれることで発見させられた、くらいに心の使っていない部分を刺激しました。