ジェイムズ6世のスコットランド時代、なぜエリザベスの跡を継ぐことができたのか、本人は言論の力によって、具体的にはエリザベス側近に手紙を書きまくることによってと述解している
アルマダの海戦はメアリ・スチュアートの処刑がきっかけに起きた
母の復讐をするフェリペ二世にスコットランド王はどうしたか
エリザベスに書簡を送り、スペイン軍を「アンチクライスト」と呼び、スコットランド沖で大半のスペイン船舶が難破したことを神のお告げだと褒めたたえている
ついでにフランスのカトリック同盟アンリ・ギーズの暗殺も、母の親戚であるにもかかわらず大げさに褒めたたえ、ひたすらイングランドにすり寄る書簡を残す
エリザベスは一度たりともフランスやローマ、スペインを「アンチクライスト」と呼ぶことはせず、曖昧な多義的な演説を行っている
エリザベス時代はこの曖昧性・マルチプルプロットが決定的な対立を避ける性質を示していた
同時代のフランス・スペイン演劇が変貌していってもアリストテレスの三一致の内、「プロットの一致」だけは守ったのが、イギリス演劇では守られず、サブプロットが世界を引き回す
この多様性はイギリス演劇がこの時代に獲得した偉大なる遺産であり、その頂点は紛れもなくシェイクスピアである
摂政が次々に暗殺されながら、1歳で即位し最終的にスコットランド議会と宗教界を掌握したジェイムズ六世はエリザベス的曖昧言説を許さない