日下部記念病院
小説・映画などで描かれる精神科の病気
2022/08/03

統合失調症について描かれたものとして、文学作品では、村上春樹氏の『ノルウェイ
森』があります。おそらくヒロインの直子は、統合失調症と思われるような精神疾患
を患っていると思われますが、小説の中ではかなりロマンチックな描かれ方がされて
います。また、同氏の作品の『スプートニクの恋人』というものがあります。この作
品は、私が大学院時代に精神医学の授業を担当されていた教授から「統合失調症の病
理についてわかりやすく知ることのできるもののひとつ」として紹介されたもので
す。映画では、アメリカに実在した天才数学者を描いた『ビューティフル・マインド
天才数学者の絶望と奇跡』という作品があります。

発達障害について描かれたものとしては、漫画では、戸部けいこ氏の『光ととも
に…〜自閉症児を抱えて〜』という作品があります。この作品は連続ドラマとしても
放送されています。映画では、アメリカの映画の『レインマン』、中国の映画の『海
洋天堂』、韓国映画の『マラソン』などの作品があります。また、最近では、イギリ
スのダニエル・タメット氏の『ぼくには数字が風景に見える』という作品やニキリン
コ氏、綾屋紗月氏など当事者の方々によって書かれた書籍を手に取ることが出来ま
す。

 うつ病について描かれたものは、私の中でしっくりとくるものがなかったので、最
後に精神科病院を舞台に描かれた小説として多島斗志之氏の『症例A』という作品を紹
介して終わりにします。