転換クロスシートとは何か

JR西日本221系の転換クロスシート(画像:岸田法眼)

 鉄道の転換クロスシートとは背もたれの向きを変えることで、常に進行方向に向かって着席できるシートだ。リクライニングシートと異なり、背もたれの角度が絶妙によく、快適に過ごせる。また、リクライニングシートなど、ペダルを踏み込んで回転させる座席と異なり、1両あたりの定員が増やせるメリットもある。

 その半面、座席背面も背もたれであることから、飲食用のテーブルが設置できない、多くの車両はシートピッチ(座席と座席の間隔)が910mmという狭いデメリットもある。特に窓側席の乗客が目的地の駅で降りる際、通路側の乗客がいったん離席することが多い。

 転換クロスシートが全国的に広まるきっかけとなったのは、1987(昭和62)年4月1日の国鉄分割民営化だ。国鉄時代、

「近郊形電車」

と区分された車両は、ボックスシートとロングシートの組み合わせとするセミクロスシートを原則としていたが、分割民営化により、事実上撤廃されたのだ。

 これにより車両の設計が国鉄時代の共通仕様から、JR各社の裁量に任せた独自仕様に変わったことで、ボックスシートより快適な転換クロスシートが採用しやすい環境が整った。

 JR北海道で1988年9月に登場した721系を皮切りに、JR西日本・東海・九州・四国が導入した。しかし、JR東日本はいまだ転換クロスシートの車両を開発、導入していない。

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