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蔵書を売るタイミング
0001吾輩は名無しである
垢版 |
2021/08/11(水) 17:35:59.13ID:TWKW6Kr1
おまえらの本売るタイミング教えて
0154吾輩は名無しである
垢版 |
2024/05/16(木) 19:10:54.01ID:lbKncn5h
「本は売らないとたまるね」という中村光夫の名
言、もしくは迷言の真実味について、実地に確か
めてみるとどうなるか
蓮實重彥「些事にこだわり」第19回「ちくま」2024年5月号

 いつのことだったか定かな記憶はないが、昭和と呼ばれた一時期の戦中および戦後にか
けて文芸批評の重鎮だった中村光夫の「名言」もしくは「迷言」として、「本は売らない
とたまるね」というものがあったと思う。ことによると「たまるね」ではなく「増える
ね」だったかもしれぬが、実際、書物というものは、とりわけこの文章をいま書き綴りつ
つある者のように映画や文学の批評にかかわる年輩者のもとに、しばしば著者自身から、
あるいは出版社からの寄贈によってたえず「増え」つづけ、その当然の結果として「本」
が際限もなく「たまって」しまい、それをおしとどめる術はほぼ見あたらぬ。

 例えば、新刊の書物や雑誌類についていうなら、おおまかなところ一日に平均三冊から
五冊はポストに入っているので、それをごく単純に合計すると、一年にほぼ千冊から千五
百冊ほどの印刷物が着実に「増えて」いくことになり、それを空間的に限定された拙宅の
書庫におさめることなど、どう見積もっても不可能である。だから、その大半は、近くの
古書店主に来て貰って処分することにしているが、何かしらこだわりがあるものなど寝汚
く手放さずにおくので、いまや書斎――といっても食堂とサロンの兼用なのだが――の書
庫はほとんど書庫として機能していない。

 絶対に売りたくない作家の、しかもいますぐに読むあてのない書物の幾つかは納戸の棚
に置いてあるはずだが、その納戸そのものが、なぜか処分できずにいる映画のDVDをど
っさり収めた決して軽くはない紙袋で溢れかえって足の踏み場もない。だから、納戸にあ
ることだけは分かっていながら、それがどこにあるのかはそのつど厄介な体勢で足を踏み
いれぬ限りは不明というほかはなく、もはや、それは書棚として機能していないといわざ
るをえぬ。だから、文字通り、「本は売らないとたまる」しかなく、その「たまった」も
のは、自宅に存在しないも同然という事態もしばしば起こっている。
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